太平輪 乱世浮生、彼岸 The Crossing PartI,II | 一言難盡

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『太平輪 乱世浮生、彼岸 The Crossing PartI,II』

2014年、2015年 中国・香港

日本公開 2019年 6月

 

 

タイトルだけ見ると、1949年内戦時代の終盤に起こった大型船沈没事故。

これは、製作時に金城武と長澤まさみが共演するという事で大いに話題になっていた気がするが、日本で公開されたのが5年後の今年2019年になってしまったので、日本でも成績は芳しくなかったようだ。そもそも中国では酷評を受けていたらしいし、そのせいで日本でも今年になったのかもしれない。

 

中国で酷評されたのは、中身を見るとうん、分かる気がする。

タイトルは沈没船の名前だが、時代背景が国民党(蒋介石)と共産党(毛沢東)の戦いの真っ只中の運命に翻弄される男女3組の話な上、国民党(蒋介石)側言うなれば台湾側からの視点で撮られているからだ。

 

Part Iは、中国と台湾を行き来する船の様子は映っているものの主に男女の関係性の説明と時代背景に時間が割かれている。

アジアのタイタニックみたいに言われているみたいだが全くその感じは見受けられない。描かれている男女が3組なのもその要因なのだか、正直雷夫妻の部分は冗長で退屈だった。。。

これは、戦下における男女の物語なのか、共産党と国民党の戦いの物語なのか、沈没事故の物語なのか、主体をどこに置いているのかがはっきりせず集中出来ない。同時期に起こる出来事なので仕方がないのかもしれないが、それなら男女1組に絞るかまたは無くすかにすればよかったんじゃない?とか。(まあ全ては雷夫妻が退屈だったというだけなんですが笑

Part IIに入ると、序盤は Iのシーンに少し手を加えた映像が何度も出てくる。時間軸を分かりやすくしたのだと思うが、このせいで停滞している感が否めない。

 

と、色々言ってはいるが、後半の太平輪が沈没するところはやはり緊張感があり、死を目の前にした人らが水面にひしめき合う姿にはらはらする。この部分をもうちょい長くしてくれれば良かったのに惜しい。

あのシーンの、チャン・ツィイー演ずるユイ・チェンと金城武演ずるイェン・ザークンの神のような所業を見て、私だったらきっと誰も助けれない、そもそもあの板の取り合いで生存競争に負けて沈んでいくんだろうな( ˘ω˘; )と考えていた。

 

太平輪には、乗船券を持つ乗客508人、船員124人、乗船券を持たない乗客約300人が乗船していたようだが、生きて助けられた人はおおよそ50人で、うち女性は4人だったという。

脂肪がある分女性の方が生き残りが多そうなイメージだったのでちょっと驚きだった。そもそもの男女比が違ったのかもだが。