7つの短編小説です。テーマはいずれも、大切な人をなくした人、なくそうとしている人のこころの動きを追っています。子供が多くでてくるのも特徴です。大切な人をなくしたことをきっかけにうつ病になったり、ひきこもりになったり、その人の影をずっと追い続けていたり、いわゆる【こころの病】になっています。ですから、読んでいると、どの話もなんだか悲しい。すごく身近に起こりそうな気がして、せつなくなります。

でも、物語の多くは、そうした【喪失感】を乗り越えて、また立ち直っていく過程を書いていて、その過程は涙なしには読めない。子供が主人公の物語では、立ち直るまでの辛さが伝わってきて、立ち直ったときに自分も嬉しくなります。

タイトルには、「喪失によって止まった時間が、再び流れ出すときを描く・・・」と書いてあります。こころの傷は決して癒えることはないんだけど、それを自分で認めて、受け入れたときに前に進む勇気が生まれてくるんだなというのを実感できる物語です。

せつないけどなんだか嬉しい物語、どうぞごらんあれ。