福島民報が書いた。2022年3月18日10:40。

「福島県と宮城県で震度6強を観測した地震では、東京電力福島第一原発などで使用済み核燃料プールの冷却が相次いで停止した。」

「第一原発2号機ではプールにつながるタンクの水位が低下し、手動で冷却を止めた。再開まで約7時間半かかった。」

「第一原発では、野積みになっているコンテナが転倒し、処理水などを保管する80基以上のタンクの位置がずれた」

「炉心が溶けた1、2号機のプールには現在も計1007体の核燃料が残されたままになっている。建屋は耐震性があるとされるが、強い揺れや大きな津波といったリスクの懸念は消えない。」

朝日、毎日、読売、日経、読んでも福島第一原発の抱える危険性はわからない。この震度6強の地震で福島第一原発がどうなったのか、書かない新聞はいらない。

朝日が書いた記事を読むと「廃炉作業が進む同原発では、溶け落ちた核燃料や使用済み燃料が残る原子炉建屋などに大きな被害はなかったが」と書いている。

朝日新聞は、福島民報とは危機感がまったく違うことに気づく。

福島民報は「地震や津波など自然災害によるリスクへの対策が依然重要であることを示した形だ」と書いた。

[記事1] 
3.16福島県沖地震
福島県沖地震 東電福島第一・第二原発で冷却停止相次ぐ 処理水タンク80基超にずれ 廃炉作業の災害リスク課題 
2022年3月18日 10:40 福島民報

 福島県と宮城県で震度6強を観測した地震では、東京電力福島第一原発などで使用済み核燃料プールの冷却が相次いで停止した。第一原発では、野積みになっているコンテナが転倒し、処理水などを保管する80基以上のタンクの位置がずれた。第一原発では長期にわたる廃炉作業が進むが、地震や津波など自然災害によるリスクへの対策が依然重要であることを示した形だ。

◆余裕

 地震後、福島第一原発5号機や福島第二原発1、3号機、東北電力女川原発1号機では、燃料プールの冷却が自動停止した。第一原発2号機ではプールにつながるタンクの水位が低下し、手動で冷却を止めた。再開まで約7時間半かかった。

 関係者によると、原発では燃料プールやタンクで水位変動が検知されると、自動的に冷却を止める仕組みになっている。配管などが破損した場合、冷却用に水を循環し続けると状況が悪化し、プールの水位が保てなくなる恐れがあるためだという。

 東電の担当者は「水温が運転管理上の制限値である65度まで余裕があることを踏まえ、いったん冷却を止めて原因を確認する判断をした。設備の故障を防ぎ、結果的に冷却停止期間を短くできる」と説明した。

◆1007体

 ただ、福島第一原発には、原子炉建屋の上部に大量の使用済み燃料が依然残る。特に炉心が溶けた1、2号機のプールには現在も計1007体の核燃料が残されたままになっている。建屋は耐震性があるとされるが、強い揺れや大きな津波といったリスクの懸念は消えない。

 東電はプールからの取り出しを計画するが、1号機の取り出し開始は2027~28年度、2号機は24~26年度。当初の計画から延期を繰り返しており、まだ長い時間がかかる。順調に進むかどうかは見通せない。

◆情報遅れ

 第一原発では、地震の揺れで処理途中の汚染水や処理水を保管する80基以上のタンクがずれ、廃炉作業で使った保護衣や鉄くずが詰まったコンテナ6基が転倒した。

 強い地震があった後、第一原発の状況を知りたいという要望に東電は応えているのか。21年2月13日に福島・宮城両県で最大震度6強を観測した地震では、タンクのずれや原子炉格納容器の水位低下に関する公表が遅れ、東電の情報提供の姿勢に批判が噴出した。今回は、東電が発信するツイッターによる情報に遅れが出たとして、経済産業省は迅速な情報発信をするよう指導する事態になった。

 東電福島第一廃炉推進カンパニー広報担当の松尾桂介氏は17日の記者会見で「100点満点とはいかないかもしれないが迅速で正確な情報発信に努めていきたい」と述べた。

[記事2]

水漏れ、誤作動、ずれるタンク…福島第一原発、トラブル相次ぐ
2022年3月17日 20:37 朝日新聞 藤波優、川村剛志

 16日深夜に起きた地震で、最大震度6弱が観測された東京電力の福島第一原発。廃炉作業が進む同原発では、溶け落ちた核燃料や使用済み燃料が残る原子炉建屋などに大きな被害はなかったが、様々なトラブルに見舞われた。

 2011年の事故後、東電は福島第一原発で想定する最大の地震の揺れについて、従来の600ガル(揺れの勢いを示す加速度の単位)から1.5倍の900ガルに見直した。東電はこの想定に沿って、原子炉建屋などを再評価し、耐震性に問題ないと結論づけた。

 新しい施設などについては、福島第一では廃炉を迅速に進めることがリスクを下げるという観点から、原子力規制委員会と東電が個別に議論してきた。

 今回の地震の揺れはその想定を下回る221ガルで、原子炉建屋などに目立った被害は今のところ、見つかっていない。

 一方で、放射性物質を含む水の漏洩(ろうえい)や、火災報知機の誤作動などが相次ぎ、東電は17日の廃炉作業を中止し、現場確認や復旧作業に追われた。

 5号機では、建屋5階にある使用済み燃料プールの冷却ポンプが揺れで自動停止。その後、設備に異常がないことを確認したうえで復旧させた。5号機と6号機では、プール内の水が揺れであふれ、一部は建屋内のダクトを通じて3階や4階にも漏れ出したという。5号機のタービン建屋や事務本館では複数の火災報知機が作動。いずれも東電社員が現場に向かい、誤作動と判明したという。

 福島第二原発や東北電力女川原発(宮城県)でも、使用済み燃料プールの冷却ポンプが一時止まった。

 福島第一の1号機では、原子炉格納容器内の圧力が地震後に低下し、周囲の気圧と変わらない状態になった。通常は、格納容器内に水素や酸素がたまるのを防ぐため、窒素を入れて内部の圧力が高くなるようにしている。東電は原因を調べ、窒素を入れる量を増やすなどの対応を検討するという。格納容器内では、水中ロボットで内部調査をしていたが、東電は17日の作業を中止した。

 敷地内に1千基以上ある処理済み汚染水などをためるタンクにも影響が出た。17日夜時点で、85基のずれが確認された。タンクは地面に固定せず、ずれ動くことで地震の揺れを吸収する仕組みだという。(藤波優、川村剛志)

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