ハイポキシックトレーニングは、約30年近く前に、日本水泳界に紹介され
た。それは呼吸制限をすることにより、心肺機能を高めるというとても重要
なトレーニングである。
紹介された頃は、主にクロールのプル(腕だけで泳ぐ)の練習の際に行う
ものであり、呼吸を3ストロークに1回、5ストロークに1回、7ストロークに
1回と制限して泳ぐことにより効果を高めるのである。苦しさでストローク
が乱れないよう、ストロークに集中して行うというものであった。しかし、
レースでこのテクニックを使用する選手をよく見かける。それもトップ選手に
もいるのである。これはどうなのかと首をかしげてしまうのだ。確かに3スト
ロークに毎に交互に左右に顔を上げるため戦況を確認し、ライバルをマ
ークするには有効だが、端っこのコースを泳いでいてもやっているのはな
ぜだろう。
そして、私が推奨する1.2秒に1回の呼吸タイミングよりかなり長くなるこ
とでパフォーマンスを低下させることに繋がることになりかねない。
それと、早く呼吸をしたいという意思が無意識に働き、ストロークが雑に
なり、正常なローリングの妨げになるのではないか。以前、よく言われて
いた Sの字、キーホールといったプルパターンは得られにくいのである。
これはハイポキシックトレーニングの弊害と言わざるを得ない。
もっとオーソドックスで、パワフルなクロールストロークの選手を育てて
欲しい。
ちなみに、私はハイポキシックの効果は潜水運動で行ってきた。
逆に、この方法でやることにより、バサロキック等のテクニックを高める
ために効果が高いと思われる。