海は高波もなく、幸いにも穏やかだった。
自分らの浮かぶ海の中にサンメアリ号が沈んでいくのをただ眺めているしかできなかった。
ロイのパーティーに泳げる亜獣はなく、飛行能力をもった亜獣はマルクのバイドバードだけだった。
だが、バイドバードには、人を担いで岸までたどり着くほどの持続飛行能力はなく、ただ救助待つしかなかった。
青い海に浮かぶこと30分。
ロイ達は軍の救助船団により救助された。
救助されたのはロイ達を含む冒険者130人と船乗りや軍関係者の30人で、実に100人以上の死者を出す悲劇となった。
コルトレカンに着くと、港には救助した冒険者達のための仮設テントが並んでいた。
救護テントで軽い治療等があって、解放された時には、もう日が沈んでいた。
リネットはロイ達よりも1年早くフローリアにやってきていて、コルトレカンは初めてではないという。
そんなリネットの案内でたどり着いた宿屋で落ち着くと、今後のことを話した。
コルトレカンからはギルドと呼ばれる冒険者で組織される団体があり、それに所属することができる。
亜獣討伐等を行うとギルドに軍から報酬以外にギルドポイントが与えられる。
ギルドポイントによってギルドはランキング化され、上位ギルドには軍から資金等の援助が与えられる。
コルトレカンに着いた冒険者はまずは、所属ギルドを探すのがセオリーである。
ギルドにはランクがあるらしく、
ランクは大まかなギルドの強さをしめしている。
上からA.B.C.D.Eとなっている。
リネットはすでにCランクギルドに加入しているという。
そんなリネットは、ロイ達のギルドを探す手伝いを買って出た。
リネットのギルドに厄介になる案も出たが、パフォーマー派生の職業のみのギルドらしく、その案は破棄された。
一晩宿屋で休むと、翌朝の早朝からコルトレカンの港町リコルスを探索することにした。
本来ならば、サンメアリ号が到着するとリコルス港は勧誘するギルドと到着した冒険者でごった返すはずだった。
今回はテンタクルスの襲撃でその光景に遭遇することもなかった。
勧誘するギルドの面々はリコルスの中心街の市場に連ねていた。
あらゆる勧誘の声が飛び交う中、一つ一つ見て回った。
『翼竜の片翼ってギルドに知り合いがいるんだけど、いってみないか?』
翼竜の片翼は新設の中規模ギルドであった。
『メンバー14人のDランクだけど、勢いのあるギルドだし、評判のいいギルドだよ。』
翼竜の片翼はギルド勧誘の面々のはずれにひっそりと募集の看板を掲げていた。
『やあ、フランク。』
リネットが話しかけたフランクという大男は全身をシルバーの鎧でかため、背中に巨大な両手剣を背負った重装備だ。
『よお、リネット‼ お前もサンメアリ号に乗ってたんだろ? 大丈夫だったか?』
フランクはリネットのあちこちを触って、生きていることを感じているようにみえた。
『なんとかね。それで、さっそく本題なんだが、ギルメンはどれくらい募集してるんだい?』
厚かましいフランクを除けると、改まって話をもちだした。
『なんだよ、素っ気ないなー。ギルメンは昨日一人入ったから後4人は欲しいといったところだな。』
『よかったな、フランク。目標達成だな。』
リネットがロイの肩を叩く。
まるで、ロイ達が入団する意向があるように振舞った。
『全員入ってくれるのか⁉ リネット最高だぜ、お前‼』
フランクが大げさに喜んでみせてるが、実際ロイ達は入団の決断をしていないが、話はとんとんと進んでいった。
こうして、ロイ達の所属ギルドは決まった。
iPhoneからの投稿