2023.4.29

=旧神谷伝兵衛稲毛別荘=(登録有形文化財)

竣工 1918年(大正7年)

様式 ロマネスク様式

この建物は、浅草の神谷バーや牛久市の牛久シャトー(シャトーカミヤ)を創設し「日本のワイン王」として知られる神谷伝兵衛の別荘です。この建物のある稲毛は、稲毛海岸があり、1888年(明治21年)に稲毛海気療養所が開設されるなど保養地として知られる場所でしたが、1899年(明治32年)に総武鉄道(現:JR総武線)の稲毛駅が開設されると海水浴や潮干狩りを目的とする観光客でにぎわうようになり、旅館や別荘が相次いで建設されました。

1917年(大正6年)に還暦を迎えた神谷伝兵衛は静養を目的として、稲毛海岸で別荘の建築に着手し、1918年(大正7年)に鉄筋コンクリートの洋館が竣工しました。これは千葉市に現存する最古のRC構造建築です。

1921年(大正10年)に京成稲毛駅が開業すると、東京から稲毛海岸へのアクセスが容易となり、神谷伝兵衛は春に稲毛別荘に訪れてつつじを鑑賞したり、夏の海水浴の時期にもこの別荘で過ごしました。かつては、建物の目の前には東京湾が広がっていましたが、1960年代以降の埋め立てにより海岸線は南進し、現在の海岸線は別荘から2.5kmも離れてしまい、海を見ることはできません。

1964年(昭和39年)には和館が取り壊され、1965年(昭和40年)には和館跡地に製パン会社の川島屋の社員寮が建てられました。1984年(昭和59年)に川島豊治から千葉市に対して稲毛別荘が寄贈され、1988年(昭和63年)11月から旧社員寮を用いて千葉市民ギャラリー・いなげが開館しました。

③外観は白色磁器質タイルで仕上げられています。

④ポーチ

⑩玄関ホール

⑫応接室として使われていた洋間

㉖次は2階の和室の写真です。