血液はじつは、細胞の塊なんです。

私たちは血液をその名のとおり液体だと思っている。それは一種の誤解である。血管から出れば液体のごとく振舞うが、体内での血液は主に赤血球という細胞がほぼ連なってできている巨大な酸素運搬器官なのである。

血液の流れというのは、場所によってスピードが極端に変わります。末端に行くほどに遅くなるんです。

例えていえば、心臓から出る大動脈の段階では、まるでジェット機並み。毛細血管では、徒歩でテクテク歩いてる、そこで大切な酸素を手渡しするという感じです。

どうして、毛細血管を通るのに時間がかかるのかというと、毛細血管の直径は赤血球の直径より狭いんです。無理やり押し通る格好になるのです。狭いところを無理やり通ることで、赤血球は血管壁と密に接触しそこで酸素を手放してまわりの細胞に渡すんです。

誰でも、心臓から全身へと酸素を運ぶ往路が動脈、逆に心臓に戻る復路が静脈という常識はご存知でしょう。

では、動脈と静脈の境目をご存知かと聞かれると、どうか。?

境目は毛細血管である。赤血球は動脈から毛細血管に入って酸素を渡します。毛細血管の先には静脈が待っていて、赤血球はそこを通って一目散に心臓に戻るわけです。

一目散に戻る理由は、酸素を持たない、いわば「空の状態」で赤血球が血管を移動しているヒマはないのです。

酸素を渡したら、すぐに心臓に戻り、肺へと送られ、そこで新たな酸素を受け取る。それをまた全身のどこかに届けるために一目散に駆け出していくわけです。

赤血球は血球の中で最も多い細胞です。全身へ酸素を運ぶ重要な役割を担っています。
赤血球は、細胞の中に「ヘモグロビン」というタンパク質を持っています。これは「ヘム」という鉄を含んだ色素と、「グロビン」というタンパク質からできおり、赤血球の重量の3分の1を占めています。鉄は酸素とくっつきやすい性質(酸化)があるため、鉄分を含むヘモグロビンによって酸素が全身に運ばれているのです。また、酸化鉄は赤色を示します。血液の赤色は、ヘモグロビンに含まれる鉄が酸化した色なのです。

鉄欠乏性貧血とは、

鉄が少なくなると、十分な量のヘモグロビンが作られなくなり、貧血になる場合があります。これが日本人に最も多い、「鉄欠乏性貧血」と呼ばれるタイプの貧血です。過度のダイエットなどによる栄養不足や、腸からの鉄分の吸収が不十分な場合、生理の出血や子宮筋腫などの要因によって鉄分が不足することで起こります。

男性は貧血になりにくい。

女性は、生理・妊娠・ダイエットなどで、男性に比べると貧血になりやすい傾向にあります。また、もともと女性の方が、男性に比べて赤血球の数が少ないことも大きな原因になっています。
 なぜ、男性の方が赤血球数が多いのでしょうか。これは、男性ホルモンが深く関係しています。血球の元となる
造血幹細胞が赤血球へと変化するためには、「エリスロポエチン」と呼ばれる腎臓で作られるホルモンが必要ですが、実はこの合成を促しているのが男性ホルモンなのです。そのため、男性の方が赤血球は多く作られます。ただし、男性ホルモンは70歳前後より減少するため、それ以降は赤血球数の男女差が縮まっていきます。