愛里跨(ありか)の恋愛スイッチ小説(飛香&愛海編59) | 愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ

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愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-救世主

 

59、二人の救世主(メシア)


 

東さんとお店に戻った私は、真っ先に寿里さんを探す。
既に寿里さんの姿はそこになく、

店内には午前の緊迫感はなくなって、
大佐和さんと神道さんの笑い声と穏やかな空気が流れている。

 

(パリ、モンルージュ。大佐和の店“Le Petits Bonheurs”)


東さんの手に導かれ、私は神道さんと対面した。
彼は東さんとはまた違った世界観と雰囲気を醸しだていて、
あれこれ言葉を交わすと、堂々とした風格と威厳を感じる。
ここ最近は和やかな雰囲気に慣れ親しんでいた私だったけれど、
久しぶり心地よい緊張感を味わえた。



愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-物思いにふける

 

光世 「あの子、帰ったのか」
神道 「ああ。ホテルに帰したよ」
光世 「よく納得して素直に帰ったな」
神道 「おいおい、俺を誰だと思ってる?
   交渉ならお前とは、ここが違うさ」
光世 「まぁな」
大佐和「神道が彼女を雇ったんだよ。

   だから安心して帰ったってわけ」
光世 「雇ったってお前…。いいのか?」
神道 「いいのかって、お前は雇えるのか?

   あんなド素人、無理って解ってるだろ。

   お前や大佐和のアシスタントが務まると思えん。
   フォトグラファーの世界も、写真のことも彼女には未知なんだぞ。
   趣味で写真でもやってれば、少しの時間である程度はものになるが、
   大佐和が聞いたって、まったく用語も知らない。
   ただファインダーを覗いてシャッターを押せば撮れると思ってる。
   お前らが雇っても足手まといになるだけだ。
   カメラやレンズの種類、道具の用途から教えないといけない」
大佐和「まぁ、普通は知らなくて当然だしね。
   旅行やイベントで、携帯かコンパクトデジカメ持って撮影するくらいで、
   一般ピープルには当たり前の答えだから。
   せめて彼女が飛香さんくらい分かっていたら、

   まだ考えないことはないけどね」
飛香 「私だってまったくの素人ですもの。

   たいしたことなんてできてないわ」

愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-飛香のカメラマン

 

大佐和「でも、一眼レフを使いこなせるくらいの、

   知識と腕はしっかり持ってるじゃないか。
   メンテもよくやってくれてるから助かるよ」
神道 「ほう。それはすごいね。カメラやってるの?」
飛香 「それは…以前少しだけ、嗜んでたんです。

   過去付き合ってた彼の…」

光世 「飛香ちゃん、彼って…(どうした…)」
飛香 「亡くなった彼の影響なんです」

大佐和「そうだったんだ」

飛香 「ええ。カメラが趣味だったもので、よく手伝わされてたんですよ。

   だから…私も寿里さんと対して変わらない初心者と同じです」

神道 「そう」

 

愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-カメラメンテ

 

光世 「だけどね、飛香ちゃん。

   君のお蔭で僕も安心して仕事ができてるのは事実だ。

   彼女を庇う気持ちも解らないわけではないけど、
   僕らは一台数百万もするカメラを何台も扱うんだから、
   彼女のように知識のない素人だと今すぐになんて、

   実践でアシストは到底無理なんだよ」

飛香 「ええ。そうね…」
光世 「それで?さっきの話だけど、

   生の会社で彼女に何をさせるつもりなんだ?」
神道 「彼女は照明コンサルタントと、

   インテリアコーディネーターの資格を持ってるらしい。
   うちの撮影現場でなら申し分なく雇えると思うし、
   お前に話した新企画でも、

   来春までに鍛えればスタッフとしてつかえる。
   光世、彼女のことは心配するな。

   俺に任してお前は個展のことだけ考えろ」
光世 「あ、ああ…。そうだな。じゃあ、頼むよ。
   直弥。すまないが、今日から二日間の仕事の変更頼む」
大佐和「えっ。いきなりなんだよ」
光世 「あの段ボールの作品。この二日ですべて撮り直す。
   お前の言うとおり、

   今回の個展にはとても出せないものばかりだからな」
大佐和「おお、そうかぁ。

   やっと本来の光世に戻ったな」
神道 「気づくのが遅いぞ、光世。

   人をやきもきさせてパリまで来させておいてな」
光世 「生、すまん」
神道 「まぁ、いいさ。俺もお前らに早く会いたかったし、
   光世から飛香さんの話を聞いて、
   何より飛香さんと会えるのを楽しみにしてたからね」
飛香 「神道さん。ありがとうございます」
神道 「うん。、“Stade de l'extase(恍惚の境地)”ね。
   エクスタシーなんて、お前らしくないイメージだな」
光世 「“Stade de l'extase”は僕っていうより、

