かくして2020オリンピックトライアルは終わった。

その中で池江璃花子選手が奇跡の復活を遂げた。

中でも彼女が新しい姿を見せたのは100m自由形準決勝だ。

前半を7番手で力を最小限に抑え、それを上回るタイムで後半を泳ぎトップに立った。

テレビの解説者は意図が解らないと言ったがこのレースは彼女にとっても日本選手にとっても

大きなきっかけとなるレースであった。

池江選手は決勝でも他を圧倒して優勝し、記録的には派遣標準記録には届かなかったが

リレーでの出場を内定しているのでオリンピックでのこの種目出場が予想される。

本番での世界を向こうに回して大向こうを唸らすレースで金メダルを期待したい・

私はこのレースを見て1932年のロサンゼルス五輪男子100m自由形金メダリストの

宮崎康二選手の話を思い返していた。

もっとも私の生まれる20年以上前のことなので実際の映像は見ていないが

オリンピックから40年後に本人の話を聞く機会があった。

宮崎選手はオリンピックを決める日本選手権前、病気のため長期入院を強いられて

やっと迎えたレース前、宮崎選手は

「自分には体力が無いので前半を押さえ後半に集中しよう」

と思って泳ぎ優勝してオリンピックを決めた。

オリンピック本番も同じ戦法でワイズミューラーの持つ大会記録を更新して金メダルを

獲得した。

89年後のTOKYOで池江璃花子選手は宮崎康二さんの魂の泳ぎを再現してほしい。

世界への新たな旅立ちである。

偉大なるレジェンドが池江璃花子選手を蘇らせた。

私にはそう思えてならない。