ブロック塀は保険がらみの問題?
はじめに
先日指摘したブロック塀の問題と同じ問題がテレビで話題になっています。こちらはブロック塀でなく、ゴルフ練習場の鉄塔です。皆さんもテレビで見てご存知だと思います。
9月20日現在で問題になっているのは、当初練習場の経営者はできる限り補償すると言っていたのが、その後代理人弁護士からの通知で補償の義務はないと言ってきたそうです。
マスコミでのコメントは「かわいそう」のような論調ですが、基本的にゴルフ場の運営者には損害賠償の責任はありません。「えっそんな」と思われるでしょうが賠償責任がないのが民法の規定になっていますので。
民法では、損害賠償の責任を「不法行為」に基づく場合に発生すると規定しています。その中で、「建築物」に関する規定が第717条にあります。
「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。」
意味するところは、建物等に瑕疵(欠陥)があった場合にのみ損害賠償の責任があるということで、瑕疵がなければ責任はないとなっています。瑕疵の基準は、最判昭和46年4月23日では、本来備えるべき安全性を確保していないと瑕疵に当たると判断しています。
そうなんです、通常の状態であれば損害賠償の責任はないことになります。例えば、ゴルフ練習場で定期的な点検を行なっていれば免責になるのです。そうなると、存在するのは、道義的責任だけですので賠償ではなく見舞金の話になります。ゴルフ練習場の代理人弁護士が「弁護士雇うと費用分損しますよ」と話したのはこの条項からです。
訴えるとなると、練習場のメンテナンスの瑕疵を証明することが必要になります。証拠は全てゴルフ練習場側にありますから裁判では不利でしょう。代理人弁護士は適切なアドバイスをしており、被害者の方は見舞金をいくらとるのかの交渉になる方が被害者にとって有利になると考えてアドバイスしたのだと思われます。
そこで今回は、保険の考え方を調べてみましたので保険に関して調べて感じたことをお話ししたいと思います。
火災保険を調べてわかったこと
ネットで保険のことを調べて感じたことは、「難しすぎる」「探すのが大変だ」ということでした。保険のことを理解するにはどうも民法の規定が理解している人でないと無理だということに途中で気がつきました。
私のような一般人は「保険はほとんどの損害をカバーしてくれている」と考えがちなので損害保険の内容は簡単には理解できません。そのため、「この場合には保険が出るの?」と考える場合には、「私が補償しないといけないの?」という言葉に変えて考えることが必要になるのです。
保険は法的責任をベースに約款が組み立てられています。この法的責任とは、民法で規定されている「不法責任」の概念がベースになります。交通事故で損害を与えたらこちらは過失相当の金額を相手側に支払う義務があります。これが交通事故という「不法行為」に関する責任ですから支払いの義務が生じます。実際には、交通事故に関しては自動車損害賠償保障法という特別法で細かな規定が制定されています。
そうなると、民法上の責任が存在しない場合には、原則保険金は支払われないことになります。ここまで分かるようになるのは本当に大変でした。
火災保険がカバーするものは
保険でカバーするものを理解するために、損保ジャパンのホームページで保険の対象となるものを引き出すと
「保険をつける対象となるものを「保険の対象」といい、ご契約の際にこの保険の対象を特定する必要があります。
個人のお客さまの場合、保険の対象はご自身が所有する住居として使用される「建物」と「家財」になります建物に火災保険をつけただけでは家財の損害は補償されません。このように、保険の対象に特定されていないものが損害を受けても一切補償されませんので、注意が必要です。」
ここで、読み解くのが難しいのが、この内容からは「『建物』関して発生したことは全てカバーしてもらえる」と思えることにあります。実は、損保ジャパンは「『建物』に対して発生したことしか実は補償しない」ということが含まれているのですが、この文章ではそうは読み解けません。
こちらは東京海上日動の火災保険の補償内容の説明文書です。ここに補償の内容が説明されているのですが、通常は斜め読みするので、「あ〜こんなこと補償してくれるんだ、いいな」などと思いがちです。
しかし、細部を読み解くと火災保険の本質がわかります。通常は支払われない例を見るのですが、大事なことは「支払う場合」の方で、火災保険の本質が書いてあります。
それは、全て「により損害が発生した場合」と書いてあります。「保険対象の建物に損害が発生した場合に保険は支払います」という内容になっているのです。そうなんです、「特定された建物に直接発生した損害に関して保険金を支払います」が「建物が原因で第三者に発生した損害に関しての保険金は支払いません」となっているのです。
これは、保険がかけられる「建物」なので、通常は瑕疵がないと判断することもあり、民法の第717条の規定により損害賠償の責任はないと考えているため、支払いが建物に限定しているのだと思われます。深いです、保険は。
火災保険で特約をつける
火災保険の本質が「建物」に関してとなる、隣地に関して発生した損害に関してどうやって補償をするべきかの話になります。そこで、出てくるのが「施設賠償保険」のように、建物の不備から発生した損害に関して賠償する保険が必要になります。この保険は賃貸ビルなどではかけられます。
このような視察賠償保険のようなものが個人住宅にないのか?というと一定の条件下で「特約」をつけることで保険金の支払いが可能になります。
東京海上日動では、「個人賠償責任補償特約」という特約をつけることができるようになっています。解説を読むと、カバーするのは民法第717条の「瑕疵」が認定された時には補償しますという保険のようです。
これも民法第717条を理解してから出ないと理解できない話になります。火災保険の理念はあくまでも「不法行為」があった場合に関して補償するとの考えです。そのため、この「不法行為」が認定されないと補償しないとこになるのです。
そのため補償リスクの中に「管理不備等」という言葉が入っています。たとえ、この特約をつけても「管理不備等」すなわち「瑕疵」がないと保険金は支払わないということになります。多分、見舞金も支払われないことになると思われます。
たとえば、昨日の話で取り上げた「倒れたブロック塀」のように鉄筋がないなどの瑕疵があると考えられますので、保険金が支払われる可能性は高いと思われます。しかし、適切な工事をしていたにも関わらず、ブロック塀が倒れて隣の家に傷をつけても法的責任がないために保険で支払うことはできないと思われます。この辺が、ゴルフ練習場の話とは前提条件が異なってきます。
大事なことは
さて、火災保険の本質に関して民法にまでさかのぼって検討してみました。そこから見えてきた風景は不安を招く内容だったと言えます。
保険でカバーできるものの原則からいうと「危険なブロック塀」は特約をつけると損害はカバーできる。「ブロック塀」で囲まれた家にお住いの方は一度保険契約の内容を点検することをお勧めします。
もし、特約で付保していないようでしたら、早急に保険を見直すことをお勧めいたします。あるいは、根本的にブロック塀を点検して安全性の確認をすることをお勧めいたします。
今回はこの辺で失礼いたします。
私たちは、この他に「家を建てる」ということや「リノベーション」に関してのブログも書いておりますのでよろしければそちらもご覧いただければと思います。
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