スウェーデンで邦画を観る。 | Moose Nose ~スウェーデンから日本へ~

Moose Nose ~スウェーデンから日本へ~

8年のスウェーデン生活を終え、家族で日本に引っ越して来ました。

私の住んでいる場所からバスで30分ほどのところに、
Kulturhusという所がある。
直訳すると「文化の家」。
コミュニティーセンターのような場所で、
図書館、プール、カフェやシネマなどが入っている。
中には一般の人たちが作った物や描いた絵なども展示されており、
時たま和皿なども見られる、異文化を知る場所でもある。
その場所で本日、日本映画が上映された。
代金はもちろんタダ。
それを知らせる記事が新聞に載っており、
相方がそれを見つけ、一緒に行こうと誘ってくれた。


Kulturhusに着くと日本人の姿がチラホラ。
こんなにもまとまって日本人を見たのは初めてである。
年配の方が多く、その中には相方がかつて通っていた日本語学校の先生の姿も。
次から次へと表す日本人に、
「あら~久しぶり~〇〇さん!」
「いや~本当お久しぶりね~!!」
「あ、〇〇ちゃんが来た来た!!」
「久しぶり~元気~?」
などと声を掛け合っていた。
そんな日本語の挨拶を聞いただけで感動する私。
おばちゃん集団に関しては、何やら煎餅のようなものを食べながら、
「あれが8000SEKもして~。ボリボリ(煎餅食べる)」
「あらやだ、お高いのね~。ボリボリ(煎餅食べる)」
などの井戸端会議。
お金の単位が違うだけで、あとは日本でたまに見られるおばちゃまたちの会話。
そんな会話からも、
「あ~なんか、こーゆう感じ懐かしいなぁ」
としみじみ思う私であった。

そして上映された映画がこちらの二本。

「南極料理人」と「花のあと」である。
両方とも名前は知っていたが、見たことのない作品であった。


ワクワクしながら映画館の中に入ると、


おぉヽ(*'0'*)ツ!!
思っていた以上に大きく、そしてちゃんとしたシネマ!!
日本人と日本文化に興味を持っている(であろう)スウェーデン人やその他の国の方々。
そして一緒に邦画を観る、というのは、なんとも不思議な感じがした。
(ちなみに映画には英語字幕がついている。)


感想はというと、、、
まずは「花のあと」。
北側景子主演の侍映画である。
初恋を甘く切なく描いた映画のようであるが、私としてはストーリーは今ひとつ・・・。
しかし日本の美しい四季の風景や作法などが見られ、
スウェーデンにいることをそのときだけは忘れることができた。
日本の風景を映像で楽しむことができた。
しかし、決闘や作法のシーンなどで、時たま笑いが起こることがあった。
日本人の私にとっては、
「これが日本の美しい作法かぁ。」
と、関心することも、
外国人から見ると、なぜこのような動きをするのか不明。
おもろいわ~。ふふふ。
としか思わないのである。
文化が違うと、視点もまた違うのだ。


そして、「南極料理人」。
南極観測隊である8人の男たちの、南極での生活をコミカルに描いた作品であるが、
これがまた、本当に面白かった。
腹を抱えて笑った。
堺雅人や高良健吾などのお気に入りの役者さんたちをスウェーデンで見れたことも嬉しかったし、
出てくる料理も全ておいしそうで、日本料理を目で楽しむことができた。
また、役者さんたちがすごくナチュラルな演技をするので、その世界へと一瞬で引き込まれたのであった。

水も食料も限られた南極での生活。
極寒の中での厳しい作業。
実際はもっともっと厳しいものであるに違いない。
その厳しい状況を、笑いと根性で乗り越える隊員たちの姿に、私は笑顔と元気をたくさんもらった。


日本では当たり前にできる生活も、南極では制限しつつ生活していかなければならない。
そして思う。
「もうやだ、もうやだ、日本に帰りたい、帰りたい!!」


日本で当たり前に食べられるものも南極では入手が難しい。
そんな中、涙ぐみながらラーメンを食べる隊長の姿。
これもまたコミカルなシーンであるのだが、
私も自然と隊長の気持ちになり、思わずホロリ(ノω・、)



当たり前にできていた生活も、
当たり前に食べていた日本食も、
当たり前にそばにいた家族や友人も、
ここスウェーデンには当たり前のようにいない。
そんな状況下で、
「もうやだ、もうやだ、日本帰りたい、帰りたい!!」
と何度も思う。
初めて自分で味噌ラーメンを作り、
日本の味に感動した。
「そうそう、この味、この味!!」

そんな自分の状況と重ねながら、映画を観ていた。



印象に残っているシーンが一つある。
それは日本にいる子供たちが、衛星電話を通じて隊員たちとお話しする、といったシーン。
その中である一人の女の子が聞いた。
「寂しくないですか?」
すると堺雅人演じる料理担当の西村がこう答える。



時々寂しいけど、ここにいるおじちゃんたちも同じ気持ちだからね。



と。
この言葉がずっとずっと私の心に残っている。


寂しい、とても寂しい。
家族に会いたい。友達に会いたい。
しかし私だけではない。
異国で生活をしてる人たち皆同じ想いをしながら、
それでも踏ん張って生活をしているのだ。


時々寂しいけど、でもそう思ってるのは、私だけじゃないからね。
だから踏ん張るよ。
頑張るよ。


そう奮い立たせてくれたシーンであった。



今回この行事に連れてきてくれた相方には本当に感謝する。
次回また邦画が公開されるときもまた参加したいと思う。
また素晴らしい映画に出会えるかもしれない。