「ドアは開かれる」

中島 デコさんが再び我が家に遊びにきた。

Brown's Field ブラウンズフィールドで過去にカフェスタッフなどをしていた西岡 真奈美さんと現役のカフェスタッフが食事を作ってくれるというお宝付き(笑)。

まぁ、最高だよねぇ。

40代で農業を始め、食えなくて苦労し、絶望的な気分だったあの時、20年近く前の話。

多分、毎日死んでやろうかと思って生きていたけど、死ぬ勇気すらなく悶々とした毎日。

そんな時に手にした本が、中島デコ著の「生きてるだけで、いいんじゃない」という本。

涙が止まらなかった。何気ない日常の中で見つけるデコさんの家族への愛情。内容に感動したのももちろんだけど、本のタイトルで泣いた。

どんなに苦しくても人は生きている。そう簡単には死なないものだし、この世に生まれたのだから、寿命が来るまでのんびり生きればいいのかなぁと、気づかされた。

このデコさんって言う人。一体誰なんだろうって思い調べていくうちに、マクロビオティックという生き方を知る。

「身土不二」「陰陽調和」「一物全体」という哲学。

身体と土とは一つであり、歩いていける身近なところ(三里四方、四里四方)で育ったものを食べ、生活するという考え方。

雷に打たれたような衝撃だった。身体と土は切り離せないという当たり前のことを忘れていたから。

人が死ねば土に戻る。必ず戻っていく。どんな動物も植物も、精一杯生きて、やがて土に戻っていく。

放っておいても土に戻るのだから、何も無理して急ぐことはない。

食べものを作っているのだから、それを食べればいいだけのこと。すぐにお金に換算するから苦しむ。

そんな事が直接書いてあるわけじゃないけど、僕はこの本でそう感じた。

その日から始まったマクロビオティック生活。玄米菜食。とても楽しく健康的で、なんだかワクワクしてきた。

肉や魚を食べないからこそ、質の良い野菜や穀物を作らなきゃいけない。当たり前だけど、俄然やる気が起きてきた。

救われた気持ちだった。

それから十数年経ったある日、デコさんが僕の目の前に突然現れた。なんと僕の本の出版記念パーティーに。

しかも、開催場所は肉と魚の美味しいお店(その時点で僕は肉と魚は食べるようになっていたんだな(笑))。

「ブラウンズフィールドでセミナーやってもらえませんか?」

飛び上がるような心持ちになった。まさか、あのデコさんが僕をスカウトに来るなんて(笑)。でも、平然とした顔で「良いですよ」とだけ返事した。

照れてたんだろうなぁ。多分…。

そう、生きているだけでいいじゃないか。こんな嬉しいことがあるんだもん。

あの日からもう5年もブラウンズフィールドでセミナーを続けている。

そして、急に現れた先日も同じことを言われた。

「セミナー続けて欲しいなぁ…」

体力的には辛いからフルでの講座は無理だけど、工夫すれば出来ると、結局二つ返事(笑)。

人生なんて何が起きるか分からないもの。どんなに苦しくても悲しくても諦めるな。いつかきっと、そのドアは開かれる。

では、おやすみなさい。

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