お寺

 

長野県のあるお寺の住職だった高橋卓志さんの事を以前知って「寺よ変われ」「さよなら仏教」など色々本も書かれており、読ませて頂いた事がありました。

 

お寺の一人っ子として生まれ、当然跡取りとして育てられたものの、葬式仏教と言われる様に、子供の頃から、人が死んだら儲かるから良いなと友達から言われたり、人の苦しみ悲しみを生活の糧にするのがどうにも嫌で、若い頃は何とかお寺を離れる事ばかりを考えていたそうです。

 

しかし、結局跡を継ぐことになり、嫌々お寺を継いだ高橋さんだったけれど、ある転機が訪れた。太平洋戦争の激戦地だったビアク島に戦没者の遺族と共に慰霊の旅に同行する様、本山の管長様から仰せつかり、戦争を知らない団塊の世代である高橋さんは現地で余りにもすさまじい悲惨さや遺族の号泣する姿に衝撃を受け、そこから人の死と言うものに対して僧侶としてどう向き合っていけば良いのかを模索し続け、同業者や世間からも色んな誹謗中傷やバッシングを受けながらも、お寺はどうあるべきかを模索し続け、国内海外問わず様々な活動をして来られたのでした。だから自分は住職ではなく、十職だと言っておられました。

 

 

お寺で極楽クラブと言うミニデイサービスを立ち上げ、そこには宗派を問わず色んな高齢者の人が楽しみに集まって来られ、一般的なデイサービスの印象とは違い、もっとイキイキしたものがある様に感じます。或いは尋常浅間学校を立ち上げたり、様々な介護の分野にも参加していかれるようになられた様でした。お葬式も流れ作業のお葬式ではなく、一人一人に関わりどうしたら寄りそえるのかを常に考えて来られた様でした。

 

 

全国にお寺が約7万数千件、公民館が2万件弱との事。

コンビニでさえ、現在全国で5万7千件程だとしたら、コンビニよりもお寺の方が多いということになります。

元々お寺は現代の様に葬式や法事をやる所ではなく、もっと地域住民の福祉や文化の拠点として様々な形でお寺が地域住民と関わって来たのだろうと。お寺の意識が変わったらそれこそ世の中が変わるだろうけれど、なかなかそれは難しい問題でもあるとも言っておられました。小学校区に一件くらいの割合でお寺が地域住民と関わり、信頼関係を構築して行ける様な世の中になったら素晴らしいだろうと思うと。そう言う意味においては、お寺や僧侶と言うこんな面白い職業はないとも言っておられました。高橋さんにとって創造していく世界なのでしょう。

 

 

人には皆それぞれ人生や背負っているものも違う。

ひとくくりに戦没者と言っても、そこには一人一人の人生や家族がいる。人々の死や苦しみ悲しみに関わるには、一人一人の人生と関わらない限り寄り添う事は出来ないだろう。

しかし、今のお寺は、亡くなりましたと言って連絡を貰い、死んでからその本人と関わるだけで、死の前の人生における痛みや苦しみにはお寺は関わる事がない。

 

どうしたら、不条理の死や人生の苦しみ悲しみを共にする事が出来るのか、それがお寺の役目の様な気がするとも言っておられました。現代、高橋さんに限らず色んな試みをしておられるお寺やお坊さんはおられますが、氷山の一角に過ぎず、非常に難しいことでもあるのでしょう。

 

 

しかし、高橋さん御自身も数年前に癌におかされ、現在ステージ4である中、それでも前を向いておられる。

 

こんな事を言っておられました。

子供の頃からお寺で育ち、人の死に間接的にかかわってきたけれど、お寺の役目はその人が死んでからの事でしかなく、余り死と言うものに対して実感が湧かなかった。

若い頃、初めてビアク島で人の不条理な死と言うものに直面した時、確かに初めて強烈な衝撃とショックを受けたけれど、今になって思えば、それはあくまでも第三者の死であり、三人称の死でしかなかった。

 

その後、身近な父親が亡くなった時は、自分とあなたと言う一対一の関係で死を捉え、二人称の死であった。

 

そして今、自分自身が死と向き合い、一人称の死を迎えようとしている。

今迄、長年様々な活動を通して人の死と向き合い、どうしたらその人に寄り添えるだろうと模索してきたけれど、今自分自身が実際に一人称の死と向き合ってみて、今迄分っているつもりでも分かっていなかったものが一杯あった事に気付いた。解っているつもりでもやっぱり他人事でしかなかった。

 

 

一生懸命やって来たつもりでいたけれど、今迄、死を迎える人達や、大切な家族を亡くした人達の前でなんて自分は恥ずかしい申し訳ない事を言って来たのだろうと、自分が病気になってみて初めてそう思う事もある。自分が実際に体験してみないと分からない事なのだと思った。

でも、自分にとって死と言うものが、三人称、二人称、そして一人称となり、今は自分の死すら客観的に見ている部分もあると。

 

 

闘病の為、心身共に快適と感じる日は一日もなかった。

しかし、最近、午前中だけでもすごく調子がいい、快適だと思える時がたまにあり、そのほんのわずかな快適さが本当に幸せに感じると。

 

何度か辛い手術もされ、大変な状況にあったにも関わらず、ごく最近はお元気な時の姿と全く変わりなく、とても患っておられるとは思えない程のお姿は何なのだろう。

 

 

 

 

 

 
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