「Q&A ①」

講座で良く訊かれる疑問点に答えていこうかと思う。正しいのか間違いなのか、どちらかわからないと言った疑問点を解決するための質問である。とりあえず5つの疑問点。

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Q:糸状菌は良い菌なのか

A:【No】糸状菌は5~10μ程度の菌糸を持つ大きな菌の総称であり、病原菌の多くは糸状菌である。糸状菌の7割は腐生微生物であり、3割が寄生微生物。寄生微生物は野菜に深刻な被害をもたらす。

腐生微生物は枯れた有機物の細胞壁を壊して放線菌を呼び込む役割があるため、堆肥を作る時にはとても役には立つが、寄生系の糸状菌が優位な畑では、野菜はむしろ病気がちになる。

畑に必要なのは放線菌であり一部の細菌である。そのため有機物を混ぜ込んですぐの状態だと糸状菌が優位であり、野菜を植えることはできない。少なくとも3か月は待つ必要がある。

※腐生微生物 枯れた有機物を分解する菌
※寄生微生物 生きた植物に寄生する病原菌
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Q:耕すと微生物がいなくなるは本当か

A:【No】耕すことで土の中に空気層ができ、微生物はむしろ増える。多くの土壌微生物は好気性であり、空気がないと活動することができない。

米糀や醤油麹のように、微生物を増やすためにはかき混ぜて空気を取り込む必要がある。

ただし、耕すことで粘土質の土を表面に露出させることは避けるべきである。また、耕すことで土壌動物が逃げ出すリスクもあるため、腐植が増えて土壌中に空気層が作られてしまえば、耕すことがデメリットになるのは事実である。

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Q:敷き草は保温になるのか

A:【No】霜の降りる冬場に限って保温効果はある。しかし、春以降は、保湿になるが保温効果は低い。むしろ直射日光が遮られことで地温は低くなる。

裸土の方が地温は高くなるのだが、裸土は土が乾いてしまい微生物たちの活動が弱まってしまうため、常に微生物を活性化するために保湿としての敷き草はある一定の効果はある。

また、敷き草は窒素を持っているために腐敗しやすく、特に梅雨時は病原性の糸状菌を増やしてしまい逆効果である。そのため、腐敗し難い籾殻などで保湿するのが好ましい。

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Q:交配種は種取りできない

A:【No】交配種(F1)であっても、ほとんど場合で採種可能である。一部、雄性不稔性の交配種のみ採種が難しいものはあるが、雄性不稔性でなければ問題はない。

ただし、メンデルの法則により採種すると形質が変わる物があるため、一般的には採種には向かないと言われている。形質が揃わないことを受け入れれば、特に問題があるとは思えない。

また、交配種の中には、農水省に品種登録されているものがあるため、それらに関しては基本採種は許諾性とはなっているが、家庭菜園に関しては厳密な禁止事項にはなっていない。

※雄性不稔性 花粉をつけない性質のこと
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Q:健康な野菜は虫が食わないのか

A:野菜の虫食いと健康度合いとは明確な関連性はない。健康な野菜は生育が早いため、虫食いが始まるまでに収穫期を迎えることが多く、そのため虫食いがないように見えることはある。

健康な野菜は生物毒を作れるので虫食いがないとも言われることがある。確かに、植物は虫食いが起きると内生菌と共生して虫を忌避させる生物毒を生成することはある。しかし虫食いが起きない限りは生物毒は作られないので、この理論は矛盾する。

虫食いがあるかどうかは、むしろ畑の環境と関連する。水捌けが悪い土壌では水を求める虫が増えるとか、草が多い畑だと風が抜けずに虫が棲みやすくなるとか、虫が隠れる場所が多いと天敵に襲われないため虫が増えるとか。それらが原因である場合がほとんどである。

※生物毒 虫を忌避させるために植物が体内で生成する毒物

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