【野草のハーブソルト】

野草が出始めると、何かとやることが増える。そのときどきに、集めて干したり、お茶にしたりして、一年分のものを作っておく仕事がある。旬のときに食べられるだけ食べて、それで終わりのものもあるけれど、保存しておいてずっと使っているものもある。

森の小川のところに自生しているクレソンは、ハーブソルトにすると、香りのいい塩ができるので、いつも一年分作っている。いつもなら、5月になってから花が咲き始めるので、その頃になって作るんだけど、今年は春が来るのが早くて、4月の始めだというのに、もう花が咲き始めていた。それで今からクレソンの塩を作ることになった。

クレソンは、花茎が立って、つぼみができ始めた頃が、一番おいしい。柔らかくて、ピリピリとした辛みがさわやかで、この頃のクレソンは、サラダでもおいしいし、軽く炒めるとブロッコリーみたいな感じでなかなかいける。だけど、つぼみができ始めたら、旬はせいぜい一週間ほどだ。花が咲く頃には、葉っぱは痩せて固くなってしまって、もうおいしくなくなる。

クレソンはザクザク切って、塩と一緒にすり鉢に入れて、ゴリゴリとする。葉っぱや茎がすっかりすりつぶされて、緑色の塩だけになったら、乾かせばいい。今はまだ夜には薪ストーブを焚いているので、ストーブのところにすり鉢ごと置いておいて、ときどき固まりをすりつぶしている。それで、サラサラの塩になるまで乾かしたら、瓶に入れておいて、一年中使う。

ハーブソルトは、いろんな野草で作れるので、庭に生えてくるものであれこれこしらえてみたけれど、一番おいしかったのはクレソンの塩だった。それで、去年はクレソンの塩だけ一年分作って使っていた。今年は、それともう一つ、イラクサとイワミツバの塩も一年分作ってみた。イラクサは、タンパク質が多くていい出汁になるし、イワミツバは香りがいいので、これはスープストックみたいに使えると思う。

この頃は、店で売っている加工品は、基準があいまいになって、何が入っているかもわからなくないようなことになっているから、本当に買えなくなってきた。スーパーとかは、どこも洗剤の香料のにおいが染みついているから、この頃は小麦粉みたいなものも買えなくなってしまった。オーガニックだろうが無添加だろうが、袋に香料が染みついていているから、もうどうしようもない。実に恐ろしい時代になったものだと思う。

しかし、追い詰められたら追い詰められたで、抜け道を見つけていくのが、創造的な生き方というものかもしれない。加工品はあるもので作るし、パスタも小麦を挽いて粉にするのから始めて、自作する。

キノコがたくさん出てきたら、キノコでも同じようにして塩を作っておくんだけど、これが一年中スープストックみたいにして使えるのだ。あとスープの出汁にするのは、イラクサの根っこと小さいキノコの茎を干したやつだ。これはスープに入れて煮出すんだけど、仕上げにキノコの塩や野草の塩を入れたら、それでだいたいいい味が出る。


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