コテージらしさを演出するのは…どうやら屋根のようです…
アメリカでは当たり前のシングル材をコツコツと張ります…
これはそれをまきこんで雨樋をなくし、しかも屋根を強調しています…
今では当たり前のように言われる「システム・キッチン」です…
その特徴は、コンロやシンクのトップ=天板が一枚板でつながり、つなぎ目や凹凸がありません…
もともとキッチン空間の有効利用にと先進のドイツを参考に日本で考えられたものです…
天板が繋がっているからデザインに一体感があります…
ナルホドなんとなくシステム化したような…
これに対して、部材を別々に購入した「セクショナル・キッチン」…アパートなどの「ユニット・キッチン」がありますが、つなぎ目が目立ち、収納も制限され、掃除にも手間が要ります…
これらの欠点を補いかつキッチンを一体化するように考えたのが「システム・キッチン」です…
今ではキッチンはこれだ!と言わんばかりに人気があります…当然、HMの稼ぎ頭です…
この先進のキッチンでもどうしてもベタベタ感の残るところがあります…
経験では、流し台=シンクの下にある、鍋類や大きな調味料をしまう戸棚ですが…
換気扇は主にレンジや流し用に設計されているので、シンクの下の戸棚には役に立ちません…
ましてその戸棚には扉があるから余計に換気をしません…扉をしめるとここは完全に密室になります…
扉さえ閉めれば中は目立ないし、いつの頃からかそこは鍋釜、それに調味料の親玉、例えば醤油や味噌、サラダ油に天ぷら油、お酢などの収納庫になります…
つまりキッチンで目立たせたくないモノをしまうところです…それを扉がカッコよく隠します…
「臭いモノにはフタをしろ」です…扉はその臭いものにするフタの役目です…
もちろん、初めからこんな風に使っていたわけではなく…初めは新しい戸棚だからだとキレイに納めていたのですが…気がつくといつの間にやら、汚れていたというわけです…
内部には太い排水管があり、薄暗く、通気性も悪いし…排水管を隠した内部もありますが…
それなのに主婦は重たい鍋釜や一升瓶なんかの重いものをしゃがんで出し入れしなくちゃなりません…
中腰で重いものを持つなんて、かなりの労働です…
例えばルクルーゼなんてハンパじゃない重さです…男性がキャンプで得意そうに使うダッチ鍋と同じくらい重いのですが…どうやら男の料理と主婦の労働は違うもののようです…
これで、案外キッチン仕事は主婦には重労働なんですが…
それを一回のキッチン作業に何度も繰り返します…高いところの棚では腰が伸び、配膳に洗い物…
全体で考えるとかなり過酷な労働です…
いくら清潔好きな主婦でも洗ったばかりの鍋釜を完全に乾かしてからここにしまうのはかなり大変です…まして油類は完全に油を切るなんてできません…
食洗機にも洗剤が残っています…十分に汚れが落ちているとは考えられません…
こうして少しづつ戸棚の内部は汚れていきます…調味料も初めの頃はあんなにきちんと奥から並べていたのに、気がつけば扉の近くで簡単に出し入れのできるところに並んでいます…その方が簡単に出し入れできるからです…それに奥の方は油っぽく嫌なニオイもあるから当然です…
大切に使うつもりで敷いた紙も今では油や醤油のシミでくしゃくしゃ…かえって汚れ感が強調されます…
戸棚の前の方だけが使われ、その他どうでもいいものが奥の方に押しやられています…そのうち匂いや暗がりが好きな G も出入りするからキッチンの平和も破られます…
労働である以上、旦那の参加は必要です…
どうやら人間の側のシステム構築も重要なようです…
でも、この使い方は「主婦の責任だ!」と言っては酷です…⁉︎
もともとシンクの下はこうしたモノの収納にしか考えられていません…
前述しましたが、食事のたびに屈伸運動をしなくちゃいけない主婦は労働しています…調味料だって同じことです…
そのうえ狭くて薄暗く通気性がないから余計に主婦の心は痛みます…だからデザインのイイ扉はそんな場所を隠すには絶好だという訳です…
結論を言うと…これらは主婦の労働を助けているのではなく、むしろそこにベタベタ感の温床を作っているということです…足元にG取り装置が置かれているのも、ここがそんなところだとGたちはよく知っています…
この事実はどんなシステムキッチンでも…たとえカッコよく上開きになっても、どんなに内部がキレイに仕上げられていても完全には解決できません…汚れが拭き取りやすくキズつきにくいとホーロー仕上げにしたり、中腰でしまえて見た目もいいと引き出し式にしたり、戸棚の数を増やして収納力を誇示したり、メーカーだって大変です…
それでも閉じてしまうと、密室化するから通気性もありません…内部の空気はだんだんとよどみ汚れます…油っぽさや匂いは、さらに残ります…
その上あなたにもシステムにも経年変化があります…キッチンの「労働」がだんだんと重くなります…
今ではその扉も引き出しも、手ではなく足や膝でエイヤッと締めていませんか?…しかも悪いことに家具の使い方には「異常行為」というのもあるから余計です…蝶番や引き出しのガタピシはだんだんと大きくなるのですが…
確かにいわゆるシステムキッチンは便利そうで、見栄えも良く、パネルのカラーもいいし、これならキッチンだってキレイにできるワ…あれもこれも収納できて、スッキリするワ…と、これを見れば主婦力にメラメラ火がつきます…
でも思い出してください…日本の調理方法は、特にアメリカと違います…匂いも煙も出ます…
もともとコミュニテイの結束が高いアメリカではサンマを焼くなんてとてもできません…ましてクサヤなんて!
