「核弾頭に使う核物質は非常に不安定で環境中性子線の影響を受けやすく、高度が上昇すれば勝手に核分裂を起こしてしまう。これを防ぐためには厚さ1Kmの鉛のシールドで核物質を保護する必要がある」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

上記は最近FBで見かけた文章だが、主題は「原爆は重すぎて航空機では運べないだろう」と記したA・アインシュタインの見解(ルーズベルトへの手紙)らしい。

環境中性子線
自然界に存在してる中性子線。宇宙から降り注ぐ「宇宙線」に含まれる。国際連合科学放射線委員会(UNSCEAR) の報告書では、環境の中性子線束は(0.008n/cm2s 9)と報告されているが、このような数字を見ても一般人は(俺も含めて)ピンと来ないと思うので、次のように考えていただきたい。

核弾頭を7発も積んだICBM(大陸間弾道ミサイル)の飛行高度は赤道上空で約17Km。これに対して戦略爆撃機が飛行する高度は約5~7Km。つまりICBMは戦略爆撃機より10Km以上も高い場所(成層圏)を飛んでいるが、宇宙線(環境中性子線)の影響を受けていない。

そもそも「核弾頭に使う核物質は非常に不安定」は事実だろうか?

これを書いた方は「核分裂・連鎖反応」の仕組みや原子爆弾の基本的な構造に無知だと思われる。核弾頭に使う核物質は「分裂し易く、連鎖反応が起きやすい」という意味で、原子炉の燃料よりは確かに不安定であるが、そもそも核物質が連鎖分裂を起こすためには「臨界量」という絶対条件がある。ウラン、あるいはプルトニウムの塊が臨界量に達していなければ、どんなに強い中性子を照射しても連鎖分裂は起きない。

だから例えばウラン原爆では「10」という量で連鎖分裂が起きるウラン235を「5・5」という2つの塊に分けてある。この2つを合体させなければ核分裂連鎖反応は起きない。

だから

戦略核ミサイルが20Km近い高さを飛んでも「自然中性子の影響」など議論する必要がない。無意味である。

アインシュタインが手紙の中で「核爆弾は飛行機で運搬するには重すぎるだろう」と予測しているが、彼は原子爆弾に関する知識は皆無である。原子爆弾のアイデアは彼の友人であり、同じく理論物理学者の「レオ・シラード」による。レオ・シラードが「核分裂の連鎖反応」を予測して、これを爆弾に応用できると考えたのであって、アインシュタインは原爆に関する実質的、具体的な仕組みについては詳しくは知らなかったし、事実、その後の原爆開発計画(マンハッタン計画)にも参加していない。

アインシュタインの「E=MC2(相対性理論)」は、物質はエネルギーに変換可能であることを示した公式であり、これに「連鎖反応」という概念は含まれていない。

まあ、環境中性子の影響で核兵器が勝手に爆発してしまうと言うなら、そんなモノは危なくて保管することさえ出来ない。(例えば太陽から放たれる宇宙線は黒点活動の変化と共に、そこに含まれる中性子線量も変化する)

■原爆は重くて航空機では運搬できない・・・?

広島原爆は約4トン。
長崎原爆は約4・5トン。

これを運搬した戦略爆撃機「Bー29」の最大積載重量は9トン。東京空襲時に積み込んだ通常爆弾の総重量が5~7トン。

つまり

原爆程度の重さは「ラクショー」である。

ちなみに

広島、長崎原爆は高度300mで爆発したが、これを地上で爆発させるとその破壊力は10分の1程度にまで激減する。地表面で爆発させれば「上半分」のエネルギーは上空に放たれ「下半分」のエネルギーは地面を振動させることに消費されてしまう。

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=987953045477021&id=100027870044411