【世界の風向きが変わった】

ハンガリー首相のオルバンは、7月にEU理事会議長になってから、ウクライナの戦争を止めるために、世界中を外交してまわっていたけれど、北京からワシントンへ、ワシントンからフロリダへ飛んで、最後のミッションはフロリダのトランプ邸での会談だった。トランプとオルバンのツーショットの写真が世界中で拡散されて、ウクライナの戦争を止めるために動くつもりだとトランプが約束してくれたと、オルバンは書いていた。

それから数日後に、トランプが選挙演説中に暗殺未遂に遭って、間一髪のところで助かった。それについてオルバンは、トランプが助かったのは偶然ではなく、神がそれを望んだからに他ならないと、インタビューで語っていた。トランプには世界に平和を取り戻す使命があるので、彼がそれを実現することを神が望んでいるからなのだと。

世界中の多くの人が、まったくその通りだと思ったのに違いない。あのテロ事件がどのように起こったのか、どのような偶然でトランプが生き延びたのかを知ったら、何か大きな力が助けたとしか思えないからだ。

臨死体験をした人の中には、まだ時が来ていないから帰されたという体験をしている人もよくいる。私たち人間は、たまたま死ぬのではなくて、ちゃんと天が決めた寿命が来るまでは、何があろうと死なないようになっているようなのだ。それぞれにこの地上でやることになっている使命があって、それを果たすまでは地上で生きていくようになっているのだと。トランプの暗殺未遂事件は、そのことを世界中に思い出させたようなところがある。人間が小賢しくあれこれを画策しても、大きな宇宙の意志のようなものは、変えることができないということをだ。

暗殺未遂事件のあとで、ふたたび公の場でスピーチしたときのトランプは、まるで生まれ変わったようにさっぱりとした顔になっていた。臨死体験をした人は、神に触れるような体験をすることで、それまで人生を支配していた恐れを失ってしまうということがある。あのものすごい臨死体験をしたことで、トランプはますます神とともにあることを確信したのかもしれない。そのさっぱりと生まれ変わったような顔は、そうしたことを思わせるものがあった。

そのスピーチで、彼はオルバンのことを、「実にタフな男だ」と言っていて、世界を平和にするには、彼が大統領に戻るしかないとオルバンが言っていた、という話をしていた。7月8日に新しいツォルキンが始まったときは、オルバンが政府専用機で北京に到着したということにもう驚いていて、まさかトランプが、オルバンのことをこんな風に公に語る日が直に来ることになるとは、誰も思っていなかったと思う。

暗殺未遂事件があった数日前に、ワシントンで行われたNATOサミットで、バイデンがウクライナ大統領のことを間違えて「ウラジミール・プーチン」と紹介してしまってから、全世界はアメリカの次期大統領はトランプだと思い始めたようだった。ヨーロッパのエリートたちが、トランプとコンタクトを取ろうとし始めているという情報が出てきていた。それが、暗殺未遂事件のあとで、もはやトランプが次期大統領になるのは必然だと世界中が考えているかのようだ。ウクライナについて、台湾について、トランプが何をどう言っているかに全世界が注目していて、それによって先行きの見通しを立てているようなのだ。

トランプは、バイデン政権のときに始まった戦争は、すべて終わらせると言っていた。ということはつまり、ウクライナもイスラエルもだ。こうした戦争は、つまるところ、アメリカ政府が支援しているから終わらないだけなので、アメリカ大統領が終わらせようと思ったら、すぐに終わるようなものなのだ。台湾についてもトランプは、台湾はアメリカに対してチップ事業の邪魔をしただけで、何もしてくれていないのだから、アメリカが対中防衛費を出す必要などない、と言っていた。台湾も、アメリカが軍事援助をして、中国と戦争とさせようとしていたために敵対していただけなのだから、アメリカが防衛費を出さなくなれば、台中戦争は起こらない。それでアジアも、戦争に巻き込まれる危険がなくなることになる。

