はじめに…

 長引く梅雨が九州に停滞して大雨をもたらしています…

特に熊本地方を襲って死者まで出し、現在は九州全域で警戒が呼びかけられています…

熊本はあの災害以来度々集中的に襲われ、今回も球磨川の堤防が決壊あるいは越水して、広い流域が濁流に沈みました…

 

 今はコロナ危機とも重なり避難者や救助者の救援にあたる関係者の今後の困難に頭が下がります…

どうかお気をつけください…

 

 ただただ「肥後もっこす」の心意気を期待するばかりです…若い頃のわずかな縁で熊本には思い入れがあるとはいえ、ボランティアもかなはない今、遠くからお見舞いを申し上げます…

 

 

 

「ボランティア活動」について…

 この長雨が去った後は多くのボランティアの方々が熊本に参集されるでしょう…

でもその実態は過酷なものです…

 ただでさえ雨上がりの後の濡れた大地は、家の中だけでなく田んぼや道路を泥で覆い…

使えなくなった家具やたたみ類は、カビが発生し床下の匂いや汚物の流れがボランティアの人々の作業の手を奪います…風は容赦なく土やホコリや菌を撒き散らします…後片付けで場所の確保や集積で行政も大変です…

 

 二次災害を防ぐには、微細な細菌の侵入を防ぐためのゴム手袋、肌が露出しない長袖などの衣服などの着用です…

これにマスクで息苦しく、さらに多分梅雨の後の猛暑も予想されます…

細菌の中でも「破傷風」は最も恐ろしいものの一つで、ボランティアは常にこの危険にさらされます…

 

 泥水に浸かった「家」は…この床下=基礎完全に乾燥させる必要が有ります…

泥をかき出し、急速に繁茂したカビや細菌も除去します…この時には嫌な臭いも一気に噴き出します…

 この消毒には普段なら長いノズルで吹きつければ済むことも、この際には通用しません…

霧状ではボランティアが吸い込む可能性があり、面倒でも一つ一つ消毒液を染み込ませた布で拭き上げるようにと、専門家はアドバイスします…

 ついでですが、消毒液には「家庭用の塩素系漂白剤」の主成分「次亜塩素酸ナトリウム」が有効だそうです…

 

 ボランティアとはいえ、これらを黙々とこなす人々たち…

そこには大きな郷土愛や隣人愛、何よりも無償の愛があることをボクたちは知らなくてはなりません…

すべては「フツーの人たち」が行っています…

 

 濁流に埋没した我が家…子供たちのノートも思い出も泥に沈みました…

今まで通りの生活に戻るのに、一体どれほどの時間と手間が必要なのか?

 

 

 

「人知を超えた水のスピード」…

 水害の目撃者によれば、アッという間に増えた水かさは瞬く間に身の丈を超えたと言います…

日本の建築法令では一般に室内の高さ、床から天井までを2、4メートルと決めていますから…今回の水かさは簡単に、それもアッという間に人間の高さ=身長を超えたことになります…

 

 

 

「堤防に守られているという安心感」…

 日本の他の多くの地域に見られることですが、この「安心感」が、流域の平坦地を耕作や宅地化を積極的に進めているのも事実です…

 

 今回の災害=水害、いつもですがこの土地の平坦性を直撃します…もともとは水に弱く=親水性も高い土地です…

「家」を建てる側からすれば、最も用心を必要とする土地で…地盤調査=以前にも話しましたが「家」という重量物が安定して建つのに必要な地盤の強さを調べます…を十分に行う必要があります…

 

 その結果で特別な薬剤を土に混ぜたり、基礎の地中に柱=杭を立てるなどの地盤改良を行います…

それでも地下の水脈や土地の流動性を完全に防げないのが事実です…

 

 また基礎のために「切土」を行いますが、本来「地山」になっているところを切るのが切土で…反対に新しく土を盛り上げて高さ=カサを上げるのが「盛り土」です…いずれも地中に溜まった水を排出する水抜き、大抵はトレンチ状の塩ビパイプが差し込んでありますが…それも土地をよく知っている業者の「経験値」が大きくモノを言います…「水」の怖さです…

 

 

 

「ハザードマップ」はあなた自身が読んで理解をする…

 その土地の被害=ハザードが想定できるマップ=地図は当該の役所で見ることができます…

今回のような水害も水路や堤防の書き込みから想定ができます…

 

 それでも今回のような重大な災害は起きます…

大きな原因はハザードマップの読み方とあなたの想像力にその原因はありそうです…

もしも河川があれば、川の蛇行具合、あるいは複数の川の出合頭の形から堤防の決壊箇所を読み取れます…

 

 さらに居住地水面の高低差堤防の越水箇所を想定できます…

 

 また今回の球磨川のように九州でも名だたる「暴れ川」なら、その記憶=地名として記入はされているはずです…

 新たな街の建設のために消された過去の記憶…古地図や古老の言い伝え、土地のベテランの記憶などはあなた自身が調べて、想像力を強くする必要がありそうです…

 

 

 

 現在の「ハザードマップ」の信頼性…

 そして何よりも、当該役所のハザード警報の機能が安全=信頼できるものか?

ことが大きくなったら安心して避難の誘導ができるのか?…避難所への道順は?…どうやって?

 クルマは鉄の塊、重そうに見えても密閉性ではただの水に浮きやすい「箱」です…ここにも信頼=危険が顔を覗かせます…

 どうやらあなたの身を守るのは「器械的」なものではなくやはり「人間=信頼」の言葉のようです…

 

 今回も水かさや、タイミング、その他の全てが市長以下の公的な想像を上回るほどの速度で、その判断を狂わせたようです…警告の意味の記者会見も行われず、被害を大きくしたようです…

 

 

 

 災害では、誰もが「王様の耳は、ロバの耳」…

 残念ながらボクたちは「過去の失敗」から学ぶしかありません…

それでも毎回繰り返される不手際の数々…結局は自分自身でこの身を守れということなのでしょう…

 

 そのためにも「土地」をよく知ることであり「スマホ」などのパーソナルな通信手段が発達した今、自分の目で耳で直接情報を得ることが大事なようです…電池の残量や充電方法に注意をしましょう…

 

 こんな時みんなの耳は今まで以上に大きくなって「情報」「確かさ」に向きます…

それに確実に応えるのも「公的機関」の大事なことです…

そのためにも地域の「気象台」が出す現在のナマの情報を共有してください…

 

 それがあなたの生き残る、あるいは隣人にできることなのです…

 

 

 

 文末ですが…くれぐれも「肥後もっこす」「くまモン」の心意気に期待します…