   飛香ちゃんの作品から感じたんだ。
   カンヌで観たヴィーナス像にすっかり惚れてしまってさ。
   直弥と話し合ってこのタイトルに決めたんだ」
大佐和「そうだよなぁ~。僕もあの作品にはうっとりだったぁ。
   バラの花だけで、

   あれだけの立体感や神々しさを出せるなんてすごいよ」
神道 「そうか。大佐和にイベントの写真は見せてもらったが、
   確かに素晴らしい作品ばかりだったよ。
   しかし、二人がそんなに絶賛するセクシーな作品だったなら、
   俺もカンヌのイベントに行くんだったな」
飛香 「もう。三人してそんなに褒められると照れますよ。
   今度の個展作品がプレッシャーになっちゃうわ」
光世 「でも、本当のことだから。
   それに今回の“パンドラ”も、

   “ヴィーナス”とは対照的で楽しみだよ。
   だからきっと今度の個展もサイコーのものになる。なっ」
飛香 「ええ」
光世 「さぁ、僕は今から撮影に行ってくるかな。

   飛香ちゃんは一緒に行けそうかい?」
飛香 「ええ。もう花の加工処理は済んでるから大丈夫。

   お手伝いできるわ」
光世 「それじゃ、行ってくる」
神道 「気をつけていってこいよ」
光世 「ああ」
大佐和「光世、今夜のレストランの予約時間には遅れるなよ。
   神道との再会祝いするんだからな」
光世 「ああ。19時半までには帰ってくるから。飛香ちゃん、行くよ」

飛香 「はい。じゃあ、いってきます」
久しぶりに見た東さんのほっとした表情と快い笑顔。
神道さんの訪問は東さんはもちろん、

私と大佐和さんにとっても救世主となった。

 

 

愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-夜の月
   

 

(東京、愛海の勤めるデパート)

 

翌日。夜の東京…。
愛海さんは残業を済ませ着替えるとタイムカードを押す。
しかも大きなため息をつきながら。
ため息の理由…それはまだ彼女の心が迷っていたから。
刹那さんや匠二さんに懇懇と男の気持ちを話されても、
まだ心の底ではしっくりといかない半信半疑の愛海さんがいたのだ。
立ち仕事で重くなった浮腫んだ足を引きずりながら、
薄暗い通路を通り、従業員出口から外に出る。
急にむき出しの頬を掠める外気は冷たく、

愛海さんは身体を萎めて目を瞑ったけど、
ゆっくり目を開けて正面をみた。
そして次の瞬間、びっくりした顔で急に立ち止まったのだ。
そこには腰に手を当てた仁王立ちの麻紀さんがいて、
険しい表情のままゆっくり愛海さんに近づいてきた。

 

 

愛海「麻紀!今日は実家の用事で帰ってたんじゃないの?」
麻紀「そうよ。ちょっと愛海。水臭いじゃない」
愛海「えっ…何が?」
麻紀「夕方、真守くんから電話あったわよ。

  愛海を捕まえておいてくれってね」
愛海「はっ?…捕まえるって」
麻紀「あんた。荷物どうしたの?

  ほとんど持ち出してたんだって?」
愛海「あぁ…。それは…」
麻紀「しかも昨日の夜遅くに黙ってレフトを出て、

  いったい何処に行ったのよ」
愛海「それは…お兄ちゃんのところに」
麻紀「呆れた!あんたって本当にブラコンなんだから。
  いい加減、何かある度にお兄さんを頼るのやめな。
  もうすぐ真守くんが車で迎えにくるから、今夜は一緒に帰るわよ」
愛海「えっ!?麻紀。私、まだシェアハウスには帰れないわ」
麻紀「何言ってるの?帰れないって何故?何かあるなら私に言ってよ。
  私にまで何も言わずに出てくなんて気分悪いわ」
愛海「麻紀には何もないのよ。ただ私、真守とはちょっと…」
麻紀「今回は逃げたって無駄よ。

  逃げたって何の解決にもならないんだから。
  自分を受け入れて貰えないって思い込むと、
  すぐ逃げ腰になるところ、あんたの悪い癖だよ」
愛海「だって!今の真守は、