暗殺未遂事件の直後に、フロリダの裁判官が、機密文書保持についてのトランプに対する訴えを却下していたのも、トランプが次期大統領になると見越しての方向転換のように思える。これについては、フロリダのトランプ邸に家宅捜索が入ったところが報道されたりして、ネガティブなイメージを植えつけるためにやっていたように思えたけれど、結局これといった文書は見つからなかったらしい。この訴えを受理したのは、裁判所が腐敗させられていたからなのだろうけれど、もしトランプが大統領に就任することになれば、状況はひっくり返り、逆に訴追される可能性も出てくるわけだ。

ウクライナ前大統領のポロシェンコは、アメリカに飛んで、共和党大会に参加し、トランプと会談する予定だったのだそうだ。ところが、ゼレンスキーがそれを阻止したので、国境で出国の許可が出ず、アメリカには飛べなかった。ところでその翌日には、ゼレンスキーがトランプと電話会談したというのだ。トランプは、非常にいい会談を行なったと言っていて、ウクライナの戦争を終わらせることを約束したと言っていた。

10年前にマイダン革命でウクライナの政権が入れ換えられたときも、当時オバマ政権下で副大統領だったバイデンがウクライナに何度も行っていて、事実上マイダン政権を支配していたらしい。そして、バイデンがふたたび権力の座に就いたとき、対ロシア戦争にゴーサインが出たわけだ。ウクライナに戦争させて、ロシアを崩壊させるのが目的だったのだけれど、その可能性はもはやない。これで、トランプが次期大統領になるとなると、軍事支援のお金がまわってこなくなる。ウクライナ政権は、このお金で司法も警察もメディアも腐敗させることで、権力を維持していたわけなのだから、お金がまわってこなくなるということは、逆に転落させられる危険が大きくなるということになる。

ポロシェンコやゼレンスキーがトランプとコンタクトしようとしているのは、そのためのように思える。何とか自分の身を守るために、トランプと取引しようとしているのかもしれない。

そして7月19日には、国際刑事裁判所が、イスラエルがパレスチナを不法占拠しているとして非難する判決を出したそうだ。国際刑事裁判所は、実のところはアメリカの軍事ロビーに支配されていて、NATO側の戦争責任を問うような判決は出したことがなかったのだから、これは大きな変化を意味している。パレスチナに関しては、国連決議で独立国になることになっていたのに、それがこれまで無視されてきたために、紛争が絶えない状況になっていた。それが今回、国際刑事裁判所は、イスラエルがやっていることは、事実上パレスチナを併合するようなことだけれど、イスラエルはパレスチナの民族自決権を無視しているし、パレスチナ人の人権を保護していないので、違法占拠に当たるという判断を下したのだ。

そうした変化と関係があるのか、ウクライナのナチの代表格といった政治家、イリーナ・ファリオンが、ウクライナ西部のリヴィウでテロに遭って、病院で死亡するという事件が起きた。この女性は、ウクライナでロシア的なものを排除するべく、過激な発言をし続けていた人で、ドンバス地方から避難してきた人たちが、リヴィウでロシア語を話していると言って、激しく批判していたのだそうだ。内ゲバの可能性もあるということで、どういう動機で行われたテロなのかはまだ不明なのだけれど、ウクライナの中でも風向きが変わってくると、それまで表現されないでいた怒りや憎悪が表に出てくる方向へも向かうのだと思う。

13日前、オルバンの乗ったハンガリーの政府専用機が北京に到着して、習近平と会談したときは、外交によってウクライナの戦争を終わらせるという彼の意図は、まったく何のあてもない希望のように思えた。しかし、たった13日の間に、世界はすっかり風向きを変えてしまい、新しい物語が始まったかのようだ。このことは、やっぱり私たちの意識が現実を作っているのだということ、そして宇宙の意志というものが実は働いているのだということを、思い出させてくれるようだ。


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