【新しい生命の種】

封印解きクラブで、地球のインナーチャイルドを解放するセッションをやろうと思ったのは、今の世界が生まれ変わっていけるためには、もっと多くの人々が目覚めている必要があるんじゃないかと思ったからだった。

情報操作がありとあるレベルで行われていて、真実の状況を把握している人も、適確に対応することができる人も、少なすぎるように思えた。危機的な状況にあれば、野生の動物ならば、本能的な防衛反応が働く。だけど、今の世界には騙されたままの人があまりにも多い。日本でもヨーロッパでも、この数年間あまりに抑圧されすぎて、何かがおかしいと感じていても、もはや抵抗する気力さえ失せてしまったかのようだ。

アフリカもアジアも中南米も、グローバル資本の支配から次々と離れていき、活気を取り戻している一方で、日本やヨーロッパ、英語圏の国々は、あまりに現実から切り離されすぎて、戦争が世界的に拡大する危険が迫っているのに、それにもまるで気がついていないようだ。

植民地主義的な搾取経済でできていった文明は、もう終わっていこうとしているのだろう。だから、破滅しようとしているのに、あえて気づこうとはせず、自滅していくのかもしれない。それはそれでいいのかもしれないけれど、しかし、ほんの一割ほどの人でも現実が見えていて、適切な反応ができるなら、新しく生まれ変わっていくこともできるはずだ。

まず最初に、皆で世界の人々の意識がどんな状態になっていて、今何が起ころうとしているのかを、それぞれリーディングしてみることにした。すると、あまりはっきりとしたイメージは現れてこなかったのだけれど、今は幼虫が蛹になっているかのように、変態している最中だというイメージが出てきていた。変態している最中だから、まだはっきりとした形がないのだ。しかし、すでに種は成長していっていて、いずれ芽が出て育っていくことは確かなようだ。

中東のあたり、パレスチナからトルコ、セルビアのあたりが、まるで内側から殻が押し開けられているかのように、メリメリと割れてきているようなイメージも出てきた。アフリカが巨人のようになっている一方で、ヨーロッパや日本は、まるでナイフが刺し込まれた跡みたいに、急峻な谷のような長い窪みができていた。こちらは、そこから何かが生まれてくるというよりは、地球の中に沈み込んでいくかのようだった。

おそらくは、世界は想像もできないくらいに、これまでとはまったく違う形に変わっていくのだろう。だから今はまだ、はっきりとした形が見えてこないのだ。戦争が終わって世界が新しくなっていくにしても、どのように終わるのか、それによって世界がどう変わっていくかは、まったくわからない。これまでの世界からは、想像もできないような新しい形に変わっていくのだろう。

それで次に、まずはそれぞれが自分のインナーチャイルドを巨人のような大きさにしてみることにした。本来の自分の姿のような意識を、私はインナーチャイルドと呼んでいるのだけれど、これは巨人のような大きさにもなるし、宇宙と同じ大きさになったりもする。もともとの人間の大きさは、実はそうしたものなのだ。太古の時代、まだ何の封じ込めもなかった時代には、人間は誰でも巨人のように大きな意識をもって生きていたのかもしれない。だから、ストーンサークルのように巨石を動かすような力も持っていたのかもしれない。

これは、うまくいった人もいれば、あまりうまくいかなかった人もいた。しかし、巨人のような大きさになって世界を見渡してみると、支配がいかに世界を封じ込めているかが、よくわかった。お金だとか商品だとかを持つことが豊かさだという意識を持たされて、そうした品物に依存させられて、支配されているのだけれど、地球の表面は、そうしたお金だとかいろいろな商品だとかの人工物でいっぱいで、それがアスファルトやコンクリートのように、地球と私たちの繋がりを断ち切っていた。

植物が土がないと生きられないように、繋がりを失って、干からびているかのようだ。ただ、大地の表面をおおっているこの殻のようなものさえ破ってしまえば、私たちは再び生命の力を取り戻すはずなのだ。

