「高所恐怖症の鳥」
高所恐怖症の鳥がいたとする。
飛んでこそ鳥なのに飛ぶことを恐れる。そんな鳥を、貴方は滑稽に思うだろうか。
鳥が飛ぶのは獲物を捕らえるためであり、敵から逃げるためでもある。
つまり、飛ばないということは死を意味する。
今、飛ばなければ死んでしまうと分かっていながら、怖くて飛び立てない鳥。
もし、本当にそんな鳥がいたとしたら、僕はなんとか恐怖に打ち勝つ方法を考えてあげたくなる。
いや、多分、誰でもそうだろう。
人に置き換えてみると、 食料を確保するために働くことや自分への攻撃を交わすことを放棄することである。
それを、一般的には鬱(うつ)と言うのかもしれない。
鬱から脱出するのは、実はとても難しい。
飛び立ったあと、地面に落ちてバラバラになってしまうイメージから抜け出せないからだ。
何を隠そう、僕もそうだった。実体験として、鬱から抜け出すのは容易くないと知っている。
しかし、良く考えて欲しい。ニワトリは大空を飛ばない。しかしニワトリはれっきとした鳥である。
ニワトリは敵の獲物になる可能性が高いが、その分、子孫を残そうと大量に卵を産む能力を手に入れた。
他にも飛ばない鳥は案外多い。例えばダチョウ、エミュー、ヒクイドリ、レア、キーウィ、そしてペンギン。実はフナガモも飛べない。
彼らも飛べない代わりに、他の特徴を持っている。
ダチョウが走るスピードにライオンは追いつけない。エミューの蹴りは3トンを越え殺人的である。ペンギンの泳ぐスピードは餌とする小魚の2倍から3倍である。
鬱になった自分は不完全な生き物と思うかもしれないが、飛べないことにより他の鳥にはない特徴を手に入れることができる。
それが生命の強さであり、神秘でもある。
僕は、鬱が必ずしも悪いことだとは思わない。
鬱は休息の時間である。
僕は鬱に苛まれたお陰で、今の農法を見つけ出した。
何をやっても上手くいかず、フツフツと家や畑に閉じこもり、人と接することなく暮らしていたことで、自然の原理原則を知ることができた。
鬱は確かに辛い。死にたくなるほど辛い。
しかし、考え方を変えてみて欲しい。これをきっかけに、自分にはどんな特徴が生まれるのだろうかと。
大丈夫。いつか飛び立てる日が訪れる。
今日は、父の一周忌を無事済ませました。お疲れ様でした。おやすみなさい。
#鬱に悩む友人に向けて
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