(一部抜粋)
スペイン風邪の時代の背景
非常に興味深い記事というか、論文とでもいうべき文章を読みました。

「スペイン風邪の誤った神話を打破する」と題されたもので、ヘルス・フリーダム・ディフェンス・ファンドという組織による記事です。

これが大変に長い記事ですので、あまり余計な前置きをせずにご紹介したいと思うのですが、何しろ非常に長いために、要点がわかりにくくなっている部分もないではないですので、文章の大まかな要点を書いておきます。

前半では、第一次世界大戦での戦場の非常に劣悪な環境と衛生状態、そして栄養状態についてから述べられます。

戦場の異常な不衛生さと共に、第一次大戦では、「ガス戦 / 化学戦」が繰り返され、環境中に大量の毒ガスや有毒液体が日々バラ撒かれ続けていたため、

「 1918年のヨーロッパは、全体としてとにかく体に悪い環境だった」

ことにふれています。

そして、中盤は、「スペイン風邪の発祥地」とも言われている米カンザス州のフォートライリーにある兵士を収容する巨大施設で、

「数万人の兵士に対して細菌性髄膜炎ワクチンの強制接種が行われた」

ことについてふれています。

興味深いのは、2008年に、アメリカ国立衛生研究所の科学者たちによって行われた研究で、

「スペイン風邪で死亡した人々の検死結果の 92%が細菌性肺炎が死因だった」

ことがわかったということがあります。

スペイン風邪のほとんどの死者の死因が、インフルエンザ「ウイルス」ではなく、細菌性の肺炎だったことが判明したのです。

このあと、さらに興味深い内容となっていき、「 1919年にアメリカで行われた『インフルエンザを強制的に感染させる人体実験』」で、

「誰も発症しなかった」

ことにふれています。

実験では、スペイン風邪のインフルエンザは人から人にはうつらなかった、つまり

「水平感染しなかった」

のです。

実験は兵士を使って行われ、以下のような……人道的とはいえないですが、徹底した実験でした。