(一部抜粋)
免疫の刷り込み、あるいは抗原原罪

今日、中国発の興味深い論文を知りました。

論文の概要は、以下に翻訳しています。

(記事)「オミクロン感染後のコロナウイルスの免疫刷り込みは、RBDでは持続するが、NTDでは持続しない」という論文
BDW 2024年6月4日

免役の刷り込みというのは、「先に獲得した免疫によって、その後の感染に対する免疫反応が弱くなること」のような感じで、厳密には違うのだとは思いますが、「抗原原罪」とか、そういう概念と似ているものだと思っています。

コロナでいえば、

「最初にワクチンで武漢株を得た場合、後にどんな変異体がやってきても、免役はそれに反応しない」

と。

ともかく、「最初に出会った抗体や抗原」が、その後の変異株に対して、免疫回避の(感染予防をしない)状況を作り出すと。

先ほどの論文は、あくまで、これは新型コロナウイルスに対してですが、そのメカニズムを突きとめた中国の研究でした。

この論文には、

> いったん誘導されると、免疫刷り込みは連続的なオミクロンの曝露によって打ち消されることはない。

とあり、一度、免役の刷り込み、あるいは抗原原罪が成立した場合、その後、「決してそれが打ち消されることはない」ということがわかったことも書かれています。

つまり、「永続的にコロナ変異株への免疫回避が続く」わけです。

この中国の論文の概要のポイントは以下でした。RBD とか NTD というのは、スパイクタンパク質の部位です。

・免疫の刷り込みは「 RBD 」で永続的に持続する
・しかし、「 NTD 」では免疫の刷り込みは誘導されない

これを読みまして、

「どこの国も、何と無意味なことを…」

と改めて思いましたが、この RBD と NTD という部位は、なかなか面倒な概念ですが、図としては以下のようになります。