仕事が増える社会

Windows95が発表されて以降の社会の変革は目を見張るものがあった。 Windows95と時を同じくして携帯電話が普及し、直後にはiモードが登場した。ここからは坂を転げ落ちるようなスピードで新たなデバイスやアプリケーション・ソフトが続々と登場しました。

 

携帯電話の搭乗した時、「歩きながら電話する意味がわからない」などとテレビのニュースで取り上げられていたのですが。今では、街中で歩きながらスマホを見るかスマホで電話をしている人を見かけないことがないくらいになってます。

 

私が社会人になった頃(昭和61年)にはポケベルものなかったので、営業で外に出たら会社から電話で追っかけられることは全くありませんでした。おかげで、かなり自由に時間を使ってました。しかし、今では、どこにいてもスマホに電話はかかってくるし、メールも届く。そのため、仕事の情報から逃れることはできない状況になっています。仕事が増える要因です。

 

昭和61年当時は、午後外出してそのまま会社に戻らないということは簡単でした。会社に戻らないため、夕方仮に課長が私に指示したいことがあっても、私が会社に戻らない旨の報告の電話をした時に課長が不在であれば、課長からの仕事は翌日に回すことができました。往々にして、課長からの仕事は思いつきで、一晩経つと価値のないものになります。翌日課長から指示されることはありませんでした。

 

しかし、今は違います。課長は用事があればスマホで「あれの件だけど、どうなっている?確認したいので帰って報告してくれ」なんていうどうでもいい指示に従わないといけません。この電話で会社に戻ることになり仕事が増えることになるのです。

 

スマホという情報交換に便利なツールです。便利なので本来は仕事を減らす目的のディバイスです。しかし、現実には仕事を増やす要因になるというのが情報化された便利な社会が抱える矛盾だといえます。

 

つまらない仕事が増えていく社会

便利なデバイスやツールの登場は無駄な仕事を増やすようになります。パソコンのアプリケーションソフトはいつの間にか「アプリ」という言葉に短縮されました。この短縮のおかげで、意味もなく「アプリ」は身近で便利なものと感じるようになリマした。この身近になったことが仕事を増やすようになったのです。

 

最初の表計算ソフトは、本当に表計算しかできませんでした。そのため、見栄えなんてものは関係がありませんでした。複雑な元利均等の支払い例の計算や減価償却費の計算などをやってくれる程度のものでした。それが、Windows 95に乗せられたエクセルはグラフィック的な要素がくっついたものに変化していきました。

 

グラフィック的要素が加味された結果、表示を綺麗に見せるようなことをするようになっていきました。本来、表計算ソフトなので計算がしっかりできていたら機能として十分なはずなのに、デザインを意識することを求められるようになっていったのです。

 

課長は「もう少し表の色を明るくして」や「線がわかりにくいな」など、感覚に伴うような指示を出すようになっていきました。そのおかげで、表計算では単純な計算のみならず、デザイン性まで求められるようになりました。そうなんです、便利になることが「表のデザイン」というつまらない仕事を作るようなことになったのです。

 

農業革命・・・サピエンス全史

新型コロナ禍の中で、これからの社会を考えるということでよく取り上げられるようになったのがイスラエルの社会学者のハリルです。ハリルの著作の中に「サピエンス全史」というものがあリマス。これは、ホモ・サピエンスがどういった経緯で今に至っているのかを大河の歴史の中でその変遷を解説している本です。

 

ハリルは3つの革命でサピエンスの歴史を解説しています。一番目が「認知革命」で、これはホモサピエンスは「神の存在」を認知することで社会を構成したと解説しています。次が「農業革命」で。このおかげでホモ・サピエンスは定住することが可能になりました。最後が、近代における「科学革命」になります。日本人にはわかりにくいのですが、1800年後半まで西洋ではキリスト教の支配が強く、知性を否定し科学を否定するような環境にありました。しかし、「科学革命」によりキリスト教でも科学の発展を否定できず、キリスト教的社会の根本が変わるようになったと指摘しています。

 

そんな歴史観の中で興味を惹くのが「農業革命」です。「農業革命」は、不安定な狩猟生活から決別したのですが、農業で安定した生活をもたらしはしたが、ホ・モサピエンスに幸せをもたらせなかったとハリルは分析しています。

 

農業は天候に左右されたり、害虫に襲われたりする可能性があるため、毎日農地に赴くことが必要なのです。そのため、便利になり、幸せになるはずだった「農業」が仕事を増やし、天候による心配から不安をより強く持つようになったそうです。それに引き換え、狩猟時代は食料がない時だけ働けばよかったで仕事に追われることはなかったのです。

 

そうなんです、残念なことに昔からホモ・サピエンスは便利になることで、仕事に追われるようになっているのです。

 

仕事を減らすにはどうする

どうですか、幸せを呼び込むと考える便利なディバイスが人を仕事に縛り付け、仕事を増やす道具になることがわかりましたか?そこで、考えないといけないのがこんな環境下で「どうやったら仕事から解放されるか?」です。

 

実は便利なデバイスやソフトができることで発生する仕事の多くは無駄なものなのです。資料の見栄えは大切なことですが、でも一番大切なのは「中身」なので、資料や報告書類の作成は「中身」のみに注力し見栄えは無視することです。

 

そんなことができるのか?という話になります。それは可能です。基本的に面倒ですが資料は二つ作るようにしてください。一つは報告のエッセンスをまとめたものです。基本的に、この資料を見れば何が問題で、どうしたいのか?などの決定すべき事項がわかるものにします。説明はあくまでもこのメモで行います。

 

もう一つは「資料集」です。こちらは、1枚目のメモを補足資料です。ここでは見栄えは関係なく、短に事実やデーターだけを羅列します。なので、見栄えは無視です。大切なのは事実ですから。1枚目のメモを作るためのデータは収集するわけですから。これらのデータを単純にコピペすればいいだけです。

 

これだけで、仕事量は減るでしょう?作成に必要な作業は1枚目のメモを作るだけです。仕事を減らすのに必要なのは、仕事の内容を考えることにあります。今回の仕事を減らすためのメモの話は「何が目的か」を考えることで可能になりますので。次回はその辺りのお話でもいたします。

 

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