浮動株枯渇の破壊力(株式研究掲示板3月1日引け後投稿) | 杉本晃志郎のへろへろブログ(復活編)

浮動株枯渇の破壊力(株式研究掲示板3月1日引け後投稿)

お疲れ様です、杉本です。
いつもいつもこんな時間で申し訳ありません。

昨日の3350 フォンツホールディングス
二日連続のストップ高。しかも前場から張り付きと
とても強い動きでした。

板の入り方から、<目先の利益よりも将来の夢を追う>
皆様の強い信念を感じられて、とても嬉しく思っています。
夜間取引もストップ高近辺でそれなりに商いが成立しており
本日の期待の高さを感じさせます。

テクニカル的に若干の過熱感がでてきたことは否めません。

ですが、三日連続のストップ高なら同じような
価格帯から昨年の5月にも示現した例がありますし、
会社の状態は昨年よりはるかに良くなっているのは
皆様、ご承知のとおりです。

フォンツの将来性に夢が持てることはこの二日間で
十分に語ってきましたから、今日は少し目先の変わった話を
したいとおもいます。

それはタイトルにもなっている<浮動株>についてです。

浮動株とは簡単にいえば市場に普通に流通して
売買されている株のことです。

この株数は四季報で用意に調べることができます。
フォンツで言えば6.5%。大体1万株くらいです。

今はではみんな電子化してしまったので
いまいちピンと来ませんが、昔はおんなじ株券が
お金と引き換えにいろんな投資家の元を行ったり
きたりしてボロボロになったりしてたわけですね。

そのときの慣習が残り、すべてが電子化となった今でも
資金の受け渡しに4日もかかったりするわけです。

かつて大株主が持っている大量の株券は
会社の金庫に眠っているか、銀行の担保に取られていて、
市場にはまず出てきませんでした。

バブル期の日本市場の高株価が
単に業績だけの問題ではなく
相互持合による浮動株の極端な少なさに起因していたことは、
長年相場の世界で生きてきた人間なら
よくご存知のことだろうと思います。

自分は電子化に明るくないですし、
以前と比べて貸し株市場が発達しているので
一概には言えませんが、
「基本的には市場に出てこない」
という意味では浮動株の概念は今も昔も同じだと思います。

(まあ会社の経営がやばくなったりすると
 大口株主の名義の株券が連番で市場に流通したり、
 仕手筋が株価を暴騰させた途端に偽造株券が出回って
 証券会社で受け取り拒否されたりとかしてましたけどね。

 いい意味でも悪い意味でも、昔はロマンがありました)

さて、話を元に戻しましょう。

どうして、昨日のフォンツHDがテクニカル的には
一昨日より厳しいはずなのに前場からストップに張り付いたのか?

そして、なぜ昨日よりはるかに早い時間に張り付いたのに
出来高は昨日を上回ることになったのか?

これはこの浮動株に着目すれば
容易に解釈することができます。

まず、本日の寄り付きは6080円。
ストップ高は6480円と若干距離があります。

とはいえ、昨日のストップを買った人でも
10%以上抜けていますし、
6000円どころは昨年11月末の出来高を伴った
暴落が始まった価格帯でもあり、いったん利食いを
考えても全然おかしくはない水準です。

今日の寄り付きで売った人たちは、
たぶんこう考えたと思います。

「仮にストップ高で最終的に張り付くことになるとしても、
 この寄付きならば一度売って買い戻せない距離ではない。

 もともと、寄り前の気配はストップ高ではなかったし、
 大きな窓明けで過熱感もある。

 一旦、下に行くリスクを考えれば、
 ここは一度持ち株を売却し板が落ち着いた後に、
 買いなおしを考えることが得策だ」

 事実、株価は一旦下に行きました。
 寄り付きで売った人はきっとほくそ笑んだはずです。

 ですが、自分は同じ寄り付きを見て
 まったく別のことを考えていました。

「今日の勝負はこの寄付きを回復できるか否かにある。
 ここさえ取り返せれば、昨日よりはるかにたやすく
 株価はストップ高に張り付くだろう。
 であれば、この程度の寄り付きで満足するべきではないし、
 押し目は徹底的に買うべきだ」と。

 一から理由を説明します。
 まず、出来高に着目しましょう。

 一昨日の出来高は3262株。
 そのうち実に2800株近くがストップ高
 近辺での約定です。

 フォンツの事業内容をきちんと理解し、
 高くても4000円台後半で購入されている皆様なら
 昨日の動きは余裕で見ていられたでしょうし、
 ストップで買ったからといって狼狽売りはしないでしょう。

 ですが、何も知らずに値動きのよさだけで
 一昨日のストップをつかんだ人たちは、
 なんだかんだ言って今日の場が開くまで気が
 気でなかったはずです。

 それが案外、高値で寄り付いた。
 利食いを考えて当然です。

 開始5分の出来高は実に2096株。
 実に昨日の出来高の2/3をわずか5分で
 消化したことになります。

 しかも、その売り方は薄い板をさらに下にたたく
 典型的な提灯の狼狽売りでした。

 自分が思うに、昨日のストップ高近辺で買って
 フォンツになんの思い入れもない人たちは
 ほとんどここで降りたのではないかと思います。

 なぜそう判断したか?

