『タトゥー(刺青、入れ墨)が危険な理由〜リアルサイエンスシリーズ』

日本では、タトゥー(刺青、入れ墨)はヤクザの象徴でしたが、現代では世界中でファッションの一つとして流行しています。

先日も、全身にタトゥーを入れている女性や、日本のヤクザが入れるような模様のタトゥーを入れている10代の男の子も見かけました。

還暦を超えている男性もファッションとしてタトゥーを入れている人もいます。

欧米社会では、全体の20~30%の人々がタトゥーを入れているようです。

現代の若者は10代からタトゥーを入れるため、生涯にわたって長期間タトゥーのインクに含まれている毒性物質に暴露することになります。

このタトゥーと悪性リンパ腫の関係を調べた最新の疫学的調査が報告されています(Tattoos as a risk factor for malignant lymphoma: a population-based case–control study. eClinicalMedicine. 2024 Jun; 72: 102649.)。

なぜ、悪性リンパ腫が選ばれたのでしょうか?

それは、インクの毒性物質は、リンパ節に運ばれて炎症反応を引き起こすからです(Tattooing of skin results in transportation and light-induced decomposition of tattoo pigments–first quantification in vivo using a mouse model. Exp Dermatol. 2010;19(1):54–60)(The decrease of pigment concentration in red tattooed skin years after tattooing. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2011;25(11):1340–1345.)。

2007年から2017年の間にスウェーデンの全国がん登録において、20歳から60歳の間に診断された全ての新規悪性リンパ腫の症例を特定し、症例あたり3人の年齢および性別が一致する対照群を全人口登録から無作為に抽出してタトゥーと悪性リンパ腫の関連を調べています。

タトゥーを入れた個人は全体的な悪性リンパ腫のリスクが有意に高い結果が出ました。

興味深いのは、タトゥーを入れている面積と悪性リンパ腫のリスクに関係はなかったという点です。

つまり、少量でもインクが入ると、悪性リンパ腫のリスクが高まる(21%のリスク増加)という相関関係があったということです。

それでは、タトゥーのインクの何が悪性リンパ腫との関連をもたらしているのでしょうか?

タトゥーのカラーインクには一次芳香族アミン(PAA、髪染めにも使用されている)が含まれることがあり、黒インクには多環芳香族炭化水素(PAH、タバコの煙)が含まれることが多いです。

また、インクのすべての色にヒ素、クロム、コバルト、鉛、ニッケルなどの金属が含まれています(インクを入れる針の破片など)。

国際がん研究機関(IARC)は、タトゥーインクに含まれるこれらの化学物質を「発がん性あり」と分類しています(Tattoo inks and cancer. Cancer epidemiol. 2020;65)。

これらの物質は、エストロゲン作用を持っています。

実際に、エストロゲン補充療法で悪性リンパ腫のリスク増加と相関関係にあることが知られています(Hormone replacement therapy and risk of non-hodgkin lymphoma and chronic lymphocytic leukemia. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2002 Nov;11(11):1466-71.)。

エストロゲンは炎症を加速させて、細胞の無秩序な増殖を引き起こす物質です(Estrogen regulates transcription factors STAT-1 and NF-κB to promote inducible nitric oxide synthase (iNOS) and inflammatory responses. J Immunol. 2009 Dec 1; 183(11): 6998–7005.)(Growth without growth hormone receptor: estradiol is a major growth hormone-independent regulator of hepatic IGF-I synthesis. one Miner Res. 2005 Dec;20(12):2138-49.)(β-Estradiol-dependent activation of the JAK/STAT pathway requires p/CIP and CARM1. iochim Biophys Acta. 2013 Jun;1833(6):1463-75.)(Lestaurtinib inhibition of the Jak/STAT signaling pathway in hodgkin lymphoma inhibits proliferation and induces apoptosis. PloS One (2011) 6(4):e18856.)。

人口削減のために開発された技術を「GRIN技術(genetic, robotic, info, and nano—technologies)」と呼びます(拙著『ウイルスは存在しない』参照)。遺伝子編集、ロボット、情報、そしてナノ技術です。

若者に流行している(正しくは、流行させている)タトゥーやベイピング(vaping)は、このうちのナノ技術が利用されています。

ヒト以外でタトゥーを入れようとする生命体は存在するでしょうか(^_−)−☆。


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