アフターバレンタイン話。その③
ささやかなエピソードの詰め合わせです。
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お酒の入ったリカー・チョコレートを扱うお店に勤務していたんですが、あるお客さんから「このチョコって会社で食べたら怒られるやつかなあ?」と聞かれて「その場にいる全員で食べたら、怒る側にまわる人は居なくなりますよね」と、咄嗟にスラスラ言った自分に驚きました。(とんち?)
文章ならともかく、初対面の人へそんなことを言える饒舌さなんて、持っていなかったはずなのに。ユーモアさだけでなくて、人への信頼が増しているのかも。
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お酒入りのチョコにはメーカーこだわりの食べ方があって、お客さんに試食してもらう際には、その点を伝える必要がありました。
「(説明が書かれたパネルも見せながら)こちらの瓶型のチョコレートは、まず底面からアルミを剥いで、少しだけチョコをかじって、中のお酒を味わっていただいて、最後にチョコと残ったお酒のマリアージュを楽しんでもらえたら〜」という主旨を、要点はしっかり、それでいて簡潔にまとめて。
色んな配慮を含んで説明しているわたしへ「はいはい」と返事をした傍から、ひと口でパクっと食べる方は結構いらっしゃいました。
数秒前までの、抑揚と情熱が込められた わたしのプレゼン、聞いてました?(※どんな食べ方をしても自由です※わたしの力不足です)
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家族連れ(両親+中学生ぐらいの姉妹)のお客様がいらして、親御さんにだけ試食を出しました。
気に入ってくれた様子ながら、誰にいくつ、どの商品を渡すかをずうっと相談し合っていて、その間、娘さん達は
姉「wwwww」
妹「wwwwwwww」
姉「wwwwwwwwwww」
妹「wwwwwwwwwwwwww」
内容はまったく聞き取れませんでしたけど、そんなテンションで、悩める両親の側で ひたすら喋りっぱなしでした。
(楽しそうだけど、待ち飽きてるかな····)と、隣のお店から塩キャラメルのチョコの試食をもらって「おふたりには こちらのお味見をどうぞ」と差し出したら、www がピタっと止んで「あ、ありがとうございます」とお礼を言ったあとは、しおらしく食べていました。塩キャラメルだけに?(しょうもない)
尖りきっちゃいない、先端が∩な思春期に触れたようでした。
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リカーチョコのお店とは別に、ソフトクリーム店にも数日間ほど勤務しました。
ラインナップが ミルク/チョコ/ミルクとチョコmix の3種で、売れ行きが良いのはmixでした。わたしもこういう選択を前にした時は、たいがいmixを選んできました。それが得だと信じていましたから。
が!この考えは、愚だったのかもしれません!!
そこのソフト、特にチョコが、今までで食べたソフトの中でも群を抜いて美味しかったんです。ミルクもそこそこ。
なのにmixになった途端、それぞれの良さを味わいきれないんです、コーンの舞台で絡み合ってはいけなかったんです。
「mixというか相殺だわコレ」
お客さんにも「オススメはミルクorチョコ」と勧めていたんですけどね。甲斐甲斐しい努力は虚しく、mix信仰は根深い気がする。
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お客様から「お酒入りのチョコは食べれないからなぁ····うーん、結局どこのチョコが美味しいと思う?」と、丸投げされたような質問を受けて「正直いろいろ食べ過ぎて、よく分からなくなってますね」の本音が、喉元まで昇ってきていました。
でも本当に、売場にあるチョコレートの中に まがい物なんて紛れてはいないし、好みはあるにせよすべて美味しい。
世界各地のショコラティエが作ったチョコの中から、商社の目利きが日本人好みのものをチョイスしているんだもの。地元や国内だけでなく、世界中の一流が一同に介しているがゆえの “よく分からない” になったのだと思われ。
(もちろん「自分のお店の商品がいちばん」の気持ちを抱いて、店頭には立ーつ!)
いつまでも 2月前半の亡霊でいるわけにもいきませんから、バレンタインの話題はここで閉じることにします。
一緒に働いていた仲間たちも、今頃は焼肉弁当やお漬物を、それぞれ各地で販売しているはず。わたしも、自分の春へ向います。
うと ありさ 🌸