【プロローグ】なんでギャンブルに走るか
アーロンは、とある零細企業に勤めるサラリーマン。
今の社内的立場を体裁よく表現すれば、会社のNo.2。でも15人くらいの規模。
収入は、この年ではまあ悪い方では無いと思う。つーか良い方なんだろうな。
サイバーの藤田社長辺りと比べられない限りは。
でもね、雇われた理由が、『会社の再建』。んー、重い。
前の会社で、それなりの実績もあったから、ちょっと調子ぶっこいてましたね。
『MUHAHAHAHAHA!我が手に掛かれば、どんなショッパい企業も即!大躍進間違いあるまいヨ!!!』
入社当時はそう思っていたが、さて、そんな自信もどこへやら。やがて小っぽけな自分の力の限界ってやつを悟らされるわけですよ。
だってオイラ、取締役じゃない上に、社長のワンマン企業なんだもん。
ムリムリムリ。論理的な話が通じず、感情だけで経営方針決定するヤツの参謀なんか。
参謀は所詮、最善の策を献言するだけ、だもんなぁ。
ちょいとオイラにゃ、こいつぁ荷が重過ぎるってぇもんさ。
さっさとバックレたい気持ちは山の如し。しかし、今ほどの収入を他の企業に求めるのは、さてはて。
で、ある時思ったのさ。
オイラの稼業は、今まで『経営参謀』がメイン。要約すると、他の誰かを金持ちにしてやるための知恵袋。
今回の会社は、オイラにゃレベルが高すぎるのがわかった。いずれ去ることだろう、というか去りたい。
だが、今の暮らしの水準を下げたくはない。
そろそろ、オイラはオイラ個人を儲けさせる為に、知恵を絞りたいな、と思ったわけさ。
起業も考えた。しかし残念ながら、諸所の都合により不可能。
名誉のために書いておくと、別にブラック人材な訳では無いですよ。
今までのハードな日々に、心身ともに激務に耐えられるタフネスさを失ってしまっているのです。
貧弱な経営者では、経営するのはちょいと難しいと思うので、やらないことにした。
次に考えるのは、俺の仕事云々ではなく、充分な収入源を得ること。
いっぱいありますわなぁ、マンションオーナーとか。ギャンブルに生きるとか。株で日テレ買収しようと見せかけて利鞘を稼ぐとか。
まぁ、個人の志向的な物もあり、ひっそり動いてガッポリ稼ぐって方法にしたいので、TVで放送されるレベルの金を動かすのは辞めることにしました。つーかその前に、そんな金無ぇ。
マンションオーナー。これマジで考えた。
本屋に行けば、地方のオバチャンが家賃収入で年収1億だとかいう本が置いてある。
マジかよ・・・!
と、思ったが、これからは少子化の時代だ。たぶん土地は余るだろ。
恒久的でないなと見て却下した。俺がジジイになったころは、空き家だらけっぽいから。
と、言うわけで、ギャンブルに走ることにした。
でも、ただのギャンブルでは意味が無い。
最も得意な競馬ですら、たぶん勝率は30%程度だと思う。収支は今のところ一応の黒字だが、ちょいと酒飲めば消えるレベル。
麻雀も得意だが、あんなに頭使って心身疲れるのであれば、真面目に働いた方が儲かる。
こんなんじゃ意味が無い。これらは遊びでやるべきだ。
だから、未体験ゾーンの博打に走ることにした。
オイラの祖母の兄は、株で一儲けして、オイラの祖母に家をプレゼントした。そして、オイラはその家で育った。
少なからず、DNAは継承されているのだろう、と信じたい。
つーか彼がもし今も生きていたら、色々秘伝を教わりながら、恐らく株に走っただろう。
だが、我が父は、博打の才能は皆無。有効な引継ぎの無いまま、祖母の兄は旅立ってしまった。オイラは9歳だったから、彼の奥義を今更知る由も無い。
文献は残っているが、解読不能だった。
株に詳しくなれば、あのビッシリ書かれたノートの意味も、多少は解読できるのだろうか。
株もFXも、まあ似たようなもんだろ。つーか、見た限り、株よりもFXの方が博打性が高く、結果が出易いと判断。
婆さんの兄は、株だけで喰っていたのだが、オイラは今時っぽくFXに派生させるぜ!
あの世で応援しておくれ!ジッチャン!あんたの博打魂、オイラが引き継いだゼ!!
そんな熱い魂の話はともかく、要するに
『働かなくても喰っていくことの出来る状況を作りたい、あわよくばそれだけで必要充分以上の収益を得る状況にしたい。』
こんな怠け心から、FXに手を染め出します。
馬鹿にするならすれば良い、馬鹿げていることはわかっているし、現に成功しているFXer(FXの先輩達を指す)も、たぶん当らずとも遠からずな理由で、始めたハズさ。元々、ある程度の資金が無いと出来ないことだし。
だって、いつオイラが働けなくなるかなんて、わからないじゃない。
つーか、オイラはそろそろ、オイラのために、稼ぐ方法を真剣に考えたくなったのさ。
だから、とりあえずやってみるぜぃ。
本は、とりあえず入門書らしき3冊くらいは読んだ。
ぶっちゃけ、チンプンカンプン、というか、
『やってみなくちゃ、わからないのね。』
と、いうことは、わかった。
それで充分。競馬も麻雀も、最初は負けてばかりだったよ、そういえば。
とりあえず、そんな現状逃避というマイナスな思考から、FXに走る、ってのが本音。
さてはて、オイラが破滅に進むのか、はたまた成功して、一躍お金持ちになるのやら。
今から楽しみで仕方無いですわぃ。
最も、破滅するほど資金を投入する気はさらさら無いのだけどね。