ある日、BMWのクリーンディーゼル車用エンジンオイルについて熱く語っている時にお声掛け頂いたお客さん。
自分のロードスター(ND)を頼みたいとご連絡を頂きました。
このお客さんも察しが良いですね。 読者で気付かれた方はプロの領域です。
ND5ロードスターはスポーツカーでありながら、0w-20オイルが指定の直噴エンジンなんです。今時BRZ(86)も0w-20指定なので特殊な話題でも無いかもしれませんが、エンジンオイルで悩んでおられる方はかなり多いと思います。
結果として… 純正に落ち着くのが大半でしょう
BRZ(86)はお客さんの協力もあってかなり粘度やベースオイルを煮詰めてノウハウを蓄積しました。特に油温がこの車の難関です。これがベスト❗️と言う選び方ではなく、シチュエーションに合わせて最適な提案ができるようになりました。
さて、話はマツダのロードスターに戻ります。この車の指定オイルは0w-20、5w-20、5w-30です。5w-30が入っていて10w-30 が入っていないと言うことは、エンジンのどこかの【オイル流路がかなり狭い】か、【オイルポンプが貧弱】かのどちらかであると断言できます。ロードスターの場合は前者でしょう。
エンジンをいじった経験がある方なら思い当たる節があるのでは?
平たく言えば、エンジンオイルの低温流動性が、このロードスター(ND)のオイル選びの鍵になります。
ここでチューニングにも役立つポイントですが、【油圧】と言う言葉がよく出てきます。
正しく認識されている場合は良いのですが、粘度を上げて油圧が上がったと単純に喜んでいるユーザーは要注意です。【油圧】=【油量】ではありません。機会があれば詳しく書きます。
もう一点の難関が直噴です。今までの経験上、【低粘度オイル+直噴エンジン】は最悪の組み合わせです。この組み合わせの車が後々どうなるのか… 嫌という程拝まされてきましたからね。ここでも、直噴エンジンは【早く温めたい】と言う側面と、スポーツカー故に【熱に強い】と言う真逆の側面で折り合いをつけなければいけません。
※オイル消費が起こっていないエンジン限定の話
必要な要点をまとめます。
①低温流動性が良い
②高粘度は使えない
③0w-20以上の粘度は確保したい
④熱に強い(耐・熱ダレ+耐・熱劣化)
SAE粘度0w-20の40度動粘度は35cSt前後
SAE粘度5w-30の40度動粘度は60cSt前後
ゴールデン5w-30(純正)の鉱物油から粘度をあげる場合は…
PAOベース(エステル無し) 40度 70cStMAX
PAOベース(エステル有り) 40度 80cStMAX
40度の動粘度が上がっても、PAOベースやさらにエステルが配合されることで低温流動性が向上していますので、ほぼ同条件で使用できます。
PAOベース(エステル配合)であれば、40度80cStと言うとSAE粘度5w-40辺りでしょうか。5w-40でも40度動粘度が90cStの物もあったりしますので、この辺は製品によって違ってきてしまいます。
わかりやすいようにSAE粘度で表記すると、高性能(素材の優れた)オイルに限って、サーキットなどを走行する場合は上限5w-40❗️ 注意: 40度80cStMAXです
これがNDロードスターの暫定限界値です。これ以上の性能が必要な場合はオイルクーラーを付けると言う違うステップに移行すると言うことになりますね。
ニューテックの製品で言うとZZ-01(5w-35)や、NC-53E(2.5w-40)が該当するでしょうか。
後々サーキットも走りたいと言う要望なので、限界を定めておくことはとても重要です。
さて、実際は大半が街乗りで、これから冬到来という事も考えてもう少しマイルドな選択をしようかと。低温流動性に重きを置いて、ZZ-11(0w-20)をベースにNC-50(10w-50)で粘度を調整します。具体的には、ZZ-11が75%、NC-50が25%で40度動粘度は約55cStです。何だよ❗️ 結局5w-30(取説通り)くらいじゃねーかよと突っ込まれそうですが、ベンチマーク(基準)を決める事でまずは第1のステップで純正との比較や耐久性をチェックするのが目的です。
また、ZZ-11と言う選択は、このオイルが比較的温まりやすい特性も加味しての選択です。0w-20でありながら、5w-30指定の車に入れてもガンガン使えます❗️と公言しているように耐熱性もまぁまぁ良好です。
※純正0w-20との比較では圧倒的な性能差です
こんな感じでお客さんと【オイルについて煮詰めて行く】作業は最高に楽しいですね❗️
私もノウハウを蓄積できますし、お客さんの車も仕上がって来る…
次回は油圧の話か? BRZ(86)の話か?
はたまた全く違う内容かも?? いつも気紛れですいません