おそらく、重要なことは、

憧れない、ブレない、(無闇に)開眼しない。

ということだろう。

この高校一年生の大谷翔平が書き記したチャート「ゴミ拾いをする」は、
その普遍性から、どれほどの指導者に恵まれていたかを示唆している。

体幹を鍛える、軸ブレしない、上から叩く、下肢を鍛える、

これらの各ウィンドウのトップに置かれた基本事項は、どのジャンルのトップアスリートにとっても最重要事項であることだろう。

上達しない人の特色は、「開眼する」である。

聞いてみると良い、
毎日、「あ、俺は、私は開眼した」と言っている。

大谷は、開眼しない、憧れない、
そうしないために「書く」のだという。

もちろん、大谷の最強の味方は、「運」だろう。

そのウィンドウのトップに、「ゴミ拾い」、が燦然と輝くことの重要性を、「Perfect Days」(ヴィム・ヴェンダース+役所広司)を観て、再認識した。

*Perfect Days:
カンヌ映画祭最優秀男優賞受賞作。
主人公の職業は、「トイレ掃除」である。もっと正確に言えば、公衆トイレのトイレ掃除の請負、である。

来る日も来る日も、公衆トイレの掃除を規則正しく行う。

これは、ヴィム・ヴェンダースと(主演の役所広司がExecutive Producer)のコラボだが、ライトモチーフは、「木漏れ日」、である。この概念は、日本にしかない、と言う。この映画は、「木漏れ日」(KOMOREBI)、の定義で終わる。

おそらく外国人が日本に来て、驚く大きな一つが公衆トイレの綺麗さ、であろう。誰が掃除しているのか?おそらく誰も知らない。気にもかけたことはない。その「誰が使ったのかもわからない」公衆トイレの掃除が、描かれる。

しかしそれが綺麗であることが、日本の最大の特色に見えたのだろう。

大谷の、「ゴミ拾い」と「Perfect Days」は、重要な一本の糸で繋がっている。

日本人は、(ヴィム・ヴェンダースが役所広司をリスペクトしたように)尊敬されている。

「2023/12/20 — ヴィム・ヴェンダースがリスペクトする俳優、役所広司を主演に、公共トイレ清掃員の日々を描く。第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞。」

三浦友和と役所広司との絡みのシーンがある。
陽が落ちた港湾で酒を煽る役所広司に三浦友和(役所広司が好意を寄せる女性の元夫で末期癌を患っている)が聞く、
「影って、重なると濃くなるんですかね?」、

「それはそうでしょう、やってみましょう」
と役所広司。
二人は、二人の影を重ねる。
「あれ、濃くならないですね」と三浦。

「そんなバカな話はない、濃くなってますよ」
と役所。

初対面の役所に向かって、三浦がいう。
「あいつのことをよろしくおねがしいます。」
「そんなんじゃないですよ」と役所。

委細構わず三浦が繰り返す。
「あいつのことをよろしくおねがしいます。」

「そんなんじゃないですよ」と役所。

光と影、風と自然が織りなす、ふと立ち現れ、忽ち消える、一瞬。

全編は、全盛期の洋楽で彩られる。(劇中で、石川さゆり(三浦友和の元妻役)が、「朝日の当たる家」(ニューオリンズの女郎屋)を熱唱する。)


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