命のタイミング
先日、仕事を終えて帰宅した。
早朝からまた仕事に出る。
元々、仕事を始める時間が人より1時間早く入る僕はブレイクタイムを取るようにしていた。
賑やかな声が聞こえていて仄々した朝だった。
30分前に仕事を始めようと施設に入り、夜勤者の手伝いを始めた。
菖蒲の間の方を起こしにいって。担当でしょって言われた。
行くといつもならおはようと起きてくる人なのに、白く人形のようだった。
辺りが暗くなり頭に血が上る。
ベッドから降ろして蘇生を試みる。
まだ暖かい身体。
時間が止まる。
声をかけたいが泣くのが先で声に成らない叫びが胸の奥にこだまする。
脈がもどりにこやかな表情になるとそのまま旅立つ。
あのブレイクタイムがなければ。
あの時もっと話をしていたら。
あの時優しく笑えたら。
あの時。。。
97歳という高齢で前日「長くいきた。色々ありがとう。でもね、私はそろそろ後が支えるから逝かなきゃいけないんだけどね、なかなか迎えがこない。」と笑いながら話した。
ほんとうに翌朝眠るように旅だった。
今日は部屋の整理をして送り出した。
朝の風は湿った風。
朝日が差し込む部屋
。
白い紫陽花が咲く。
窓の外には青々した草木が見えた。
耳に残るありがとう。瞼に映る笑い顔。
泣きながら部屋の扉を閉める。
無理矢理笑顔を作りありがとうございました。と小声で言うと少し暖かい風が廊下を吹き抜ける。
タイミング。
命。
尊さを知る。
3つの願いを探しだし、叶えた時 神の身許にお帰りになる。
3つ目の願いは何だったのだろう。
梅雨の雨が独特の空気をつくる。
温い風。
湿った風。
天へ翔る風。



