境界に生きた心子/稲本 雅之
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とにかく読み進めていって、吐き気がした
心子の言葉のひとつひとつが心に染みる
自分で書いた文章かと思う位共感したし、実際同じ台詞を吐いた事も何度もある
言動があまりにも自分と似ていて、読んでいて辛かった
今は私はボーダーだと自覚しているし、行動化しない為の治療を受けている
それでも駄目な時もあるけれど、だいぶ落ち着いてきた方だ
一番荒れていた時期は、相手のちょっとした態度で、悲しみが怒りという形で出てきては
よく暴行を加えたり、罵倒をしたり、目の前で自殺企画を図ったりしたものだ
あの頃はまだ、ボーダーという言葉も浸透していなかったし、こんな病気がある事も知らなかった
この著者の「マーくん」のように命懸けで止めてくれた人も居たのに、その気持には応えられなかった
あの時、自分の症状を把握していれば違う結果になっていたのだろうか

何度も自殺企画を図った私は、まだこうして生きている

だけど心子は本当に自死してしまった

どこでその明暗は分かれてしまったのだろう

そして私もまた、心子のように糸が切れた瞬間同じことをしないとも限らない

そう、この物語は自分への警告本でもある


最近はニュースでもボーダーという言葉が使われるようになったが、境界性人格障害という言葉のせいで

人格の障害だから治らないとか、治療は無駄だという間違った見方をする人も増えている

一人でも正しい知識を得て、理解してくれる人が増えますように

最近の小説の見出し、「虐待、レイプ、自殺未遂」って多過ぎじゃない?

しかもこれを感動物でひとくくりにされるのは堪らない

実際どれもこれも経験すれば、壮絶で悲惨で地獄で感動なんて言葉は出てこない

感動なんてほざいてる奴は、自分より不幸な人間見て安心してるだけなんじゃないの?


私には幼い頃の記憶が殆ど残っていない

当時見ていたニュースやアニメ、歌番組は克明に思い出せるのに、自分に関する記憶はホワイトカラーで塗りつぶされたかのように、ぽっかりと空いている

少しでも思い出そうとすると、目の前が暗くなり意識が遠くなっていく

それだけ脳が思い出を拒否してるんだろう

今更思い出した所で、どうにもならないしね


私には本当は姉と母親が居るらしい

居るらしいと言うのは、実際会った事が無いからだ

しかも生きてるかどうかも、どこに住んでいるのかも判らない

今更会いたいとも思わないし、あんな父親なんぞと結婚するような見る目のない女には興味がない

それぞれ別の生活に入ってるのに平気で「会いたくないの?」と聞いてくる奴は馬鹿じゃないかと思う

時を経て親子の感動の再会とでもなるとでも思ってるのか?

そして父親の方は、まともに会ったのは5歳の頃からだ

それまではずっと東京で暮らしてて、年に一度は帰ってきてたようだが記憶に無い

離婚の原因も父親の育児放棄と、多額の借金というどうしようもない理由

その時の事を「あんなに小さい子を置いて行くなんて信じられない」と語っていたが

その小さい娘を残して、毎晩飲み歩き泥酔し時には暴力を振るうお前にだけは言われたくないだろうよ

親戚にははこの借金の保証人になっていた事と、その渦中に生まれた子という事で相当恨まれていた

親戚一同で集まった時も、祖母の前では「可愛い」と猫撫で声を出してくる癖に

居なくなった途端「厄病神」「保険金沢山掛けてあげるから、早く死ね」「お前みたいな奴施設に入れられてしまえばよかったのに」とよく罵られたものだ

こんな馬鹿な発言をする人間が、家庭裁判所で働いていたんだから恐ろしい世の中だ

しかもそんな所で働いている人間が施設に預けたら世間体に悪いという理由で、祖父母に引き取らせたというのだから、益々とんでもない奴らだ

こいつらは事あるごとに「ちゃんと育てて貰ったんだから、おばぁちゃんに感謝しなさい」と言っていたが

物心つくかつかないかの子供に言う言葉か?

むしろ面子を保って貰ったお前らが感謝するべきだろーが


ある日こんな事があった「アリカちゃんはお母さんも兄弟も居なくて可愛そうねぇ」

何十回、何百回と言われてきた言葉だったがこの日だけは妙にかちんときたのだ

明らかに可哀想という事で、見下してる目だ

「優越感に浸ってんじゃないぞ、ババァ!」

普段は黙っているだけなので、驚いたのだろう

私は無言で淹れられたばかりの珈琲を掛けた

ここからは、くんずほぐれつの乱闘だ

当然力は向こうの方が上だ

「この子はとんでもない悪魔の子だ」

などとキーキー猿のようにわめいていた

良い歳こいてみっともないと、私は見下す対象の人間になっていた

周りの人間はこの一連の流れを、ちゃんとこちらの言い分も聞きもせずに責め立てていたが

味方になってくれた人が一人だけ居た

ここ一カ月位ずっと早期覚醒と希死念慮に苛まれている

ソラナックスを2錠飲み込む

通常なら1~2時間で治まるはずだった

いつからかそれが半日経過しても、その念は晴れる所か強くなる一方だ

1錠2錠、さらに追加していく

喉が渇く、頭は重い、体はぼろぼろで疲れきっている

吐きそうになりながら、仕事場では客に愛想を振りまき笑っている

それを醒めた目で見る自分が居る

消えたい、死んでしまいたい

なぜこんなに死にたいのかも、どうして生きていきたくないのかも理由なんか判らない

今の私は死ぬ為に生きてるんだ


どんなに楽しい事があっても寝て起きてしまえば、全て振り出しへ戻ってしまう

例え愛してる人と同じ時を過ごして、楽しく過ごせても、夜が過ぎれば色あせてしまう

今は朝が来る事が何よりも怖い