こんにちは

 

 どうにも暑い日が続きますね…

 

 ただでさえ小さな庭の土はコンクリートになって、水は地面に吸い込まれないし、照り返しは強いし、家や車の吐き出すエアコンの暑い空気が町中に充満し、夜になっても風は凪いでソヨとも吹かないし…サッカー選手の腕は刺青だらけで汚くなる一方で、どうやら世界の夏は暑さと汚さに向かっているようです…

 

 ところで…

 俳優の加藤剛さん、脚本家の橋本忍さん、演劇の浅利慶太さん、日本昔話の語り部

本当は俳優さんなのですが、常田(ときた)冨士男さん、美人の生田悦子さんが相次いでお亡くなりになりました…

 

 加藤剛さんといえば、いつも担然とした佇まいで、日本人の良さを感じさせる俳優さんでした…若い頃の「人間の条件」ではその後の一貫して平和を希求した態度を感じさせてくれました…社会派ドラマの一方で「剣客商売」や「大岡越前」でもその冴えを見せてくれた、どちらかというと存在そのものが雄弁な役者さんでした…これほど勧善懲悪や、平和を体現した役者さんが、またいなくなりました…

 生涯に一度も怒ったことがない…というご子息の言葉からも、人間として上質に、美しく生きたお人柄を偲びながら…さて自分は?と問うしかありません…

 

 橋本忍さんの「私は貝になりたい」では庶民が戦争犯罪で裁かれる不条理を描いています…主人公のフランキー堺さんは元ドラマーのコメディアン…オドオドした心情が、モノクロ画面からも伝わりました…ついでながら小松方正さんのアップの演技も忘れられません…いつも黒澤映画と一緒のイメージですが、野村芳太郎の「砂の器」も忘れられません…重厚なという表現が見合う脚本家だったと思えます…

 

 浅利慶太さんは、劇団「四季」を主宰…当時の与党政権に近かったのに、名誉職や勲章などに興味を示さなかったのが、きっと「演劇人」としての矜持だったのかも知れません…近年は「オペラ座の怪人」「キャッツ」「ライオンキング」などの一連のミュージカルとオーデション方式で全国展開で若い人にも人気がありました…

 最後まで「李香蘭」という自前の演目に執着したのも、戦争中に日本と中国の狭間に生きた「山口淑子」さん(僕たち世代では有名です)で平和を語りたかったのかもしれません…

 

 生田悦子さんは、本当に美しい方でした…いつもにこやかでまっすぐで…

「欽どん」でもイイ娘を楽しそうに演じていました…初々しい晩婚とお幸せな表情…きっとその通りだったのかもしれないなぁ…と思わせるような笑顔の写真が手許にあります…

 

 そして常田富士男さん…いつの頃からか…頭と心のどこかに刷り込まれた…

「むか〜し、むかしのことじゃったぁ…」ではじまる物語…この番組に出会ったのは相方の「市原悦子」さんが好きだったからですが…たったお二人だけで自由に闊達に時に飄々として…まさに語り部の妙がありました…短い物語を彩るフォルムと色彩の見事さを創り出す製作陣や…主題歌の川内康範さん…「デングリかえって、またあした…♩」に大人たちの子供たちへの本気度が感じられて、今でも常田富士男さんの声と一緒に思い出される大好きな番組です…こんな子供向けの番組はもうありません!…

 

 皆様のご冥福を、心からお祈りします…

 僕はあなたたちで育ちました…今はもうデングリ返っても、あしたの友もいません…

 

 

 「むか〜し、昔のことじゃった…」こうやって時は流れます…

 

 ありがとう

 この暑ささえも、きっと今を生きているからこその実感ということ…明日もきっと暑いはずです…!

 ね、ご同輩! みなさまご自愛ください…