  自分の生活から私を押し出してるんだもの…
  いくら話をしてもわかってくれないし、このままの状態が不安なの。
  愛されてないのかもって思うともっと不安で…。
  今ままでの恋だって『仕事で忙しい』『休みが合わない』って、
  連絡がだんだん途絶えて!その間に女作って」
麻紀「あのね。私も女だから、愛海の寂しい気持ちわかるよ。
  私も同じようなことで彼氏と喧嘩になったこともある。
  だけど、真守くんは愛海のこと無茶心配してたのよ。
  何も言わず置手紙もなしに、

  突然荷物と一緒にあんたは居なくなって、
  今朝だって殺風景になったあんたの部屋で、

  あいつぼーっとして困り果てた顔しちゃってさ。 


愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-真守2

 

  愛海のこと愛してるから、

  あんたの行動にショック受けてたんだと思うわ。
  今までだって愛海の我儘を何も言わずに笑って受け止めてさ。
  あんな優しい奴、どこにも居ないわよ」
愛海「だけど…このままだと、またきっと」
麻紀「喜和くんと真守くんは違うんだよ!

  失っちゃう前に目を覚ましな!
  あの時とはもう愛海だって違うんだから!
  自分が惚れた男でしょ!自分の心の手で掴んで離さないの!
  そして誰にも奪われないように、

  自分の心をしっかり磨いて大切に守りなよ!
  私たちは過去の失恋で脱皮して、また一つ成長したんだからね!」
愛海「そんなに怒って言わなくたって…私だって…」
麻紀「あんたはひとりじゃないの。私もいるの。
  愛海、もう少ししっかりしなよ!」
愛海「麻紀…」
麻紀「愛海ー」
 

二人は人目を憚らずに抱き合って大声で泣きだした。
自信を失いかけていた今の愛海さんにとって、
麻紀さんの存在は誰よりも心強い味方だったのだろう。
そこに…

 

真守「愛海!」
 

麻紀さんの背後から聞こえた声。
少し前に到着して黙って二人を見守り、
会話を聞いていた真守さんがそこにいた。

 

愛海「真守…」
真守「まったく。

  いい大人の女がこんな人ごみで泣きながら抱き合って、
  愛の告白でもするのかい?」
麻紀「やっときた。

  名前は“まもる”のくせに来るの遅いわよ!」
真守「無理言ってごめんね。麻紀ちゃん、ありがとう」
麻紀「ううん。いいのよ。
  私は二人が仲良くしてくれてたらそれでいいんだから」
真守「愛海、ごめんな。僕が悪かった。
  ここのところ忙しさで余裕がなくて、

  ちゃんと愛海の話聞いてやれなかった」
愛海「真守」
 

 

真守さんは俯き気味の愛海さんを優しく覗きこんで、
ふんわりと包むように抱きしめた。

愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-ハグ

 

一度は納まっていた愛海さんの涙は安堵の涙として再び溢れ、
真守さんの温かで広い胸ですすり泣きながら凭れ掛かったのだ。
 

真守「愛海。マンションの件も含めてちゃんと話しをしよう。
  愛海の胸の中にため込んでる想い、僕に全部吐き出していいから。
  ちゃんとお互いの気持ちを素直に話そう。なっ?
  僕と一緒にレストに帰ろう」
麻紀「そうよ。それに今夜は、
  匠二さんがビーフシチューとロブスター料理作って待ってるよ」
愛海「うん。真守。麻紀。本当にごめんなさい…」
真守「もういいよ、泣かないで。あっ、そうだ。
  お兄さんが愛海の荷物を持ってきたって、匠二さんが言ってたよ。
  後でお兄さんに電話して安心させてあげなきゃな」
愛海「えっ…。うん。そうするわ」
麻紀「あぁー。泣くと何故だかわかんないけどお腹すくのよねー。
  さあさあ、ふたりとも早く帰るわよ!」
愛海「うん」


 

寂しさと失う怖さという過去のトラウマに縛られて、
迷路を彷徨っていた愛海さんの心も、
そして、愛海さんに嫌われ、
愛を失ってしまったかもと不安を抱えていた真守さんの心も、
親友、麻紀さんという救世主に救われた。
三人を乗せた車は、ヘッドライトの光流れる東京の街中を、

走り抜けて帰っていったのだった。
匠二さんのホロホロと温かなビーフシチューの香りを思い浮かべながら…


愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-夜景2

 

 

愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-カメラマン2

 

そしてやっと立ち直れたこの私も、
鋭い眼光で被写体をとらえる東さんの姿を見つめながら、
確実に近づく夢の現実をリアルにとらえていた。
爽やかな南風と青からピンクへと変化するパリの秋空を、

全身で感じながらゆっくり見上げたのだった。


愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-光世を見守る飛香

 

(続く)


この物語はフィクションです。


 

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