赤ずきんの祖母の家に強盗に入ることを決意し、数週間後。
俺は家の裏の倉庫に身を隠していた。
一応身元がバレないように服装は、黒づくめ、そしてキャップとマスクで顔を隠した。
さらに、もしものための護身用に果物ナイフや、ロープをリュックに入れた。

今は夜だ。もう家の電気も消えている。
1階の窓を音を立てないように開ける。そこから腕の力だけで、部屋に侵入した。

家の中に入ると、廊下に並んでいる小さな光で廊下が薄く照らされて、その光で大きなシャンデリアがキラキラと光っていた。
側にある部屋をそっと開けると、そこら中にブランド品が転がっていた。
高級そうな大粒のネックレスやブレスレット、時計などが引き出しから出てくる。

それを持ってきたリュックサックに入れていたその時、
トントン、と誰かの足音が聞こえた。
『やばい!見つかる!! 』
慌てて逃げようと部屋を出たその時
「誰?ここでなにしてるの?」
と女の子の声が聞こえた。この声どこかで聞き覚えが...。

開けっ放しだった窓からブワッと強い風が吹いた。そのせいで被っていたキャップが飛んだ。
「もしかして...狼さん?」
女の子の走る足音が俺の元に近づいてくる。
あぁ、もう終わりだ。
「狼さんよね?なんでこんな所にいるの?」
俺の背中に少女の声が刺さる。俺は振り向けないまま、無言でいた。

すると赤ずきんの手が俺の手を包む。
「もしかして...私に会いに来てくれたの?」
思ってもなかった言葉を投げかけられ、思わず振り向いた。
「そう!そうなんだ!!あの後なにもなかったか心配で。ほら!この森、人喰い魔女がでるとか言うだろ?」
嘘をついてしまった。でもそうするほかなかった。
少女はフフッと微笑んだ。
「人喰い魔女ね。それ信じてるの?面白いわね。でも心配してくれてありがとう。あたしも貴方に会いたかったの。」
「俺に?」
「そうよ。貴方にお礼がしたかったの。」
「お礼?そんなのいらないって前言っただろ?」
「だめよ。させて?はい!」
少女は自分のポケットから1枚の紙と、かわいい袋に入ったクッキーを取り出し、俺の手に握らせた。
「クッキーは私の手作りで、その紙は私の連絡先!」
「え?君の連絡先?」
「そう!狼さんLIMEって知ってる?」
少女はポシェットから携帯端末を取り出し俺に見せてみる。
俺はリュックから携帯端末を取り出し、アイコンを押し、少女に見せた。
「これ?」
「そう!それの連絡先を交換できないかなーって。」

俺は訳がわからなかった。なんで俺の連絡先なんか欲しいのか。
そう思いつつも連絡先を交換した。
彼女が目の前で声を抑えて、喜んでいた。
彼女が喜んでいるならそれでいいだろうと、俺はその時そう思っていた。

俺のその思いがその後の自分を痛みつける原因となることは、もっと後で気付くことになるだろう。

3話END 4話に続く...