赤坂テレビ通販の裏側 11話:100gのはずが95gだった日。私は会社の“闇”を知った
テレビ通販は日本で最も不思議なビジネスです。なぜ突然ヒット商品が生まれるのか。なぜ同じ会社が何度も成功するのか。赤坂テレビ通販の現場から、業界の裏側を記録します。11話:100gのはずが95gだった日。私は会社の“闇”を知った赤坂のTV通販会社で働いていた頃の話です。画面の中は華やかで、夢を売る世界。人気司会者、巧みな実演、飛ぶように売れる商品。けれど、その裏側にはどうしても拭えない違和感がありました。そしてある日——「たった5g」のズレが、すべてを壊しました。「私の将来をどうしてくれるの!」女社長の怒鳴り声が、フロアに響き渡ったあの日のことを、私は今でも忘れられません。TV通販という“数字の世界”TV通販は、普通の販売とは桁が違います。1回の放送で、何千個、時には何万個と商品が動く。ですが、その裏側はシビアです。通販会社の取り分はおよそ40%。原料費、製造費、パッケージ費を引くと、最終的に会社に残る利益はわずか15%ほど。つまり——利益を出すためには「仕入れをどこまで下げられるか」がすべてでした。社内では、常にコストの話ばかり。けれど、ひとつだけ絶対に触れてはいけない領域がありました。それが——女社長の仕入れルートです。誰も逆らえない空気問題の石鹸は、人気商品の類似品として開発されたものでした。いわゆる「売れているものを参考にした商品」です。ですが、社内では違和感が広がっていました。同じような石鹸が、コンビニでは200円で売られている。それなのに、私たちの仕入れ価格は500円。「もっと安くできるはずじゃないか」そんな声は何度も上がりました。それでも——誰も女社長に意見は言えませんでした。なぜなら、その仕入れルートは社長個人のものであり、そこに踏み込むことは“タブー”だったからです。社内では、こんな噂も流れていました。「社長が間でマージンを取っているんじゃないか」真偽は分かりません。でも、誰も確かめようとはしませんでした。私が踏み込んでしまった日ある時、トラブルが重なり、社員が次々と辞めていきました。現場は回らなくなり、私は考えました。「このままじゃ会社がもたない」そして、意を決して女社長に伝えたのです。「仕入れ価格、もう少し下げられませんか?」本来なら、誰も言わない言葉でした。けれど——社長は、意外にもあっさりとこう言いました。「分かった。やってみる」数日後。「50円下げられたよ」そう言って、笑顔を見せたのです。私は、正直ほっとしました。怖い人だと思っていたけれど、話せば分かる人なのかもしれない。そう思ってしまったのです。——それが、すべての始まりでした。100gのはずだった石鹸が納品された日。私は何気なく、重さを量りました。100gの商品。当然、100gあるはずでした。ですが——表示された数字は、明らかに軽かったのです。「……あれ?」嫌な予感がしました。別の箱を開け、ランダムに取り出して測る。また足りない。さらに別の箱。やはり足りない。血の気が引きました。誰が嘘をついているのか私はすぐに、工場との間に入っている女性S氏に連絡しました。発注は、いつも彼女を通して行われていました。「100gで依頼していますよね?」そう伝えると、彼女ははっきりと言いました。「依頼通りに作っていますよ」私は確かに、100gで書面を作っています。証拠もある。それなのに——現物は違う。頭の中が混乱しました。誰かが間違えている。でも、それが誰なのか分からない。その夜、私はほとんど眠れませんでした。女社長の怒号意を決して、女社長に報告しました。次の瞬間——怒鳴り声が飛んできました。「私の将来をどうしてくれるの!」社長はデスクに突っ伏し、全身を震わせながら怒りをあらわにしていました。私は、何も言えませんでした。ただ、立ち尽くすしかなかった。「大丈夫だよ」という言葉その後、S氏から連絡がありました。「大丈夫だよ」「工場には多めにお願いしてるから、98gはあるよ」「社長にも話しておいたから」その言葉を聞いたとき、正直、少しだけ救われた気がしました。問題は収まった。そう思いたかったのです。そして知った“真実”けれど——後から、すべてが繋がりました。あの石鹸。最初から100gではなかったのです。95gに変更したのは、女社長本人でした。たった5gで壊れたものあの時の感覚は、今でも忘れられません。5g足りない。たったそれだけの話です。でも——その5gの裏側には、責任の押し付け、作られた混乱、そして意図的な操作がありました。私は、完全に振り回されていました。自作自演の中で、「加害者」にされかけていたのです。あの瞬間、何かがはっきりと壊れました。それは、会社への信頼でした。これは、氷山の一角だった今振り返ると、あの出来事はほんの一部にすぎません。TV通販という巨大なビジネスの裏側には、もっと多くの“歪み”がありました。この話は、まだ続きます。もし興味があれば、フォローしていただけると嬉しいです。#テレビ通販#化粧品#ビジネス#心理学#エッセイ#経営者#ヒット商品#成功#赤坂