雨は美しい。

私は子供の頃から雨は嫌いではなかったと思います。

傘をさしても靴が濡れるので慎重に雨に濡れないように帰りましたが、雨に濡れると水溜まりに入ってずぶ濡れで家に帰りました。

完璧でないと全部濡らしてしまいたくなるのだと思います。

雨の日は歩きながら傘がどうして雨を防げないのかと考えながら歩いていました。

傘の周りにシートがあればいいのかと考えましたが、「風が吹くと無理か…」と考えて傘が横からの雨を防げないことを考えていました。

『雨の日と月曜日は憂鬱』というカーペンターズの歌がありますが、子供の頃は日曜日の時点でもう憂鬱でした。

土曜日の午後が一番ハッピーでした。

休みが1日半あるのです。

雨の日は憂鬱ですかね?

困ることはありますが、梅雨もあまり気になりませんでした。

余程の長雨か、異常な湿度の時だけ苦しさを感じましたが、それ以外はいつもと変わりませんでした。

いつも逆のことが起きるので、子供の頃、誕生日に呼んだ人は雨が降ったら用事がなくなるので来られると言いました。

その日、晴れたのでその人は来ませんでした。

そんなことが起こります。

雨が降ると爽快で好きな雨がありました。

傘も好きで黒い傘やビニール傘が好きでした。

雨が降ると植物も成長するし、夏は涼しくなります。

冷たい雨と言われますが、私は優しい雨という言葉がいつも浮かびました。

歌の歌詞にありますね…

小泉今日子さんの歌や今井美樹さんの歌のジュビアという言葉にはひび割れた地面に降る恵みの雨という意味があると読んだ気がします。

何にも思い出せないので、何となくです。

水色も好きでした。

水色のストレッチ素材のカラーパンツと水色のマキシ丈のグラデーションのスカートを履いていました。

水色と青色の鞄にカーテンも青色でした。

青いレターセットに…


名前が雨だった頃、色んな人が雨の悪口を言っていました。

雨がネガティブなものになっているのが不思議です。

ドラマの中でもネガティブな扱いになっているので気になりました。

帰る場所と雨宿りができる場所や微笑み合う人がいれば雨は寂しくありません。

雨宿りをした時に知らない人と軒下に避難して目が合うと微笑みます。

「みんな一緒だね?」と微笑みます。

子供の頃は、公園のトンネルの中に丸まって友達と話します。

アンコウの中に入っていたりと狭い場所が落ち着きます。

大人になっても夜は公園の滑り台の上に寝転がって空を見上げていました。

記憶は消えていきますが、薄く断片的には映像が浮かびます。

雨の日に風が強い場所だと傘をさすと少し浮きます。

危険なので、道路際は傘をささないようにしていました。

多分…

地下で働いていると湿度と土の匂いで雨を判断します。


最近では、雨を忘れかけています。

最後に雨を見たのはいつだったか、以前、散歩に出た時に雨を見たような気がします。


映画『ティファニーで朝食を』の最後のシーンは雨の中だったような気がします。

雨は記憶に残りやすく、画になるのかもしれません。


人や社会が優しいと雨の日も優しくなります。

私はこの社会の構造に疑問を感じています。