今朝、東北のある少女のお母さんから電話が入った。

電話の内容に大きなショックを覚え、悔しさのあまり涙がしばらく止まらなかった。小学5年生の彼女は私のブログを読み、矢も楯もたまらず昨年末、そして今年の春休みに私の合宿に飛行機乗ってたったひとりで来た。

励まし合って、号令をかけて、笑って、喜んで、

彼女はそんな楽しい練習を体験して、合宿で出会ったチームメイトとの友情を高め、絆を強くして故郷へ帰っていった。

その彼女がいま辛い思いをしているというのだ。

チームへ帰っての練習では、私のチームのルールである「挨拶、号令、かけ声、返事」の習慣は無く、彼女がそれを実行したところ、周りから揶揄され、コーチにもよく思われず口をつぐんでしまった。

コーチからは速い選手が絶えず優遇され、期待される。

しかし、そうでない選手はコーチの視界には無く評価は低い。

先日の大会で彼女は、年上の選手の中に混じってリレーを泳ぐにあたり、他のメンバーからの辛い態度、言葉に大きく傷ついたと言う。

私が彼女に最初に出会ったときにかけた「あきらめないで」という言葉を胸に涙をこらえて毎日泳いでいるという。

私はつくづく思う。「水泳ってスポーツじゃないの?」と

近代オリンピックの父、クーベルタンの「友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献する」という信念とは程遠い状況である。

これは彼女のクラブだけの問題ではない。

同じようなクラブが多いのではないだろうか。

選手は競技力の優劣に関係なく、同じ時間と空気と話題を共有し、励まし合って、手を携えて目標に向かって突き進んでいく、その姿が尊いと信じている。

彼女のチームが早くそんなチームになることを心から祈っています。

ONE FOR ALL, ALL FOR ONE