インナーチャイルドのセッションで、その人が住んでいる土地の封印を一緒に解くと、インナーチャイルドがうまく大きくなってくれることがあった。それで今度は、それぞれ自分が力の源をもらっている山や聖地などの封印を一緒に解いて、そのエネルギーを使って、インナーチャイルドを巨人の大きさにしてみることにした。その際に、封じ込めがかけられる前の、太古の時代のエネルギーにアクセスする感じでやってみることにした。

今度はだいたい皆うまく行ったようだけれど、巨人の大きさになったとき、世界の状況が広く見渡せる視点になる一方で、生命と繋がったような、じわじわ来る感覚があった。自然が美しいのを喜んでいるような、じわじわと熱いような感覚。意識が巨人の大きさになったとき、まるで世界の表面を覆っていた殻が剥がれて、初めて大地に根を降ろすことができた、というような変化が起こったのかもしれない。

私は、父方の郷里である鶴岡の月山に繋がっていたのを感じた。太古の月山のエネルギーにアクセスして、それによってインナーチャイルドを大きくしてみると、まるで月山からまっすぐ上に蛇が首を伸ばすみたいに、巨人の大きさになった。その大きさになってみると、月山からロシア、朝鮮、中国へとネットワークが繋がっていたのがわかった。日本海側の人たちは、大陸まで自分の庭のように渡り歩いていたのだ。明治以降、その繋がりが断たれたために、日本海側はかつての力を失ってしまっていた。

最後に、この巨人のエネルギーを世界中に送って、なるべく多くの人が巨人の大きさになるようにしてみた。するとやはり、アフリカや中東のあたり、ロシアや中国は巨人がたくさんいて生き生きしていたけれど、ヨーロッパや日本、英語圏の国々は、さっきはへこんでいたのに、緑が美しい自然の姿に変わっていた。人工物でおおわれて失われていた、かつての自然の美しい姿があるだけだった。経済発展だとか文明だとか、そうした感じのものはなく、ただ美しく生き生きとした自然の姿があった。

どこもそれぞれに美しくて、自然と共に暮らしている人々がいた。100年前の田舎の風景のようにだ。そして、この美しい豊かな土地でずっと生きていきたいという思いが、じっとりとするような熱さで感じられた。愛郷心というもの。それは、観光地だとか、立派な建物だとか、経済的な繁栄だとかいったものではなく、ただ土地の美しい自然とともに生きていきたいという思いなのだ。山や渓谷、湖や海、そしてそこに季節ごとに生える植物や動物、雨や太陽とともに生きていく充実感だ。

もし私たちが、こうした愛郷心で生きていくなら、自分の生きる国を支配から守ることができたのだろう。こうした土地への愛こそが、土地を守る力だったのだ。だからこそ、土地を封じ込めようとする人は、景観を壊したり、恐ろしい記憶を染みつけたりするのだ。それによって、私たちが土地との繋がりを失ってしまうようにだ。

この20年、あるいは30年の間に、この繋がりが少しずつ断たれていって、お金とかそういう人工のものに支配されるようになっていったのだ。かつての繋がりが失われて、私たちは孤立して閉じこもっていった。このような世界の状況になって、自分から支配に適応してしまうか、あるいは孤立して隠遁生活を送るしかなくなった。繋がりがなく、孤立した人間は、容易に支配できるのだ。そうした状況は、まったく意図的計画的に作られていったものだった。

意識が巨人の大きさになったとき、私たちは閉じこもって孤立することなく、支配されないあり方で生きていくことができる。たった一人でも、しっかりと軸を立てて、堂々と大地とともに生きていく。その大きさを生きることができたとき、まわりの人たちも、人間はそうした大きさを持つことができることを知るのだ。それでたちまち巨人の大きさになる人が増えていく。

ニューヨークのコロンビア大学では、反戦デモをする学生たちがキャンプを張っているというのだけれど、それは新しく生まれてくる世界の種のように思えた。戦争が世界に拡大するかもしれないという事態になって、アメリカの学生たちが、もはや支配に従っているのをやめたのだ。たとえそれで戦争を終わらせることができなかったとしても、この人たちが安全な環境から離れて、一歩を踏み出したということ自体が、新しい世界の種のようになって、自然の力で芽が出ていくのだという気がした。そうした種が、しっかりと地面の下に入ったというのが、確かに感じられた。


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