日本ではまだガス=炎も使います…TVショッピングした電気製品だって多用するし、さらに¥100ショップの小物までが散乱します…これらをスッキリ収納するなんて大変です…
もともとシステムキッチンの発想はドイツです…この国の合理性や理論がその根底にあります…
話は飛びますが…食洗機のミーレを25年以上も前に取り付けたことがあります…設置性やメンテナンス性は当時の国産とは格段に違っていました…家電メーカーとキッチンメーカー、その差異のなさはさすがワーゲンを生んだ国です…
アメリカは敷地が広く、開放的なせいかキッチンでも洗練された例が紹介されています…
シンクやレンジ、フードも冷蔵庫や本もペットまでもが同居して「家」と一体化します…どうやら僕たちのほとんどはこれを理想のキッチンと考えているようです…
その理想のキッチンを目指して日本でもメーカーがシステムキッチンとして多種で多様な戸棚=収納を提案します…それでも主婦の実態は労働の域を超えられないようです…ここでも生活のことよりも、用具の管理が優先されているようです…
一つにはこのような密室を作ったメーカーの責任であり、油ぎった使い方しかしない主婦の責任があります…これではどんなに良く見えるシステムキッチンもすぐに油じみ、いずれは臭いものにフタをする場所になります…
システムキッチンのシステムを十分に活用するのは、あくまでも主婦のシステムなのです…
残念ながら「主婦が主役」なのに、ここではむしろ「システムキッチン」が主役になっているかもしれません…! ほら「薄力粉」はそこの戸棚の中で、タッパーはこっちで、皮むき手袋は、え〜っと…⁉︎
システムキッチンはデズニーランドの「魔法」じゃありません…あくまでも主婦の「清潔感」と「整理・整頓」術がシステムキッチンを生かします…
トコロ変わってシナ変わっても、テは変わりません…要はあくまでも主婦の「使いこなし」しだいです…
システムは主婦だけではなく、旦那さんも含めた動き=連携がシステムだと言えます…
システムキッチンの導入は、同時にこのシステムを構築するのだということを考えてください…
それ以上にサイズの問題も重要です…床とトップの高さ、奥行きなど使い手とキッチンの関係はよりシビアです…老齢化で車椅子の使用も増えます…この寸法のアジャストが自由に設定できれば…
ここでもバリアフリーは切実な問題なのです…
工事中ですが、正面が電動式の戸棚です…
スイッチ一つで任意の高さに上げ下げできます…
電機メーカーの考えたものですが、あとはコストの問題ですが…
たとえ不便そうなキッチンでも、旦那さんが積極的にキチン仕事=共同作業に参加しているなら、それこそが「システムキッチン」です…
どうやらキッチンの用具も役割も時代と一緒に少しずつ姿を変えます…!
「時間軸」は動いています…
そしてそれ以上に「ヒト」が固有する「能力」「適応力」を上げる努力をシステムキッチンに求めます…便利なこの装置が人生のシステムにも組み込まれるといいのですが…
小さなアパートのユニットキッチンの例です…
戸棚の色を変え、タイルにはアクセントを施しました…
それでも、あっという間に道具があふれます…キッチンはそういうところです…
これは小住宅をリノベーションした時です…ここは元はトイレです…ちなみに入口は左から…
シンクとレベルを揃えた天板で一体感を出し、戸棚や棚の木部は現場で作ったものです…
一人親方だからできます…
男・女ともに、ひとり親方がもっと増えてくれるとイイのですが…
そして日本だけじゃなく世界を知ってください…建築も世界を見せてくれます…!
そのためにも仲間と情報を共有してください…