(一部抜粋)
「この影響は100年続く」
興味深い論文を知りました。
もともとは、米国メディアの最近の「心臓病が大流行することになったのは新型コロナの影響なのだろうか? それは過去にもあった」というタイトルの記事に載せられていたリンクから知りました。
この記事そのものは、「現在、アメリカで心臓疾患が劇的に増加している」ということから、それが 2020年から始まった新型コロナウイルスのパンデミックによるものなら(記事には、ワクチンのワの字も出ません)、それは「ひとつの世代全体」に影響を与える可能性があるというものでした。
そして、「その影響は数十年以上続く」という可能性を述べたものでしたが、その根拠として示されていた研究のひとつが、2010年の以下の論文でした。
大変に興味深い研究です。
1918年のインフルエンザのパンデミックが心血管疾患に及ぼした残存する出生前影響
Lingering prenatal effects of the 1918 influenza pandemic on cardiovascular disease
1918年のパンデミックは、一般的に「スペインかぜ」と呼ばれるインフルエンザの大流行でしたが、ここで調査したのは、一般の人々の感染率や死亡率などの追跡調査ではなく、
「パンデミック時にお母さんのお腹にいて、その後に生まれた赤ちゃんたちの成長と疾患の状況」
を調べたものでした。
その結果、1919年のパンデミック時に生まれた人たちに、
・数十年後の心臓病のリスクが著しく高いことが示された
・成長(身長など)の遅延が見られた
・脳の発達障害が原因であると見られる学力低下が見られた
などがあることが判明したのでした。
注意すべき点は、「赤ちゃんの時にウイルスに曝露した」のではなく、
「お腹の中にいるときに母親がウイルスに曝露した」
ということです。