これから「家」を持ちたいと思う、または大人になりたい人に、読んで欲しいと思うブログです…

 あなたの「マイホーム計画」のお役に立つために…今日のお話は「予告違い」な事です…!

 

 

 雨の季節がまだまだ続きます…地震に襲われた新潟・山形の方には辛い時期です…

 

 前回は「地震」のあれこれを書きましたが、これらはあくまでも「家」に携わる方には当たり前のことで、特別に珍しいことではありません…でもこの機会にもういちど知っておくべきだと考えて、書きました…自戒のためでもありましたが…!

 今回は揺れる地面とその上に立つ「家」の接点である…「基礎」の大事さを書きます…!

 

 

 「基礎」「布基礎」=ぬのきそ「ベタ基礎」=ベタきそという二つの方法が一般的です…

他にも「独立基礎」などがありますが、今回はこのふた通りの違いを述べます…「布基礎」は「線」で、「ベタ基礎」は「面」で、「独立基礎」は「点」で支えると、大まかに考えてください…!

 

 その「基礎」を作る工事の重要性は、あなたも気がついていることでしょう…

何しろ地面からの湿気や匂いや虫や小動物などを遮断して「家」を守ります…もちろん地震の「揺れ」や暴風や雨、洪水にも耐えなくてはなりません…前回も書きましたが、家族の「安全」を守る「シェルター」になる大事な工事です…あなたが「家」を持つならまずこの基礎工事に着目してください…

 

 一言で言えば揺れる「大地」と「家」の「接点」になるのが「基礎」ということです…

一方でこの揺れを伝えてしまうのも「基礎」です…「揺れ」を避けたいと願うのに、同時に「揺れ」を受け入れなくてはならない…この二律背反的な要素を「基礎」は持っています…!

 地震をわずかな諦観で滅多に起きない現象だと想定するとして、どうやってこの地面と折り合いをつけるのか? と考えて、とりあえず「家」を丈夫にしようと考えたのが「耐震」です…

 

 その上でテクノロジーを付加して「免震」「制震」を考えるわけですが、それには「地震」の研究と分析の果てしない挑戦の結果があります…とはいえ、今も完全な予測ができないのが現実です…! また完全な予想ができたなら、それこそ「オオカミ少年」がいっぱい出て来てパニックが起きてしまいます…

 

 ところで、あなたはややもすると「基礎」を見下ろしながら、下にあるのが当然だと考えます…

その視点をたまには変えて、上にある「家」全体の一部だと見てください…つまり基礎は家の強度を支えるだけでなく家全体を支えるものとして一体です…だからこの工事はきちんと正しく行われなくてはいけません… 基礎工事の大事さはこの上に乗る家と同じく重要な工事だということです…! 

 

 

 

 ちょっとムダ話です…

 以前にカナダをロッキー山脈に沿って北上したことがあります…もっぱらの関心は納屋の作りでした…それまでもたくさんの写真などで、日本の木組みと比較していましたが、実際に見て気が付きました…

天井をひっくり返す、つまり上下を逆さまに見ると…昔の船と同じ作りではないかと気が付きました…中央を貫く竜骨=キールはないけれど左右の木組みなどは船底と同じです…なるほど母国の造船技術が入植先のここでは周囲の森のさまざまな態様の木を利用して、あの高い天井や構造を作っているのかと感心したものです…同時に家だけを見るのではなく全体を俯瞰することが大事だと分からせてくれました…

 以後、基礎工事も全体を俯瞰すれば「家」の一環として切り離せないことだと考えています…

 

 

 本題に戻ります…さて「布基礎」ですが、これまでの建築では当たり前に考えられてきた方法です…

床下を見ると家の周囲と各部屋の仕切りにしか基礎=立ち上がり部分が見られません…基礎壁で囲まれたところは土=土間どまがそのままです…ここは外の地面と地続きなので、外気温の変化には敏感です…

