外山滋比古先生の『忘却の整理学』を読みました。こちらは、『思考の整理学』・『「読み」の整理学』に続く、整理学シリーズ三作目の著書です。
本書では、ネガティブなイメージ満載の「忘れる」ということが、新たな知見を生み出す上で、最重要事項だと外山先生は仰っていました。「記憶」と「忘却」は、呼吸と同じでセットとして扱うべきであり、呼(はく)吸(すう)と同様に、「忘却」が先にきて、その次に「記憶」がくるものだとも定義されていました。
確かに、深呼吸と聞くと、「吸ってー、吐いて―」の順番で行いがちですが、そうすると身体の中の古い二酸化炭素を溜めたまま、新しい空気を吸ってしまうので、肺が一向にキレイになりませんよね。最初に息を吐いて、汚れた空気を体内から出しておいて、新鮮な空気を吸うほうが、理にかなっていると思います。
人の記憶もそれと同じで、沢山物を覚えるだけでは、頭がパンパンになって、仕舞いには脳内爆発してしまいます。人の脳量は決まっているわけですから。だからこそ、要らない情報は「寝て、忘れる」必要があるということです。
「忘れる」には、「睡眠」という作業が不可欠で、睡眠を通して、記憶したものをふるいにかけていくようです。そして、ふるいにかけられても残った記憶から、新しい発見が出てくるので、「忘却」は、もっと好意的に捉えられるべきだという主張を、様々な事例を通して、論じておられました。
この本を読んで、忘れっぽい私は、ホッと胸を撫でおろしました。私の物忘れは決して無意味なことではなく、逆に必要のないことを整理しているだけなのだなと安堵した次第です。
