これもコテージです…!

屋根や煙突、それに壁など全体にうねったデザインは、まるで深い森の中の一軒家です…

雨仕舞いが大変そうですが、屋根はレッドシーダーのシングル材です…これを一枚ずつ専用釘で固定します…

当然タテ目も目立つから手作り感いっぱいです…仕事そのものがが魔法のようです…

きっと楽しかったでしょうね…

こんなコテージの中からは、どんな風景が見えるのでしょう…

 

 

 「トイレ」とは、正確には「Toilet」フランス語なので最後の「t」は発音しません…

だから日本では「トイレ」「便所」のことです…

 

 英語なら「Water Closet」の略…Closetとは私室とか小部屋のこと…あなたのお家のクローゼット、つまり衣類や食器などをしまっておく物置と同じスペルと意味です…

 直訳して「水の小部屋」…それが転じて「W.C」=「水洗便所」というわけです…

 

 

 日本では「御不浄=ごふじょう「不浄な所」という意味です…

「厠=かわや」というのはその昔は川のそばの小屋で、すぐに川に流したいからということです…

やがて町が出来て大きくなり町人文化とともに「便所」という言い方が定着します…

 

 ついでに、時代劇などのアメリカ映画ではたいてい「家」から離れた小さな小屋、それも掘っ立て小屋「Shack」あるいは「Shed」が出てきます…これが「便所」でどの国も「臭いもの」は生活から離れたところに置いたようです…日本でも母屋から離れたところにあったようです…冬は寒かったでしょうね、それに心細いし…ぶるぶる

 

 話は変わって余計な知識ですが… 

このときの「糞=ふん」「オワイ」…汚穢と書くそうです…なにせガキの頃は漢字なんて知りません…

これを汲み取るのが「汚穢屋」で、これを積み込んだ舟が「汚穢舟」…ガキの頃にはまだ街中で時々見かけたんですが…

昔はこれが畑の「肥料」になります…この「オワイ」がいっぱいになるとすくい取って空っぽにしますが、これが汲み取り式です…今のように水洗便所が行きわたるまでは一般的な方法でした…

 

 江戸時代にはこの「オワイ」は桶に入れられて、東京周辺なら川越などに運ばれます…

そして畑の大事な肥料になり、そこで生まれた農産物を売りに船は江戸に向かい、その空っぽになった帰り船が代価として「オワイ」を引き取ります…つまりその排泄物が「オワイ」になってまた畑に戻るわけです…

 

 「オワイ」が畑では大事な肥料「肥=こえになります…

 農業国だった日本の人間を中心にしたこんな「循環農作業」が当たり前だったことに驚きます…

 

 きっとあなたの地域にもこんな記録があるはずです…日本の「食」排泄物までが大事にされていたということです…!

僕がガキの頃にはまだまだ臭い畑や、汲み取りクルマに悩まされましたが、農薬の心配はありませんでした…なんてったって食の安全は人間が、母親が証明していてくれましたから…!

 

 

犬には犬の世界があるのですが…

 

 というハナシは置いといて…

主婦が「家」で気にしているのがこの「トイレ」です…

 

 昔の家つくりでは何せ「御不浄」と言われるくらいだから、日の当らない北側に配置されます…

他にも「お勝手」「納戸なんど」物置=クローゼットなどが同じ扱いをされます…つまり全て婦女子の仕事場であり、当時は今よりもうんと婦女子の地位が低かったことを物語ります…

 

 でも今はちがいます…これらは全て「家」の中心としてもてはやされます…

どうやら「家」つくりに「女性」の発言力が大きくなったことと無縁ではなさそうです…

 

 水洗便器なども発達したから「臭い」の心配もなく…今では「御不浄」ではなくなりました…

さらにはヒートショックを心配するから、冬でも暖かなトイレが流行っています…ちょっとした飾り棚もあり、小物も豊富でまさに小さな部屋小ぎれいで妙に落ち着く空間を作ります…

 

 確かにこれなら「トイレ」一箇所で「主婦力」をプレゼンテーションできそうです…

 

 簡単な言い方ですが、狭いところこそ広く見せるとこぞって白系の壁紙やパーツを多用するところもあれば、むしろ狭いところに座っているからこそ、もっと能動的で活動的な気分を溜め込むんだと色を赤などを使って、さながら狭さをぎゅっと閉じ込めたような空間にする家もあります…特に後者は服飾デザイナーの芦田淳さんの持論でした…

 

 それぞれに一理があり、家々の答えが違う箇所かもしれません…

 

 ただトイレでいつも問題になるのが臭いです…!

便が閉じ込めてくれますが、男子の小便は便器に届くまでに空気に触れて拡散します…

肉眼では見えませんが、霧状になって周囲に飛散します…これらが周囲の壁や床に付着=残存して臭いは残ります…いや蓄積されると言ってもいいかもしれません…

 

 そこで参考にされるのが女性と便器の関係です…つまり女性のように、例え小用でも便器に座れば、空気との接触男性より小さなものになります…確かに男性は小用は立ったままするので、その間の空気との接触ははるかに大きなものになります…つまり気化や拡散、残存しやすいということです…

 

 実際トイレ専門の研究機関では、こと小用についてはこうした男子が空気中に放出する臭いや汚れの大きさの差について報告をしています…!

