同調圧力に関係したキーワードとして、フランス人のル・ボンによる著書『群衆心理』と、社会心理学領域で研究されている『マインド・コントロール』があります。

ル・ボンは、群衆に思想や信念などをしみこませる心理操作の方法として、「断言」「反復」「感染」の3つが重要としています。

難しい理論や論拠などを伴わない、できるだけ誰もが理解できる簡潔な表現で「断言」することと、それを同じ言葉で徹底的に繰り返して「反復」することで、たとえ真実でないことでも、群衆の頭の中にあたかも真理かのように定着させるのです。

その結果、群衆全体の意見が一致するようになり、さらに他の群衆へもその同じ思想が「感染」し広がっていくのです。この本はヒトラーの愛読書であったことでも有名ですが、今の現代社会でも同じことが起こっており、同調圧力もその結果としての現象であると言えます。

この群衆心理は、一種のマインド・コントロール状態でもあります。マインド・コントロールとは、社会心理学の視点から説明可能な巧妙な他者操作の技術とされています。

特定の思想や政策を一般大衆に広めるためのマスメディアを使ったプロパガンダや、テレビのコマーシャルやネットショッピングなどでの購買意欲を促す広告宣伝なども、マインド・コントロール状態と言われています。

マインド・コントロールは、長時間個人を拘禁状態において拷問したり、薬物を投与したりすることで個人の思考力を破壊し、新しい価値観や思想を強制的に植え込む「洗脳」とは異なり、本人が気づかないうちに心を操作されていることが特徴です。

カルト集団からの脱会カウンセリングを行っていたハッサンは、多くの臨床経験からマインド・コントロールの心理学的状態について表のような4つの構成要素にまとめています。

この4つの要素は、コロナ禍でも実際に起こっている現象であり、そのことにまず気づくことが「同調圧力」への対処法を各自が見つけるための最初の第一歩となります。

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