【相手に関心を持つこと】
高野登氏の心に響く言葉より…
最近の日本社会のさまざまな現象を俯瞰したとき、なんだかとても子どもっぽくなっているように感じるのは、私だけでしょうか?
耐える力が弱くなっている、人を思いやる力が弱くなっている、相手を受け止める力も弱くなっている、相手に関心を持つ力も弱くなっている、使う言葉も弱くなっている。
本来であれば、いっぱしのおとなとして身についているはずのこうした力が弱くなっているように感じるのです。
ひと言でいうならば、愛情の薄い社会になってしまっている......。
とても品格どころの話ではありません。
ではこうした現象を自分自身の問題として考えてみましょう。
おとなの感性と品格を取り戻すために、最初に鍛えるべき力は何なのでしょうか?
私は、それは、関心を持つ力だと思っています。
相手に対して、周りの物事に対して、関心を持つ力です。
マザー・テレサの言葉を借りるまでもなく、愛の反対語は、憎しみではなく、無関心です。
すなわち、何事に対しても無関心になってしまったことが愛情の薄い社会になってきてしまっていることの原因のひとつだと考えます。
当然、人を愛おしむ感情もまた弱まっています。
人を愛することは相手を知ることから始まります。
優しいという字は、人偏に 憂うと書きます。
人を憂う感性もまた、相手を知ろうとすることから始まるのではないでしょうか。
でも、私は、私たちの愛情そのものが減ってきているとは思いません。
ただ、愛情に対する意識、それを表現する力が弱まっているだけです。
つまり、私たちの中にはまだ、豊かな愛情が眠っているのです。
では、自分の中にある愛情を目覚めさせるには、どうしたらいいのでしょうか ?
その答えが、相手に関心を持つことです。
この人は何を大切にしているのだろう。
どんな人生を歩んできたのだろう。
好きな食べ物は? 旅行は好き?
どんな働き方がしたい?
これからの夢は?
関心を持つから、相手を知ろうとします。
もっと関わりたいという思いが生まれます。
相手に伝えたいことも出てきます。
そして、相手の中で眠っている可能性に気づいたならば、それを引き出してあげたいと思うのです。
優しさにあふれた豊かな社会を築くために、自分にできることは何だろうか?
何事も他人事ではなく、自分事としてとらえるために、自分はどう変わらなくてはならないのだろうか?
そうしたプレッシャーを自分自身に適切な形でかけていくために、言葉を変え、言葉を磨き上げることが大切です。
そして、このように、私たち自身が自分を磨き続けることが、社会を変えていくということではないでしょうか。
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第32代アメリカ大統領、セオドア・ルーズベルトは「相手の関心事を見抜く達人」といわれた。
『ルーズベルトは、誰か訪ねてくる人があるとわかれば、その人の特に好きそうな問題について、前の晩に遅くまでかかかって研究しておいたのである。
ルーズベルトも、他の指導者たちと同じように、人の心をとらえる近道は、相手が最も深い関心を持っている問題を話題にすることだと知っていたのだ。」(デール・カーネギー『人を動かす』/hRドクターより引用)
対談やインタビューの名手といわれている人は、対談前に必ず対談相手の関心事について調べておく。
相手の直近の興味や関心事だ。
つまり、「相手の関心事に関心を持つ」ということ。
事前に下調べしていけば、「あなたに関心を持っています」ということは自然に伝わる。
それは相手への「共感」でもある。
昨今は、SNSで発信している人も多い。
SNSでは、その人が、最近どんな行動をとっているのか、つまり、どこへ出かけたか、何を食べたのか、誰と会ったか、どんな会合やセミナーに出たか、という興味や関心事が簡単にわかる。
おとなの感性と品格を取り戻すために…
「関心を持つ力」を身につけたい。
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