先日、私は驚いた。

「Yさんの認識としては、ご自分の容姿が整っているという認識は無いんですか??」
とついつい聞いてしまった。



私は物心ついた時から自分の事が大好きである。
何か人より飛び抜けてできる事も無いし、目は一重だし鼻は低いし。
考えてみれば、親からも可愛いね~っと言われた記憶も無い。
鏡を見ては右目の目尻のマツゲのカールいい感じだわと喜んでみたり、ずっと鏡を見ながら私って可愛いと思わん?と母に質問し、「あんたは幸せだね…」と呆れられたりしていた。

とにかく私だけは私の事をいつも好きだし、なんとかなるんじゃないかと変な自信まで持っている。


それなのに…Yさん

Yさんはかれこれ8年ぐらい担当させてもらっている。
初めて担当させてもらったとき、なんて綺麗な人なんだろうと思った。
これだけ綺麗な人だと周りの人から美人ね~いいわね~などと褒められて飽き飽きしてるかもなんて考えたりもした。
今人気の吉田羊さんみたいなシャープな顔立ち。
鼻がすーっと高くて、スッキリした二重。
色白でガハガハ笑わなくてクスクスっと微笑むしっとりした40代女性。
花に例えるならキキョウや山桜のような控えめな美しさ。
まぁとにかく美人なのだ。


そんなYさんが自分の顔が嫌いと言った。
衝撃だった。

いつもとは違ったヘアスタイルを提案した私に
「それは顔が綺麗な人がしてたら素敵だと思うけど、私には似合わないよ…。私は自分の顔が嫌いなの。」と言ったのだ…。謙遜しているようには見えなかった
「?」一瞬考えた。。。
「え?Yサんの認識としてはご自分の容姿が整っているという自覚は無いんですか?」
なんて間抜けな質問をしてしまったんだろう…。
整っていると思ってるとは思っていても言えないじゃないか…。

私「絶対似合います!」
Yさん「じゃ任せる」

もちろん美人だもんどんなスタイルしても似合うもん。
笑顔で帰ってもらえた。


さて、これはだれの責任なんだろう。
○8年も担当していながらYさんを美人だな~と思っている事を伝えてこなかった私の責任なんだろうか。
○ご主人が気持ちを上手に言えない人だったのか。
○ご両親が褒めて育てなかったのか。
○周りの女友達が妬んだのか。



高校生の時に美容師さんに嫌だった癖毛を褒めてもらった。
「ちょうどいい癖毛だよね」
他の美容師さんにこうも言われた
「お化粧したら映える顔立ちだよね(今思えば褒めたのだろうか…)」
そんな何て事無い言葉に勇気づけられた。

これからは感じた事を伝えていこう。
流行の顔に近づけるのではなくて、客観的に素敵だなと思った事を口に出そう。
自身の事を好きになってもらおう。
これも美容師の仕事なんだ。


Yさんが帰った後、高校3年生の男子をカットした。
私「ねぇ、さっきのお客さん見た?」
K君「見たよ。めっちゃ綺麗な人だったね」
私「そうなんよ!。でもね、さっきの人自分の顔好きじゃないんだって」
K君「え!?あんなに綺麗な人なのに?えー」


K君、君はきっと素敵な男性になるね。ちゃんと人の顔見てる。
感じた事を素直に口に出せてステキです。