「その後」

始発電車を待つ間、しんしんと雪が降り続けている。

東京には珍しいあの雪の日、飲み慣れないバーボンが頭の奥の奥を掻きむしり。

彼女は終電よりもずっと前に彼の元に帰っていて。

アナウンスが電車の遅れを、ただ淡々と告げる。

でも、何故か心の中は晴れていて、つっかえるものが取れたような。

多分僕は知っていたんだと思う。僕が求めているのは彼女じゃないこと。

誰かの元で幸せそうにしている彼女に嫉妬してたのだと思う。

バーボンが頭の中で溶けるように身体の中を巡り、つま先から消えていく。

30分遅れで到着した始発に飛び乗り、僕はぼんやりと考えた。

自分にできないこと、自分は手に入れることができないことに嫉妬している間は、何も手にすることができない。

自分の周りを見て、自分の外側のものを見て生きていこうとすると、そこには嫉妬しか生まれない。

自分の内側を見て、自分が何をしたいのかを自分に問いただし、主役はいつも自分であると信じる。

何故周りに振り回されるのか、何故生きる軸を自分に置かないのか。

何をしたいのか、どこへ行きたいのかを自分で決めなければ、スタート地点には立てない。

誰かのスタート地点に立ったところで、ゴールは自分が行きたい場所じゃない。

誰かのスタート地点から走り出しても、追い越すことはできない。

自分だけのスタート地点に立ち、自分だけのゴールを目指す。

その時、僕はそう誓ったのである。

始発の電車の席に座り、外を見つめると、いつの間にか雪は止み、空は少し明るくなってきていた。

電車は次の駅に停まり、寒そうに震えながら乗客が乗って来る。

前の席に座った女性の顔を見ると、偶然にも、その女性はいつも顔を合わせる仕事仲間だった。

失恋したその日、僕は仕事仲間とカフェに駆け込んでいた。

#米糀仕上がりました
#ハラハラドキドキでした
#トラブル大歓迎
#結果良ければそれで良し
#頑張ったみんなありがとう

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