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perdida

スペインでの生活日記

彼に出会い、私のフラメンコは変わった。

モデルノから変化せざるを得無かった。
モデルノは彼の歌に合わない。
彼を観察していくうちに、今迄気づかなかった発見が沢山あった。

いつか彼の歌で踊りたい。
こんなに素晴らしい歌の中、踊りたい。
そんな夢を抱くようになった。

毎日が彼の歌で満たされていった。
雷のような衝撃を受けた日以来、彼の歌を聞かないと落ち着かない、無性に聞きたくて聞きたくてたまらず、暇さえあれば聞いた。
まるで生きるのに栄養を補給するように。

彼を見る内、聞く内に幾人もの踊り手が彼の歌に喰われるのを目にした。
踊り手自身、気づいているのかは分からない。
私は嫌だ。
彼に喰われず、彼が心から共感できるような踊り手になりたい!
どうすれば良いのか。
ただただそれを模索する日々。
未だに答えは分からない。

そうやって彼だけを見ている間に、彼に対する想いが変わっていった。
彼が何気なく言った言葉は、苦しい時に幾度と無く私を励ました。
私にとって彼自身が私のフラメンコ。

そうやって追いかけてきたけど、現実は厳しい。
自分のレベルではまだまだ彼に歌って貰えるレベルではない。
到底太刀打ち出来ないのは分かる。

そうこうしている間に、お金さえ払えば彼に歌って貰える機会を得ている人達を目にした。
その人達は彼の歌を何処まで理解しているのか?大体聞いた事があるのか?
複雑な気持ち。

今、思う。
遠い回り道なんかしないで、ただひたすらテクニカだけを学び、精進し、沢山の振り付けを取りコンクールに、ライブに出まくれば良かった、と。
そうすれば、有名になり機会があったかもしれない。

でも私には出来ない。
物凄く遠い回り道だし、スローだけど彼をきちんと理解したい。
時々無性に悲しくなる。