アバウト・タイム~愛おしい時間について~(About Time) | 一言難盡

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Ture courage is about knowing not when to take a life,but when to spare one.



『アバウト・タイム~愛おしい時間について~
(About Time)』

2013年 イギリス
2014年9月27日 日本公開~現在公開中

監督 リチャード・カーティス

出演
ティム(ドーナル・グリーソン)
メアリー(レイチェル・マクアダムス)
ティムの父(ビル・ナイ)
ティムの母(リンゼイ・ダンカン)
ティムの妹・キットカット(リディア・ウィルソン)


昨年イギリスで公開されてから、いつ日本に来てくれるのかと待ちぼうけていた映画。昨年の今頃にここにも書いたような気がするが、やっぱ1年はかかるんだな・・・。

ネタバレあり


まず、キャストがいい。
キャスティングがいいと言う方が正解なのかもしれないが、キャスト一人一人が役にハマり個々の責任を見事に果たしている。

そして、音楽がいい。
Ben Folds、The Cure、Nick Cave、t.A.T.u(あの唯一ヒットした曲)、エリー・ゴールディングなどが使用されている。エリー・ゴールディングなんてどんだけ映画・ドラマ音楽に登場しているんだよというくらいの使用頻度である。
そして、サントラには入ってないが、THE KILLERSの「Mr.Brightside」(これも唯一ヒットした曲?)も使用されていた。
t.A.T.uといいTHE KILLERSといい・・・ひょっとして狙ってチョイスしているのかリチャード。(t.A.T.uはともかくTHE KILLERSは他にもヒット曲あるっちゃあるから、一発屋ではないと思うけど笑


全編を通して、登場している人々が嘘みたいに溢れんばかりの愛と優しい心を持っている。こういうものを観て、こんなのありえんと感じる方もいらっしゃるだろう。
私としては、胸が膨らみすぎてどうすんだこれ状態の想いを抱えながら帰路に着いたのだが、改めてリチャード・カーティスは、私のような人間を掴んで離さない天才なんじゃないかと思った次第である。


ティム(ドーナル・グリーソン)とティムの父(ビル・ナイ)

雑に内容の説明。
代々タイムトリップが出来る家系のティムは、自分の家族や恋人、そしてなにより自分自身のために何度も過去の出来事を修正し、その中で己の人生を見出していくという話。
しかし、タイムトリップが物語の中心ではなく、それはもはや付属品でしかない。
要は、たとえ失敗しながらでも今生きているこの瞬間、そして周りにいる人間を大事に一生懸命生きていこうという、いわば人として生まれたからにはそうありたいと願う普遍的なテーマの物語である。

後悔する代わりに、時間を戻してやり直すことが出来れば、それはいいに決まっている。
きっと、人生の大半は失敗や後悔と少しの幸せで出来上がるのだから、あの時こうしておけば・・・という想いがやり直せるなら、少しの幸せが何倍もの幸せに変えられるのかもしれない。
しかし、この世の中では時間を越えることなどできるはずもないので、結局一日一日を大切に生きるしかない。
ティムの妹キットカットが、過ちを自分の力で修正したように、立ち直る力を持っている私達は、失敗をして学ばない人ばかりではないのだ。


この映画で最も印象深かった部分が、結婚式でのティムの父(ビル・ナイ)のスピーチ。
「結婚する人に、いつもアドバイスすることが一つある。」
「我々は、最後はみんな似通ってくる。だから、優しい人と結婚しなさい。」

「We are all quite similer…in the end. but,Try and marry someone…kind.」
英語だとこう言っていたのだが、このビル・ナイの話す英語の絶妙な「間」と、一見普通に聞こえるこの的を得た言葉に、感動すらしてしまった。
「kind」中学生の初期で習うような(今は小学生でかな?)簡単な単語だが、この映画のここで使われた途端、単細胞の私にとってはとてもいい言葉に思えた。

これは想像力の話か。
ただ、優しいってだけじゃねぇ・・・と言われたりするけど、優しい人には想像力がある。人の気持ちを想像出来る人には、それが振舞いにも如実に現れるものである。優しい人が優しいだけなはずがない。
外見、財力、刺激などに惑わされて、そことは次元が違うところにあるものだから、見つけるのは難しい。


とかなんとか言ってますが、己を振り返ってみるとクズ所業の連発で、色んな事を適当にあしらって、ただ生きているだけの人間なわけであります。
だから、こうありたいと思う気持ちが一層強くなるのかもしれません。



終盤の、メアリーが3人目の子供を作ろうと相談してティムが躊躇した部分。
3人目が生まれた後に、それ以前の生きている頃の父親に会いに戻ったりすると、過去に影響を与えるため、生まれた子供が違う子になってしまうという現象が起きる。
だから、もう子供が生まれる以前の過去には戻らないことを決めたティムは父親との最後の別れを果たしたのだと認識しましたが、この認識で合ってるんですかね?


レイチェル・マクアダムス最高でしたな。