 

 確かに便器に座ることで臭いは格段に減ります…当の男子もいちいち面倒に思えても落ち着いて行為ができます…公共のトイレの誰彼不明の便器に腰を下ろすのには抵抗もあるでしょうが…こと「家」のこととなれば別です…冬の暖房便座ならいっそう落ち着きます…何よりも毎日掃除する奥様のことを考えてください…

 

 話はまた飛びますが…これは飛散しまセン)

トイレの使い方は入浴と同じ習慣化です…男の子なら便器に座ることを幼い頃から習慣化するといいかもしれません…「男らしくない」とかいう問題とは違います…

 

 ところでずいぶん昔ですが、ある好事家がオランダの昔の素描を数点見せてくれたことがあります…

そのいずれも農婦が座って小用を足しているスケッチです…当時の貴婦人たちはこぞって、いわゆる立ちションをしています…あの広壮なベルサイユ宮殿にはトイレがないというのは有名です…代わりに室内には大きな壺があり、それにまたがって用を足します…彼女たちのドレスがそのまま隠してくれます…その壷の中身をそのまま道路にぶちまけている風刺画もあります…そんな上流階級や貴婦人たちの中でも、オランダの農婦は座って用を足しているのだ、というアピールです…ご婦人の地位向上を訴える政治的な絵でした…

レンブラントなどがまだ無名の頃、彼らが盛んに描いていたようです…

 でも今も女性の立ちションの伝統や、専用の器具があるのもオランダです…

 

 

仕返しだって犬ならではです…

 

 

 ところで、設計士あなたもトイレには当たり前のように換気扇をつけます…

本来換気は、汚れた空気を動かして排出することです…そこで空中に気化した臭いが天井の換気扇にたどり着くより先に、発生元の臭い空気を動かす方がいいのでは?…と考えて、あるご家庭で換気扇を、ちょうど便器の高さの位置につけたことがあります…

 

 もちろん前述の研究結果や使い勝手を考えての提案です…その効果はありました…

それでもたいていのご家庭ではトイレの換気扇は天井にあるべきという観念的なことから却下されることも多かったリノベーションでした…もう一度よく考えてほしい案件だと、今も考えます…

 

 

 

これはずいぶん前に「ラーメン屋」さんをリノベーションした時のトイレです…

外食先のトイレで気になるのは「臭い」と「音」それに「手洗い」…特に女性には切実な問題です…

狭い店内とトイレを共存させるため「二重ドア」…つまり「隠しドア」をつけ「手洗いボウル」は女性オーナーが選んだもので「トイレ」内には♩が流れます…穴は手拭きの後のティッシュを投げ入れるものです…

外のドアはキャスター付きで軽く動かせます…参考になればいいのですが…

 

 

 ほんの少し前まで公園のトイレは臭く、目がチカチカするほどでした…

すべては換気能力のなさですが…ある病院のように大きな換気扇がぐるぐる回っても、ちっとも臭いが取れないなど、換気扇の取り付けにあまりにも無関心な設計者の多いことがその原因です…

もしもこんな設計者があなたの家の設計を担当しているとしたら…それこそ「欠陥住宅」です…

 

 なんども言いますが、出口=排出口を作ることは臭いの部分を通過する空気の入り口も同時に確保することです…若い設計士にはわからない、あるいは軽んじる感覚だと言えます…こと換気扇については驚くほど観念的です…この流量計算と適切な取り付けがなされていないこと自体欠陥住宅なんですが…

 

 あなたにも経験があると思います…暑い夏、それも西日が当たると臭いはきつくなります…

そうです、臭いには重さがあります…あるいは空気に拡散しやすい温度もあります…日によって臭いに強弱があるのはこのせいです…さらに薬の服用次第で臭いも変わります…

 

 飲食をしたいわば残りカスを体外に排出する人間便所と同じです…

 

 それをさらに処理するのがトイレです…

トイレとは言ってみればあなたを再生するところです…糞尿の色を見れば、健康状態のチェックも出来ます…広く感じる小部屋で元気になるか? あえて狭いと感じる小部屋から元気に出るのか?…トイレのドアを後ろ手に閉めた時から、再生したあなたの「行ってらっしゃい!」の世界です…!

 

 

階段下に増設した例です…飾り棚と小さな照明で圧迫感を逃しました…

もちろん「座る」派で皆さん大人のご家族でした…

 

 

 今や日本は世界に類を見ないトイレ大国です…その目指すところは「清潔」化であり、個人はそんなメーカーの恩恵を受け入れているにすぎません…

 便器に座ること、電気の供給方法や浄化装置、循環農法と環境問題、僕たち自身がトイレ=排泄物にナニができるこかも考えてみたいものです…!

 

 

 それでは「行ってらっしゃい!」…