湿気やカビ、シロアリなどの食害も出ます…この土間と部屋は荒板と畳が遮るだけで、一階の部屋が寒かったり湿気臭いなどの弊害がすぐ出ます…! ちなみに「布」というのは「平ら・横・並行」などを意味する言葉だそうです…そういえば建築でも敷石の「布石」や、横に貼った羽目板を「布破目」、生活では大根を縦に切って干した切り干し大根を「布引大根」とか言いますね…「布告」という言葉もあります…どうやら平らに作った基礎という意味をこう呼ぶようです…「布」で作る基礎だから「弱い」ということではアリマセン…

 

布基礎」の断面です…点線は鉄筋の位置です…図ではタテ筋を表示しています…

太さ、間隔=スパン、数量は図面に表記されています…工事はこの通りに行われなくてはなりません…

これが「立ち上がり」部分です…

 

 

 「ベタ基礎」というのはこの土間の部分までコンクリートで固めて全体を一体化して、つまり地面ごと基礎にする方法です…ベタにします今はこの方法が主流になっています…

この方法の良いところは「家」の足元全体を基礎として一体化するので…どこにも土の露出がなく、湿気や虫などの影響を受けません…何よりもこの硬い一体化された基礎が地震の揺れにも対応して「家」を守ってくれます…硬い=重い=しっかりしている=壊れにくい=揺れに強い、という図式=信奉のようです…!

 もちろん各部屋の下を支える需要部分にもあるから、家の重量にも耐えられます…

 

「ベタ基礎」の断面です…基本的には同じですが、土間部分までコンクリートで覆います…

地面からの湿気を防ぐと同時に、基礎全体を一体化した面と考えて全体の重量を分散します…

両方の基礎とも最上部に「土台」が据え付けられて密着されます…つまり「家」が地面と結びつきます…

 

 ベタ基礎布基礎も建物の周囲は地面から立ち上げられます…仕切りも同じ高さです…この上に土台アンカーボルト「緊結」されて「家」が立ちます…この部分が「家」「地面」を結びつけるというわけです…「接点」の出来上がりです…このコンクリートの部分が「立ち上がり」です…

「布基礎」の立ち上がりの断面は英字の T を逆さまにした形になります…の上辺が最下部になります…これはブロック塀などと同じです…「フーチング」と呼びます…Foot=足のことで、この足を左右に突っ張って頑張るという大事な部分です…

ちなみに図面にある「GL」という表示は Ground Level の略で、その家の元になる水平基準の高さ=位置を示しています…! 

「家」がシェルターとして「家族」の命を守れるのか? 「家族」の「安心感」になるのか?…

「シェルター」Shelter=避難所である理由の大事な「接点」になると考えてください…!

 

 以前工事をした家の問題点は、最近「家」がよく揺れるようになった?…ということでした

築11年ほどの2階屋です…注文住宅です…床下を点検すると土台が乾燥してサイズがやや小さくなっています…アンカーボルトは錆びていて、本来きちんと締まっているはずのナットは手で回せるほどゆるくなっています…つまり「地面」「家」接点が「緊結」されていなく、この家は接点を失っていたことになります…そのための過大な揺れを家族が感じていたことになります… 木=土台は時間とともに乾燥します…乾燥してサイズが収縮します…

金属製のボルトも錆びて効力を失います…全ては経年劣化がそうさせます…その一方でこんな箇所を見る人なんていません…見えないから安心しています…でも家の経年変化はこんなところにも現れます…定期的な点検が必要な理由の一つですです…

 30メートルほど先の、建築当時は畑越しだった一本道もその後に拡幅されて今では立派な幹線道路になっています…通行量も増えました…細かな揺れが日常的に24時間伝えられ、家は耐えていました…「接点」=「基礎」と「家」緊結=密着が重要だということがわかります…ここにも「経年劣化」が起きています…この工事も大変でした…

 

 

 ところでどちらの基礎も一番外側の「立ち上がり」のところどころに、外気の通風を確保する「通気口」が開いています…もっとも最近はこの「通気口」がない基礎もあります…代わりになっているのが、土台と基礎の間に挟まれている基礎パッキンで、大抵はプラスチック製ですが、黒御影石もあります…

