お名前と一部は伏せますが、友人の投稿を紹介させて下さい。
国際政治に携わる立場にあられる方です。

ロシア人の友人も以前、「第二次世界大戦で一番亡くなったのはロシア人」
と教えてくれました。
私達はちゃんとした歴史を習っていない事、
日本やアメリカのメディアを鵜呑みにする前に、
今もとても偏ったニュースを
いつも見させられている事を、認識していたいです。

ーーーーーーーーー

【ウクライナ問題で思うこと】(個人見解です)

ウクライナ、ロシアで亡くなって行く命はどれも重い。

平和を作るには、一人一人がメディアに翻弄されず、「悪者は始末しろ」と言う論調、「正義を掲げた戦い」を許さない事が第一歩です。ベトナム、イラク、シリア、アフガニスタンの惨事に一般の人も無関係だったわけではありません。
国の指導者は、選挙や支持率のため「世論」をみます。「世論」を作るのは私たちなのです。

戦争に勝者はいません。今回の出来事は完全なる外交の失敗が引き起こした悲劇です。相手を挑発し合う事に走り、アメリカ含めて外交のルールを無視した事、その重大さに憤りを覚えます。

日本メディアやアメリカ追従メディア以外からの情報を元に、個人的な視点から思うことを書きます。

ウクライナは歴史的にみても地政学的にも、ロシアにとっては非常に重要な場所です。NATOにとってのウクライナはそれ程大きな意味を持たないけれど、ロシアにとっては、犠牲を払ってでも死守するべき「同胞」(ウクライナ人がそう思うかは別として)であり、ウクライナの時の政権がどう変わろうとも、自分達を守るために強烈に意識している国です。ロシアは単独で介入しましたが、同じ熱量でNATOもアメリカも関わっているか?と聞けばその差が歴然としています。結局ウクライナはアメリカにとって「政治カード」でしかなく、ロシアを挑発した事でその犠牲になっています。

今回の問題の発端は、ウクライナそのものではなく、ドイツとロシアの海底ガスパイプライン「ノードストリーム2」の開通です。工事が終わり、ドイツは、もういつでもロシアからガスを買える状態でした。ロシアとドイツがエネルギー協定の元、経済関係を強化させれば、今遠方から買い入れているアメリカの天然ガスを買わなくなる。ヨーロッパが、ロシアからの天然ガスに依存する事は、アメリカのプレゼンスを弱めて行くことです。エネルギー問題は政治的影響力と直結します。それは「許せない」と動き出したアメリカは、一番ロシアにとって痛い方法(ウクライナ)でロシアを挑発し、世論を動かして、ドイツも動けなくしました。こんな「世論」が作られた後でドイツはとてもロシアから天然ガスを買うことはできません。ここでも世論が、国家の決断を動かしています。

1990年、アメリカのベーカー国務長官はゴルバチョフさんに「NATOは1インチも東方拡大しない」と約束しました。

その後アメリカ政府で、ソ連封じ込めを指示したジョージ・ケナン氏でさえも「NATOを拡大する事はアメリカ外交の致命傷になる」と警告しています。なぜかバイデン政権は、この超えてはいけない一線を、リスク分析する事なく越えてきました。欧米メディアはロシアが先に侵攻してると伝えていますが、先に越えたのはウクライナ、アメリカを含むNATO側です。ロシアがその一線を死守する事はあまりにも明白でした。

BSテレビ東京YouTubeで豊島晋作さんの細かい解説がありますが、ロシアはナポレオン時代より他国からの侵攻の苦しみを何度も味わった国です。そして日本では世界史であまり教えていないですが、第二次世界大戦で最も被害者が多かったのはヨーロッパでもアメリカでもなく旧ソ連です(日本の犠牲者は民間人、原爆犠牲者含め300万人。旧ソ連では2700万人と言われています)ナチの弱体化と戦争の終結に寄与したのは大きな犠牲を出した旧ソ連の軍隊でした。この軍隊が死守しなければ、ナチの攻防は長引き、より悲惨な別のシナリオを辿ったでしょう。ヒトラー政権を終わらせたのはアメリカではありません。

メディアについても言いたい事があります。
イラク戦争において、アメリカ政府は「イラクに大量破壊兵器がある」とメディアに語らせました。「悪者、危険分子を解体しなければ」という大義名分は2度、3度と過ちの上に過ちを重ねて惨事を招きました。「これは正義だ」という世論を後ろ盾にして。この世論は、ウソをばら撒いたメディアに翻弄された人たちが作ったのです。誰もイラクの声を聞かなかったし、武器がないと調べた国際調査団の声を聞かなかったのです。誰もが「アメリカは正義の味方。軍事施設のみをピンポイントで狙う最新技術があるし、民間人は殺さないので破壊工作は正しい」と信じるよう仕込まれたのです。実際はピンポイントどころか、ボタン一つで遠隔地から民間人の命を奪う非情なものでした。この作戦に関わったアメリカ人兵士のインタビューは背筋が凍るものでした。「テレビゲームと同じだ。間違えて殺してしまっても実感はない」と。どれほどの子どもと、武器を持っていない(そもそも大量破壊兵器はなかった)人たちが殺されたか、欧米メディアは報じたでしょうか?虐殺行為とも言える歴史的過ちを検証したでしょうか??イラクやアフガニスタンの人の命は、ウクライナ人ともアメリカ人とも日本人とも同じく重たいものなのにも関わらず!

「戦争の最初の犠牲者は真実だ」

と言いますが、アメリカ外交のウソによって国の未来をめちゃくちゃにされた国がこの半世紀で少なくとも6つあります。最も危険なのは、ウソをばら撒き、堂々と攻撃を仕掛けるアメリカだと思っている国も多くなる一方です。自分の利益のために他国に濡れ衣を着せて、集団リンチをするのですから、当たり前のことです。反米感情は世界でますます深くなっています。それが憎しみの連鎖を再生産する事は言うまでもありません。こういう作戦は失敗です。

ドイツとロシアがエネルギー協力し合い、ロシアがヨーロッパと近くなる事に、私は平和と繁栄への希望を抱いていました。結局全ての国は互いに頼り合って生きなければならないのです。「悪者」を作っているのが誰か、その目的は何か。裏を見ると全ておカネに結びついている事がわかります。最も多くのおカネを動かすアメリカの原動力は、理念、信条、文化ではありません。おカネについて行かないと「豊かさ」が脅かされると信じて、ジャイアンに「そうだ!そうだ!」と迎合する。それで良いんですか?人間よ!!

日本がどんなに中国嫌いでも、日本にいて中国製品なしで生活する事はほぼ不可能です。エネルギーも食糧も他国に依存しなければならないし、日本も製造業だけでなく、文化や価値観の輸出で世界の未来に大きく貢献できます。

21世紀にもなって、おカネやメディアに騙されて期待通りの「世論」に加担し、指導者たちの暴走を止められないのは落胆が大きすぎます。市民はそれほど無力でしょうか?

軍に指令を出すことのできる人は一握りだし、権力者にアドバイスできる人も少ない。でもせめてこの「ロシアが唯一の悪者」というトリックに陥らず、偏見で判断せずに、どんな国の人とも協力し合う姿勢でいたいです。どんな国にも、ふるさとがあります。どんな国にも暮らしを守るためにはエネルギーも経済も必要です。その蜜を独り占めしようとする事こそがもう時代遅れです。

戦争は双方を敗者にし、平和は双方を勝者にします。早く平和的合意に至るよう祈ります。

そして民間が決して政治圧力に屈することなく、交流を続け、真実を見抜く目で指導者たちに視線を投じる事ができますように。