著者: 唯川 恵
タイトル: 燃えつきるまで―I lost myself when I lost him

一方的に別れを切り出された女性が、はかない希望を描きながら断ち切れぬ想いに悩み続け、立ち直っていくこころの動きを記した物語。「立ち直っていく」といっても、本編のほとんどは現実を受け止められない悩みを描いています。

どうにも別れを認めることが出来ず、最初は自尊心ゆえに相手から戻ってくると信じている。それが無理だとわかってからはそんなプライドはどこかに行ってしまってl、相手にすがり、なんとか相手を取り戻そうとする。相手に彼女ができたとわかってからは彼女に対しての憎しみをつのらせていく。「ここまでするのか」と思う人もいるかと思いますが、これは誰しもが多かれ少なかれ持っている【こころの部分】だと私は思いました。

そもそも恋愛は【感情】の中でしていくもので、そこには【理性】とか【常識】とかは関係ない。うまくいっているときはそれらは調和しているけれど、そのバランスは簡単に崩れていく。今思えば、「なんであんなことをしたんだろう」と思ったりするけれど、そのときは本人としては違和感のない行動だったりする。相手のことが本当に【大事な人】であったらなおさら。

こころとからだのバランスがくずれやすいのも恋愛。本編では不眠、拒食、頭痛等からだがどんどんおかしくなっていく。そして、友人の何気ない言葉によけいに傷ついていく。

立ち直るきっかけは、自分と同じような境遇の人を見たとき。自分を【客観視】できたとき。それは【忘れられない自分】を認め、自分を見つめなおしたときなんだと思います。忘れようとしても忘れられるものではない。忘れようとするのも辛いけど、実は忘れたくないと思う自分がいるから、そんなときはきっと忘れられない。そんな自分の矛盾を客観視できたとき、自分の中で何かが変わっていくように思います。

ちょっと重い小説ですが、そんなことを感じさせてくれました。