マンションの企画において、大量生産を前提としてシステムが組み立てられていますのでマニュアルを前提とせざるを得ません。マンションに関する各事業主体も最初の頃は、コストのこともありますが、いいものを作ってお客様に喜ばれたいとの考えから設備等を色々と検討して変更しがちです。
しかし、設備などを変更するとその後お客様からクレームが発生したときに、「えっどんな設備だったっけ?」と社内で探すことから対応が始まることになりますので大変な騒ぎになります。お客様サイドは問題が発生しているので早く対応してもらわないと困る。そういった経験を積むことによって設備の統一やマニュアルでの管理がなされるようになていきます。
マニュアル化されると商品企画での自由度が削られることになります。例えば、この地域は独身者が多いのでとか、高齢者が多いのでとかの特徴をベースに商品企画するとなると上司や組織の説得は大変な作業になります。そのため、スピードを優先して、マニュアルを守る方向になりがちなのです。
その結果、個性のない空間になってしまします。そこが個性を重視されるみなさんとって違和感を覚えるのだと思います。このマニュアル化の一つの例が風の流れの表示です。パンフレットや広告で水色で「風の流れ」と書いてあります。しかし、現実には個室にはドアがあり、リビングと廊下の間にもドアがあるために風が流れることはありません。仮にリビング側の窓を開けそして寝室側の窓も開けて寝室のドアを開けたとします。すると、猛烈な風が流れるためにリビングのドアは閉じていても開いてしまします。この時は本当の風の流れを感じることは可能ですが。
しかし、この風の流れの実験にも嘘が一つあります。それは、寝室側の窓は開け放つことができにくいということです。多くのマンションは開放廊下という構造になっています。寝室側の窓は廊下に面していて同じ階の入居者の方が通りますので開けることが現実にはできない窓になています。
特段奇をてらった家に住みたいと思われていないみなさんでも、このようなシステムで作られる家に対して違和感を覚えるのだと思います。やはり、そこに住む方がどんな生活をするのか?その生活にはどんな機能が必要なのか?そしてそこで生活される方はどんな満足を得られそれを得るために何を犠牲にしてもらえるのか?こんな風に考えられた家での生活を求められているのではないでしょうか?
商品企画とは実は取捨選択で、全ての事象はトレードオフの関係の事象が存在します。ある事象を選択すると反対の事象を捨てることになります。例えば、部屋数を増やせば一部屋あたりの広さは狭くなり、部屋数を減らせば一部屋あたりの広さは大きくなります。単純なことですが常にこのトレードオフがあると考えていないと商品企画の問題点を把握できないと思います。
自分にあった家を探すことは本当に大変なことだと言えます。