 自分は昨日、こう書きました。

「こちらの常連の皆さんはすべて含み益でしょうから
下の板をつぶすような売り方さえされなければ
いつ、いくらで降りていただいてもかまいません」

 フォンツに思い入れのある人は
 この程度の水準ではおそらく売りません。
 また、仮に売るとしても寄り付きかその後の戻りを
 指値で売っていくはずです。

 そして、本来戻り売りが考えられる水準であるにも
 かかわらず、案外高値で寄り付いたことは、

 「これまでにない新しい買い勢力の登場」と
 「昨年からのしこり玉が、この三ヶ月の間にかなりの割合で整理されていること」

 を意味します。

 以上のことの論理的帰結から、
 僕は板をつぶすような成り行きがおちついた時点で
 少しずつ買い指値を下に這わせ始めました。

 テクニカル的にいくら過熱感があろうと、
 もともと少ない株券が収まるところに収まっている以上、
 これ以上の暴落はまず考えにくいからです。

 成り行きでガンガン売り崩されているときでさえ、
 指値の売り板は大して枚数が入っておらず、
 板と板との間は非常に離れていました。

 一転、買い指値は枚数こそ少ないものの、
 下まで満遍なくびっしりと入っており、
 怒涛のような成り行き売りに対しても
 ほとんど逃げることがありませんでした。

 そして、フォンツは空売りができる銘柄ではありません。

 ですからこれは、

 「なるべく高いところは買いたくない。でも安いところがあれば買い増しはしたい。」
 「寄り付きで一旦売ったけれども、本音では買いなおしたい」

 と思っている人が、市場にたくさん存在することを意味します。

 ですから、冒頭に書いたように、

 「一旦、寄り付きさえ回復してしまえば、一昨日よりも
  昨日のほうがはるかにストップ高になる可能性は高いだろうな」

 と6000円を超える高値で寄り付いた時点で
 自分は考えていました。

 なぜでしょう?
 簡単です。

 安いところを買えた人は含み益が出て気持ちが大きくなり
 買い増しを考える余裕がでてきます。
 一転、本当は売りたくないのに寄り付きで売ってしまった人は
 高値で買い戻すことを避けたくてあせります。

 ところが、まともに売り板があるのはストップ高だけで
 あとはスカスカな状態です。

「新規の買い勢力の存在」
「戻り売りの勢力の弱さ」
「寄り付きで売った人間の買戻し」

 この三点を考えれば、

「株価が一昨日よりも用意にストップに張り付くこと」
「一昨日よりもはるかに早い時間に張り付いたにもかかわらず
 昨日よりも出来高が増えたこと」

 は用意に説明できます。

 昨日の提灯の売買は買いのみですが、
 今日は新規の買い勢力に加え、昨日のちょうちんが
 買いと売りで二倍に出来高を増やすからです。

 ようするに、今のフォンツに関しては

 「ストップ高を狙える位置で寄り付き値が決まる」こと、
 「下押し後、寄り付きの水準を回復する」こと

 この二点が成立した時点で
 ストップ高はほぼ確定していたわけです。

 そして、このように理詰めで株価を考えられる
 前提条件が

 「浮動株が少ない」ことと
 「その浮動株すら納まるところに収まっている」

 ことにあります。

 古くからの株研ファンなら、
 僕が昔からこういう銘柄を好んで勝負買いすることを
 良くご存知だと思います。

 業績はもちろん大事ですが、
 浮動株は少ないに越したことはありませんし、
 株式が有限である以上、
 売りの数より買いの数が多ければ
 株価は上がるしかないわけです。

 まあ、昨日の講釈をしても一文の銭にもなりません。
 本日の値動きを考えて見ましょう。

 まず、先ほど述べた

「ストップ高を狙える位置で寄り付き値が決まること」、
「下押し後、その水準を回復すること」

 これはフォンツが三日連続ストップを達成するための
 前提条件です。

 いや、より正確に言えば、この二つが成立すれば、

「本日よりさらに容易に株価はストップ高に張り付く」

 と自分は考えます。

 気持ち的にはストップ高の板が見えてきた時点ですかさず
 成り行きを買い入れてもいいくらいです。

(僕はやると怒られるのでできませんし、
 株に絶対はないので無理にお進めはしませんが)

 なぜでしょう?
 その答えは本日のフォンツの寄り付きの気配が
 7000円を超えることができたらここに書こうと思います。

 明日の気配を楽しみに、皆さんもぜひ考えてみてください。

 また今日も、昨日の言葉を結びに変えて筆を起きます。


「神明は唯平素の鍛練に力め、戦はずして既に勝てる者に勝利の栄冠を授くると同時に、
 一勝に満足して治平に安ずる者より直に之を褫ふ。

 古人曰く勝て兜の緒を締めよと。」

 なぜ昨日、自分がこの文章を引いたか、
 なぜ今日、浮動株について書いたか、
 察しのよい方なら既に理解されているのではないかと思います。

 おやすみなさい。