この基礎パッキンが基礎と土台の全周で使われ、土台を持ち上げて隙間を作っています…通気はこの隙間で常時行われるから、あえて「換気口」は不要だということです…外壁の一番下の「水切り」金物が隠しているので、雨水と同じようにあなたの視線にも見えません…触ってみると「水切り」の奥にあるのがわかるはずです…

 この「通風口」から入った空気は基礎全体を回りますが、あくまでもこれは自然の換気です…また基礎内部の幾つかの立ち上がりに囲まれた場所には「点検口」という、人が通れる穴が開いています…この点検口で基礎内の空間が全部がつながります…空気が動きます…(屋根の)「小屋裏」と同じです…

 

 当然ですがこの点検口には立ち上がりがありません…外周の通気口をもう一度見てください…

上部には土台があるはずですが、ここの土台が露出しているようなら、立ち上がりのこの部分にはコンクリートがなく、当然ですが鉄筋もここで切れているということです…基礎の強度がありません…

 

 

 

 これと同じことが基礎内部のもっと大きな点検口でも行われているとしたら…鉄筋が正しく配筋されていない…つまり横筋がぐるっと通っていなくて、点検口ごとに強度が失われているということになります…実際この箇所の配筋やコンクリートの流し込みは厄介なのですが、それ以上に家の構造上の強度と基礎とは違うという見方が大きいようです…「家」構造的な強度を基礎と補完しあっているということに無知なようです…先述しましたが、基礎をひっくり返して逆さまにすると、家全体に構造的な強度が大切だということがわかります… 

ヨコ筋をグルっと繋ぐから、強度は出ます…

上端のところどころが切れた箱を想像してください…どうですか、箱はグラグラしませんか? …

 

 上部が切り取られた土台はグラつきます…これではとても縁の下の力持ちとは言えません…この上を土台が通ります…基礎の鉄筋コンクリートの弱さを木の土台が支えるとは考えられません…基礎の構造的な強度が大事だということと、この接点の重要性をきちんと見る現場監督の目がより大事だということです…!

これはひいては「建て主の不利益」になります…!

 

 布基礎がいいのかベタ基礎がいいのかは、それぞれに一長一短があります…

ただそれぞれに地面からの湿気や匂いをシャットアウトする防湿工事は徹底しているようです…布基礎でも防湿シートを敷いて遮断をします…

 ベタ基礎はコンクリートや鉄筋の量、それに伴う工賃や時間もかかります…基礎だけの重量もかなりあります…これに「家」の重量が乗ります…地盤の耐力も必要です…柔らかな土地では無理です…そうしないと自重で沈む=沈下するからです…!

 

 ひとたび大きな地震が来れば、家族もそれぞれの居場所で孤立せざるをえません…連絡すら困難になることも想定されます…その時にみんなの頭に去来するのは「家族=家」のはずです…そんな信頼に応える「家」こそが家族のシェルター Shelter=避難所です…あなたが作るべき「家=家族」でしょう…!

 

 

 どうですか、家が完成して今は見えなくなってしまった「基礎」の大切さがわかったと思います…

いずれの基礎を選んでも、工事は正しく行われなくてはなりません…図面通りにすることです…

施工の正しい知識や仕事が「建て主の利益」になるということを忘れてはいけません…!

 大抵はこんな見えないところの手抜き工事が職人やメーカーの利益になっています…正直な建て主がそのことに気づくのは何年も経ってからです…! 手遅れです…

 

 

 

 

 

 ここまで読んでくれて、ありがとうございます! 

 

 次回も、この機会に「地震」つながりでもう少し「基礎と安心」の話をさせて下さい…

「鉄は熱いうちに打て」っていう言葉があります…記憶があるうちに地震を一緒に考えましょう…!

 

「家」の基本は材料と道具の本質を知ることです…「暮らし方」はそのあとにお話しします…

 もう少しお付き合いください・!

 

 正しい知識さえあれば、設計士にも施工現場にもニラミを効かせられます…情報を共有してください…

この情報をもとに「マイホーム計画」が成功することを願います…!

 

 Renovationには修理や修繕の他に刷新や元気回復という意味もあります…

「家」を新しい力で元気にさせる…「リノベーター」に応しい言葉ではありませんか…!